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哀愁のヨーロッパ
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食べる篇
Eat and Drink


食べる篇・CONTENTS

【各国別ビールの飲み方】
英国
フランス
イタリア
スペイン
ドイツ
オーストリア
ベルギー


【各国別ビールの飲み方】

カフェ、レストラン、パブでのささやかな経験による
「ビールはビールでもいろいろあるのさ」

英国

英国はビールがうまいはずだ。しかし、実際は「苦いだけだ」「どろっとしてる」「ぬるい」という不満があるのでは? それでは、イギリスにおけるビール文化について。

まず、パブに入りましょう。パブ自体はすぐ見つかります(パブについて深く知りたい人は、本を探してみてください。私のおすすめは玉村豊男『ロンドン 旅の雑学ノート』新潮文庫。もはや一昔どころかふた昔前になりそうな本ですが、いまだにロンドンを旅する人のバイブルです)。しかし、入りにくい。外で立ち飲みしている怪しい連中はいるし、思い切って中に入っても、誰かが声をかけてくれるわけではない。テーブル席はちらほら空いているが、座っただけでは誰も注文を取りに来ない。カウンター回りにはうじゃうじゃ立っている人間が多くて近づけない。

思い切ってカウンターの中にいるおじさんに「Beer, please!」と叫んでも、何やら聞き返されて理解できない。通じてないのか?

さて、イギリスで飲まれるビールには大きく分けて

1.エール(Ale)
2.ビター(Bitter)
3.ラガー(Lagar)

の3種類があります。これに、HalfとかOne(単位はパイントpt.=568cc)とかつけて頼むわけです。というわけで、あなたはパブのオヤジに「ビールはビールでもどれにするんだ? どのくらいだね?」と聞かれているわけです。となれば答えは、

例:A half (pint of) ale, please!

このうち、エールとビターは上面発酵で、ぬるい方がうまい、とされているのです。そして、このぬるっとした感じでコクを味わうので、「さわやかなキレのよさ」とは無縁です。そういうものなんです。日本風にキリッと冷えたのどごしさわやかなビールを飲みたい場合には、ラガーを頼んで「Cold one, please.」と付け加えてみましょう。ただし、それで望むものが手に入るかどうかは神のみぞ知る、ですが。

なお、最近はパブがメーカーの傘下に入る系列化が進んでおり、看板にビールメーカーが明記してあったりします。というわけで、ラガータイプやピルスナータイプが幅を利かせているそうです。いやな世の中になったもんだ。いつでもどこでも「冷たいビール!」一辺倒ではつまらないではないか。

あ、そうそう、パブではキャッシュ・オン・デリバリーなので、カウンターで現物と引き替えに代金を渡します。それから自分の席へ、あるいはカウンターなり外なりへ持っていくわけです。でも、みんな立ってますね。出会いと会話を楽しむ場ですから。

なお、ロンドンしか知りません。パブ以外のレストランも知りません。あしからず。また、最近はパブも様変わりして大陸風のサービス(フロアを回って注文を取り、飲み物や食べ物を運んでくれる人がいたり)をやっているところもあるらしい。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


フランス

カフェでのビールの頼み方はカンタンです。

Un demi, s'il vous plait!(アン・ドゥミ、シルヴップレ!)直訳=「半分、ください!」

で、500ccのビールがやってきます。たいていの場合、銘柄はKronnenburg(クローネンブール)です。

以上。

・・・。これでは不親切か。

Une bierreでもビールだとわかってくれますけどね。なお、「1リットル飲みたい!」という場合にはUne serieuseですが、ドイツのように気の利いた(泡が消えにくい)ジョッキで出てくるわけではないので、避けた方が無難です。希に銘柄を聞かれることがありますが、とくに希望がなければクローネンブールといえば、それがなくても平均的なものを持ってきてくれます。

なお、数は少ないですが、ビール中心のカフェも存在します。私が知っているのはソルボンヌ大学の近くの店ですが、たくさんのベルギービールが置いてありました。

ビストロ、レストランではお願いですからビールは頼まないでください。たとえメニューにあっても、思いっきり馬鹿にされます。ワインがダメならペリエとかエヴィアンとかミネラルウォーターをおすすめします。例外はブラッスリー(アルザス地方の居酒屋/レストラン。ドイツと国境を接していているのでやや文化が近い)など。あ、中華料理とかインド料理とかはもちろんビールでOKです。しかし、そこでもフランス人はけっこうワインで通しますねえ。意地っ張りなのかしらん。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


イタリア

フランスやスペインと似ていますが、リストランテでビールを頼んでもあまりバカにされない(ような気がします)。でも、昼間のバールやカフェなら、カンパリソーダを頼んで行き交う人々を眺めるのがオツですね。個人的な好みですが。

実は、あんまりビールを飲まなかったので。すみません。3回も行ってるのになあ。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


スペイン

Cervessaセルベッサというのは、もっとも早く覚えるスペイン語でしょう。とにかく喉が乾くし、水よりもコーラよりもビール(セルベッサ)の方が安い。しかも、スペイン語では【V】音は、【B】音とおんなじ発音でいいので日本人でも楽勝。なんの憂いもなく、
「セルベッサ、ポル・ファボーレ!Cervessa, por favore!」
と叫びましょう。

バールで立ち飲み。オリーブとか蛸の足とかハムとかのつまみの小皿(どれかひとつですよ)が突き出しとして出ることが多いようです。鉄板の上で海老の塩焼き(鬼殻焼きみたいなヤツ。ガンバ・ア・ラ・プランチャ)とか、イカの姿焼きとかやられた日にはもうたまりません。けっこうな値段ですがつい頼んでしまい、それが塩辛くてセルベッサのおかわりを注文し、ぐいぐい飲み干すと今度はおいしそうなオムレツの匂いが・・・というように、ある意味でかなり人間の深い欲望を衝いた(そんな大層なもんかい!)商法です。

あ、あんまり銘柄は気にしなくてもいいみたいです。そんなにいろいろなビールを置いている店を見たことがありません(単に安いところしか知らないだけだろう>自分)。

ところで、初めてバールで飲んだとき、私がイギリス風にキャッシュ・オン・デリバリーで払ったら、受けてはくれたのですが、情けなさそうな眼で見られました。スペイン人はイギリス風は大キライですので、気をつけてください。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


ドイツ

街ごとに種類が違います。ケルンならケルシュ・ビール、ベルリンならベルリーナー・ヴァイス。唯一、ひとつの街で各地のビールが飲めるのはフランクフルトのザクセンハウゼン地区の飲み屋だそうです。ただ、ここは観光客向けと地元の常連のみのクローズドとあるらしく、なんか敷居が高いんですよね(意外に小心者)。

さて、その街の名物ビールとはいえ、かなり個性が強いため、事前にある程度の傾向を知っておく方がいいかも。たとえばベルリーナー・ヴァイスは無茶苦茶甘くってとても食事には合いません。でも、他の街ではだいたい、デタラメに頼んでみても、どれも抜群にうまかったなあ。ああ、これがビールというものか、っていう感じ。たいていの日本人の感覚に合う気がします。

なお、けっこうビールの選択肢はたくさんあります。白とか黒とか赤とかあったり、しかもこれが各地で、またそれぞれの店で違うのでちょっと大変かも。私が行ったところ(レストラン/居酒屋)はどこもメニュー(さすがに写真入りはまずない)があったので、指差して頼めたので楽勝でした。もちろん味の予想は当たったりはずれたりですけども。カフェではコーヒーかワインを頼んでいたので、よくわかりません。

ところで、ビール飲みの祭典オクトーバー・フェストでは、大変な人口密度で席を見つけるどころか、ビールにありつくのも大変なんだそうです、一般的には。ところが私が体験したのは、がら空きのテーブルで代わりばんこにやってくる「おかわりはいかが?」攻撃だったんですよね。詳しくはここにて。コチラもあるよ。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


オーストリア

まあ、ドイツと一緒かな? ウィーンとザルツブルクしか知りませんが。

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


ベルギー

最後は、ビールの聖地。そのヴァリエーションの広さ、うまさの深み、これだけのために繰り返しベルギーに行く価値があるでしょう。しかも、食事がうまい。イギリスとかドイツとかオランダとは段違いの差がつきます。

その種類については各種ガイドブックを参照してください。ここには書き切れません。ただし、たいていは何かの本の不正確な孫引きなので、あまり信用しないように。この分野では、素晴らしいサイトが(「すばらしきベルギービールの世界」しかも日本語!)があります。私がウダウダ書くよりも、ここを訪ねてみてください。

とにかく、あなたが本当においしいビールをさがしているのなら、ビールの真実を求めているのなら、ベルギーに行くべきです。だって、駅の構内の小さなキオスクのようなカウンターだけの店でも、10種類近くのビールを、しかもそれぞれのビール専用のグラスで出すんですよ!

(C) Takashi Kaneyama June15, 1999


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