法的には、まず、4月15日というのは、派遣先での就労の終了日であって、派遣元との労働契約が、その日で終了するということではありません。6月末までの期間を定めた契約が派遣元との間には継続しています。この点について決して譲らないで下さい。
解雇というのは、通常は、「期間を定めない契約」の常用労働者の場合で、使用者からの契約終了の通告です。ほとんどの派遣労働者は「期間を定めた契約」ですので、余程の事情がない限り、期間いっぱいの雇用保障を求めることができます。派遣先が派遣を打ち切った(労働者派遣契約の途中解除)からといって、派遣元がそのまま労働者を解雇することはできません。残りの期間について、雇用の責任が継続し、労働者は、適当な仕事を請求し続け、賃金全額を請求できるのです。
とにかく、当初の約束通り、6月末日まで、いまの派遣先での仕事と同等な仕事をさせるように強く求めてください。条件の悪い仕事に無理に応じる必要はありません。派遣元が同等な仕事を提供することが出来ないのであれば「契約違反」になりますので、賃金全額を「損害賠償」として請求することが可能です(なお、民法536条によって賃金請求権が認められるという理屈もあります)。
労働基準法第26条は、使用者の責任による休業について平均賃金の60%以上の「休業手当」の支払いを義務づけています。派遣元が支払う「時給の60%」というのは、この最低基準である「休業手当」のことだと思います。しかし、契約期間、雇用を確保できなかったのは派遣元の責任であると主張して、話し合いで6月末日まで賃金100%の支払いを追求してください。(図を参照:「労働者派遣契約が解除されたときの法律関係」)
なお、96年の労働者派遣法改正で、派遣先による「労働者派遣契約途中解除」の弊害が問題になり、期間いっぱいについての損害賠償措置などを労働者に明示する義務が定められています。また、「派遣元から派遣先への賠償請 求」や「派遣先の系列会社での就労あっせん」が、行政指導の指針(「派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成8年労働省告示第102号))になっていますので、公共職業安定所を通じて派遣元・派遣先に対して改善を求めることも可能です。
〔結果〕(その後、相談者から、次のような報告と礼状が届きました)
本日、派遣会社の専務にお教え頂いたことをお話ししました。なかなか承諾していただけなかったので、「法的措置をとらせていただきます。」と言ったところ、急に態度が変わり私の当初の希望通り「4月16日〜6月末日までの給料100%」が支給されることとなりました。
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