タイ

Thailand
タイは人口5,100万人。1986年のGDP $44.7Bil(=4兆5千億円)の国です。人口は日本の半分弱、GDPは1/50です。
タイ族の原居住地は中国南部の雲南から四川南部とされています。

タイが歴史に登場するのは13世紀のことです。13世紀の前半に、当時栄えていたクメール帝国(カンボジア)の支配を打ち破った部族として記録されています。この王朝はスコータイ朝とよばれます。(スコータイ王朝の発展により、クメール人はアンコールを放棄し、現在のプノンペンへ王都を移しまし た)。 スコータイ朝は、メナム川上流に基礎をおきました。その後、メナム川下流のアユタヤに王朝ができ、スコータイ朝は滅びました。アユタヤ朝も1767年滅びました。
1767年以来タイではラタナコーシン王朝が続いています。現在のプミポン国王はこの王朝の第9代であり、ラーマ9世 と称します。
ラーマ4世は映画「王様とわたし」のモデルになった人物 です。
ラーマ5世チュラロンコン王(在位1868-1910)は、西欧列強のアジア進出のなかで西欧文化・技術・軍事を積極的に取り入れつつ国力の増強をはかり、タイ国の独立を保った名君とされています。

タイは上座部仏教の国です。
「民衆は、ブッダが前生に積んだ善行物語を集めたジャータカのなかに、この世における善行が、後の世の生存にとって好ましい結果をもたらすという仏教の教えの確かな証拠を見る。 」
「国王に与えられた高い名誉と地位とを、その国王が前生に積んだ限りない善行の結果として了解する のである。」
(P.405, 東南アジアの事典)


19世紀タイの英仏関係

タイは1855年ころから対英仏不平等条約に苦しんでいました。 この不平等条約を改訂し、独立を維持するため、タイはフランス、イギリスとの交渉にあたって、領土割譲を取り引き材料にせざるをえませんでした。
現在のカンボジア領土の西側かなりの部分は19世紀にはタイの領土でした 。タイはフランスに現在カンボジア領土となっている部分を割譲しました。フランスはさらに、フランス人殺人事件を口実にして、ランサーン三王国(ルアンプラバン・ビエンチャン・チャンパーシェック。現在のラオス)をタイから割譲させました。 また、タイはマレー半島の一部をイギリスに割譲しました。
これらの犠牲をはらったものの、タイは独立を保ちました。このことは英明なラーマ5世チュラロンコン王(在位1868-1910)の大きな功績とされています。

イギリス、フランスがインドシナを侵略・併合したこれらのできごとはヨーロッパ帝国主義列強の横暴でした。
大東亜戦争(太平洋戦争)は東南アジアへの西欧列強支配を打ち破ろうとするものだと、戦前の日本は主張しました。ところが、その主張にもかかわらず、日本の活動は実態としてアジア諸国の独立を守ろうとするものではありませんでした。大日本帝国自らも覇権主義を採り、アジアを侵略し、搾取による利益を得ようとする政治・軍事行動を行ったことは否定できません。


太平洋戦争時のタイと日本

タイは1941年から1945年の大東亜戦争(太平洋戦争)では日本の同盟国となり、米英に宣戦布告しました。1945年12月の太平洋戦争開戦時に、タイはシンガポール攻略にむかう日本軍の通過を認めました。
日本の敗戦後、宣戦布告は日本占領下で行われたもので、タイ自身の自主的な判断が不可能な状況だったと主張し、敗戦国としての取扱いを無効とするよう連合国に主張しました。フランスのドゴール亡命内閣を例に引いたこの主張を、アメリカは認めましたが英国は認めませんでした。


タイとラオス

タイ族とラオ族は共通の祖先を持つ民族です。タイ族・ラオ族の共通祖先は8世紀ころから、中国雲南地方からインドシナ半島に南下してきました。タイ民族の南下は、発展する漢民族に圧迫されたことが原因と考えられています。インドシナ半島に達したタイ族・ラオ族は、スコータイ、チェンマイ、アユタヤ、バンコクなどのタイ地域に住んだ群と、ルアンプラバン、ビエンチャンなどラオス地域に住みついた群(ランサーン三王国)にわかれました。タイ族はインドシナ半島で発展、強国となり、 インドシナ半島を東進し、先住民族であるクメール人を南方に追い遣りました。クメール帝国の都アンコール・ワットが1300年から1500年頃放棄されたのはタイ民族が膨張しインドシナ半島東南部へ進攻したためです。
一方ラオ族は山岳地方に依拠する小国となりました。国力の差から、タイは18世紀からランサーン三王国に宗主権をもつに至りました。
(参考)
  1. 「東南アジアを知るシリーズ - タイの事典」, 同朋舎出版, 1993年, 石井米雄監修, 項目-第二次世界大戦
  2. 「ラオスの歴史」


more about Thailand :
http://sunsite.au.ac.th/thailand/thailandhome.html
http://www.eskimo.com/~putt/siam/

copyright Eiji Takeuchi, 1995
last update : July 13,1996
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