6月22日(エクスレバン・フランス)
晴れ、気温27℃
午前練習のみ:ボール回し、軽いランニング、各自のシュート練習
GKは軽いキャッチング練習に体操


「ここが、心身の正念場」

 日本代表は午前練習を行い、疲労を抜くこと、コンディションの維持に努めた。フラビオコーチによれば、中西永輔(市原)の体重が3キロ減少したのをはじめ、ここにきて選手の体重が少しずつ減るなど、疲労も出始めている。しかし、この点も計算し、3週間のトップコンディション期間を作るようなプログラムをしてあるという。
 同コーチは、「体が動かずに負けた、或いは相手に走り負けしてやられた、そういうことは絶対に起きないだろう」とジャマイカ戦への調整には自信をのぞかせる。山に囲まれたエクスレバンも先週末から気温が上昇し、昼間は30度を超える。W杯を戦い抜く、という本当の意味がここに来て理解できるように思う。

 警告2枚を受けジャマイカ戦は欠場する中西は、「アルゼンチンもクロアチアも絶対に普通にはボールを受けない。すべてのパスで必ずこちらの体に一発を…」といって、スーケルに受けた肘鉄の跡を見せた。わき腹のあたりが黒ずんでいた。

「岡田監督の去就について」

  岡田監督は練習後「わたしの不用意な発言で騒がせてしまっているが、選手には、この試合がどんなに重要で(ジャマイカ戦)集中しなくてはならないかを話した」と、練習前ピッチ上で行ったミーティングの内容について明らかにした。

 冷静な監督にしては珍しいと思わせた試合後の「責任は」という発言だが、やはりそれだけ落胆したということだろうか。
 これは、日本にいる際から繰り返ししている話で、「プロ監督として、目標を立ててそれを達成できなければ、全責任を追うのは監督」という、契約の原則論である。「選手の責任ではなく、自分が責任を取る」というものに過ぎない。そもそも契約自体が7月末までということであれば、結果はどういうものであっても、どちらにせよ、一度は区切りをつけることで、岡田監督、協会も納得している。この契約期間の内で、解任、辞任、などの表現を使うことは、人事異動を扱う上でも適切な言葉ではないのではないか。岡田監督は惨敗すれば、指導者としての道はなくなる、という個人的な「覚悟」は持ってこの大会に来ている。問題になるのは、契約終了後、今大会後の扱いである。協会としては、予選の戦いぶりを判断した上で、代表の指導者は失格という烙印を押すのか、それとも評価をした上で、引き続きどこかの年代の代表監督を頼むのか、ここで新しい話が必要になる。

 その件については、クロアチア戦直後に、強化委員会の今西副委員長が「今年、もうひとつの大イベント、アジア大会で21歳以下のチームを率いて欲しい」と、すでにオファーを出していたことを明らかにしている。
 つまり、加茂監督の引継ぎ的な形で就任した岡田監督をねぎらい、次はもっとゆっくりと、2000年のシドニー五輪をまずは目指してもらえないか、という話しである。この8か月ばかり、岡田監督にとっては非常に居心地の悪い代表監督のイスではなかったか。それをもう少しましなイスに替え、今度はまず五輪からゆっくり座って、育てて欲しい、そういう依頼である。

 長沼会長も21日現地で「そうやって(若手起用のみで)2002年を目指すのが一番いい方法で、アジア大会もフル代表でやる必要はない」と、極めて珍しいことに、協会内の意志統一がすでにはかられていることがわかった。監督はもちろん、大会が終わるまで返事はしない、としている。しかし、フル代表はしばらく別の監督が指導してでも、2002年を目指した五輪代表と岡田監督に重きを置く、というスタンスである。結論は大会終了後に出されることになるが、岡田監督が、これをひきうける意思は十分にあると思う。

「イランがやるなら…」

 21日、イランに一足先にアジアの1勝(今大会)を挙げられてしまっただけに、選手には新たなモチベーションが生まれているようだ。
 井原は、「イランはいいサッカーをしたと思う。自分たちも、ここで一々落胆してがっかりしているようではW杯という舞台に来た意味もない。ここまで来てくれた、あるいは日本で応援を送ってくれているサポーターに1勝を贈りたい」と力を込めた。
 また岡野も「ジャマイカに勝って帰国しないと、2002年が来ないような気がする」と周囲を笑わせ、「結果が欲しい。ほかには何もいりません」と、悔しさをにじませていた。
 中西の出場停止にも、基本的な戦い方は変わらないだろう。3−5−2で(森島の起用)行き、小野をもっともいい見せ場で投入する、そうういシナリオではないか。アルゼンチン、ジャマイカ戦を視察した小野コーチは「ジャマイカを侮ったりしたことはない。オプションはいくらでもあるので、きょう22日中には監督とゆっくり話し合う」と、午後の休養も戦術会議にあてることを示した。

「市川は全治3週間」

 21日の練習試合で左足首をいためた市川の診断結果が発表され、左足関節の捻挫で全治3週間となった。しかし、あくまでも試合を見たい、という本人の希望と、岡田監督の意向で帰国はさせず、帯同する中でリハビリなどを行なう。

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