updated Aug. 24 1998
派遣110番によく寄せられる質問と回答例(FAQ)
お尋ねの文言のとおりであれば、これは「二重派遣」に当たります。
労働省の解説書では、次のように指摘しています。
「いわゆる『二重派遣』とは、派遣先が派遣元事業主から労働者派遣を受けた労働者をさらに業として派遣することをいいますが、この場合、派遣先は当該派遣労働者を雇用している訳ではないため、労働者派遣を業として行うものとはいえず、形態としては労働者供給を業として行うものとして、職業安定法第四四条の規定により禁止されます。」
(労働省職業安定局編著『改訂新版 人材派遣法の実務解説』45頁)
派遣労働関係では、使用者の責任が曖昧になるため、雇用主としての派遣元と実際に労働者を指揮命令する派遣先の二者しか認めないというのが、労働者派遣法の建前です。
実際には、こうした原則を脱法する目的で、「出向」「保証」といった形式が悪用されています。要は、実態として、二重派遣であれば、違法ということになります。
この1996年6月の法改正でも「二重派遣」などの違法行為が問題になりました。
二重派遣であれば、職業安定法第44条違反ですから、適法な関係を前提にした、派遣先や派遣元はないということになります。
A社、B社ともに、労働者供給業者として処罰の対象になりますし、それだけでなく、派遣を受入れた、派遣先も処罰の対象となります。
派遣社員の立場では、なかなか問題点を指摘しにくいと思いますが、二重派遣が違法であること、派遣元も、労働者派遣事業の許可の取消などの危険があることを理解してもらうことが必要だと思います。
しかし、こうした違法な関係のままでも実際に就労したときには、賃金その他の権利は、A社、B社、派遣先が連帯して支払いの責任を負うと考えられます。ただ、実際には、複雑な二重派遣関係のために、責任追及は難しいことが少なくありません。
結論として、二重派遣関係での就労は、派遣労働者にとって有利なことは何もありませんので、避けるほうが賢明です。