奥田民生に賛成なのだ
電子書籍もよろしく→ 奥田民生の曲は一見単なるオールディーズ趣味にビートルズの引用をちりばめたようなものに聞こえるが、実は少ない音数で結構凝ったことをしている。つまり、少しの明示的情報で多くの暗黙的情報を表現するという美しさや面白さの追求なのだ。
また、その曲に対して歌詞がなじんでいる。奥田民生は先に曲を作り、そのメロディーになじむように歌詞を乗せているからだ。乗せる言葉も韻や響きを優先していて、言葉の意味に隙間があるので、色々な解釈ができるようになっている。そして本人は「歌詞に意味は無い」と強調している。奥田民生の歌詞は比喩的表現なのだろう。
「イージュー★ライダー」 ♪退屈ならそれもまたグー
→ 退屈を楽しめればお気楽である
「これが私の生きる道」（パフィー） ♪少しぐらいは不安だってば それが私の生きる道
→ 不安と可能性は一体だ
「MOTHER」 ♪全ては忘れる事だと解った 正しい心で明日に向かった
→ 古い価値観を忘れるのだ
→ 海と青空
「さすらい」 ♪さすらいもしないで このまま死なねえぞ
→ さすらうとは、自分のやりたいことをやるために試行錯誤することだと思う
参考文献：
「奥田民生ショウ」宇都宮美穂1992（ソニーマガジンズ文庫）
「フィッシュ・オア・ダイ」奥田民生1996（角川書店）
（98.5.5）