1996年の労働者派遣法の改正にともなって、派遣元と派遣先の責任を明確にするガイドライン(指針)が労働省から示されました。
派遣で働くときには、派遣元や派遣先がこのガイドラインによる措置をとっているかをチェックする必要があると思います。
もし、この指針に反することがあれば、派遣元や派遣先に指針に従うように要求できますし、所轄の公共職業安定所に指導を求めて電話などで気軽に連絡しましょう。派遣110番にもご相談ください。
なお、平成2年(1990年)に派遣先に対する指針が出されています。
派遣元事業主及び派遣先が講ずべき措置に関する指針
(平成8年労働省告示第102号)
●第1 趣旨
この指針は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という)第3章第―節から第3節までの規定により派遣元事業主及び派遣先が誰ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
●第2 派遣元事業主が講ずべき措置
1 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
派遣元事業主は、派遣先との間で労働者派遣契約を締結するに際しては、派遣先が求める業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件を事前にきめ細かに把握すること。
2 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
派遣元事業主は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該労働者派遣契約に係る派遣先と連携して、当該派遣先からその関連会社での就業のあっせんを受ける等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
3 適切な苦情の処理
派遣元事業主は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣元事業主において苦情の処理を行う方法、派遣元事業主と派遣先との連携のための体制等を労働者派遣契約において定めること。また、派遣元管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載すること。
4 労働・社会保険の適用の促進
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の就業の状況等を踏まえ、労働・社会保険の適用手続を適切に進めること。
5 派遣先との連絡体制の確立
派遣元事業主は、派遣先を定期的に巡回すること等により、派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約の定めに反していないことの確認等を行うとともに、派遣労働者の適正な派遣就業の確保のためにきめ細かな情報提供を行う等により派遣先との連絡調整を的確に行うこと。
6 派遣労働者に対する就業条件の明示
派遣元事業主は、モデル就業条件明示書の活用等により、派遣労働者に対し就業条件を明示すること。
●第3 派遣先が講ずべき措置
1 労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際しては、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、業務の内容、当該業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件の内容を十分確認すること。
2 労働者派遣契約に定める就業条件の確保
派遣先は、労働者派遣契約を円滑かつ的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること。
(1)就業条件の周知徹底
労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に提示する等により、周知の徹底を図ること。
(2)就業場所の巡回
定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。
(3)就業状況の報告
派遣労働者を直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。
3 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
(1)労働者派遣契約の解除の申入れ
派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うこと。
(2)派遣先における就業機会の確保
派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。
(3)損害賠償等に係る適切な措置
派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、当該労働者派遣契約の残期間及び派遣料金等を勘案しつつ、派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。
4 適切な苦情の処理
派遣先は、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携を図るための体制等を、労働者派遣契約において定めること。また、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、その内容を派遣労働者に説明すること。さらに、派遣先管理台帳に苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容及び苦情の処理状況について、苦情の申出を受け、及び苦情の処理に当たった都度、記載するとともに、その内容を派遣元事業主に通知すること。
5 関係法令の関係者への周知
派遣先は、労働者派遣法の規定により派遣先が講ずべき措置の内容や労働者派遣法第3章第4節に規定する労働基準法(昭和22年法律第49号)等の適用に関する特例等の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講ずること。
6 派遣元事業主との連絡体制の確立
派遣先は、派遣元事業主の事業場で締結される労働基準法第36条の時間外及び休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求める等により、派遣元事業主との連絡調整を的確に行うこと。
7 派遣労働者に対する説明会等の実施
派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施し、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容についての説明、派遣労働者が円滑かつ的確に就業するために必要な、派遣労働者を直接指揮命令する者以外の派遣先の労働者との業務上の関係についての説明及び職場生活上留意を要する事項についての助言等を行うこと。
8 派遣先責任者の適切な選任及び適切な業務の遂行
派遣先は、派遣先責任者の選任に当たっては、労働関係法令に関する知識を有する者であること、人事・労務管理等について専門的な知識又は相当期間の経験を有する者であること、派遣労働者の就業に係る事項に関する一定の決定、変更を行い得る権限を有する者であること等派遣先責任者の職務を的確に遂行することができる者を選任するよう努めること。
派遣労働者の悩み110番関連ホームページ(目次) 平成2年(1990年)の指針
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