6月12日午前10時(エクスレバン・フランス)
選手移動、リヨン経由チャーター便にて午後1時前にトゥ―ルーズに到着する予定。
練習は午後5時からトゥールーズにて行われる。


 日本代表22人がいよいよトゥールーズに向けて出発する。11日には井原がイタリア対チリ戦の後に会見を行い、「いつも通りやるだけですし、いつも通りのこと以上はできないと思う。日本のコンパクトなサッカー、組織で戦うサッカーを見せたい」と、抱負を話した。しかし厳しい表情もしていなければ、悲壮感もない。
 ここまで3試合を観戦した印象として「リスタート(セットプレー)から点が入っているケースが多い。これは自分たちも気をつけないといけないし、イエロー、ハンドなどDFにとってはかなり厳しい笛になっている」と今大会の印象、参考になる点を分析。14日の主審は、すでに昨年のW杯予選カザフスタン戦(国立競技場)のゲームを吹いた主審に決まっている。
 中山、城は「よく覚えていない」と話していたが、よく覚えていない、ということは裏をかえせば流れに乗ったジャッジだったということ。立ちあがりのミス、ファール、セット午垈などの注意を再度、チーム全体で確認することになっている。

  本日までに取った選手のアルゼンチン戦に向けてのコメントを一挙掲載します。22人、プラス市川、じっくり読んでください。
カッコ内は、年齢、所属、代表Aマッチ出場

小島伸幸(32、平塚、キャップ5)
ピッチに立って1次リーグを突破し、決勝トーナメントに進みたい。日本は厳しい予選を勝ち抜いて来たので簡単にやられたくないし、一泡ふかせたい。

川口能活(22、横浜M、キャップ27)
ここに来る前にはオルテガのシュートをばっちり止めている夢なんて見てました。今回は心身ともに過去最高の状態だと思う。とにかく最初のボールタッチを大切に。アトランタの自信を胸のどこかにしまって行く。

楢崎正剛(22、横浜F、キャップ2)
自分にもチャンスが回ってくることを最後の最後まで信じてやるだけ。親善試合ではないので、経験したことのない厳しい試合になると思っている。

井原正巳(30、横浜M、キャップ116)
初めてのW杯に挑戦した90年は、自分からして、行けそうもないなあ、という感じでしたから、今が本当に夢のようです。夢と同時にこれは現実の戦いです。95年1月、加茂監督ではじめて対戦したときのアルゼンチン(1?5)戦の借りは返す。

小村徳男(28、横浜M、キャップ31)
結果は後からついてくるもの。ベストを尽くすことが大切だと思う。個人的にも、日本も失うものは何もないと思う。

秋田豊(27、鹿島、キャップ27)
1次リーグを突破し、ベスト8に進みたい。相手のことより、自分の力を最大限出すこと以外は考えていない。フランスは情緒あふれる好い所です。

相馬直樹(26、鹿島、キャップ50)
左サイドでしっかり守備をしてそこから攻撃をしたい。自分の役割を果たしてチームに貢献したいと思う。もちろんどこも強い国なので厳しい戦いになると思うが。

名良橋晃(26、鹿島、キャップ29)
自分自身楽しみながらプレーをしたい。チームの目標イコール監督の言う目標だと思う。W杯は自分だけでなく多くの人の夢。名誉なことなので精一杯午垈をしたい。

斎藤俊秀(25、清水、キャップ14)
恐れることなく、自分たちの力を出したいと思う。アルゼンチン戦は集中力、クロアチア戦はとにかく堅い守備、ジャマイカは攻撃的にやれるはず。W杯は過酷で厳しい大会というイメージです。

中西永輔(24、市原、キャップ8)
W杯は子供の頃からの夢で、その舞台に立てるかと思うとうれしくてし方ない。レギュラーで出場して、相手の攻撃を防ぐ午垈をしたい。Hは非常に難しいグループではないか。

服部年宏(24、磐田、キャップ6)
1つでも多く勝つことが、日本のサッカー、自分自身のためにも大切なことだと思う。1次リーグは色々なタイプの国と対戦できるのできっといい勉強になると思う。

山口素弘(29、横浜F、キャップ56)
最初のアルゼンチンのこと以外、全く考えていない。優勝候補とはいえ同じ人間だし、面白い結果を出したい。W杯はサッカーだけでなく、スポーツの中で最大のイベント。名誉だし、自分を試したい。

森島寛晃(26、C大阪、キャップ36)
フランスのピッチに是非立ちたい。絶対に勝てない試合などないと思う。自分としては86年メキシコ大会のマラドーナが大変印象に残っています。

名波浩(25、磐田、キャップ44)
10番が嫌なのではなくて、決まったイメージで決まった役割を求められるような形が嫌なだけ。最近あまり嫌ではなくなって来ました。W杯は自分の楽しみのためじゃなくて、組織をどう動かせるか、その役割をまっとうしたい。国歌を聞いたら気持ちが高まるんじゃないか。

平野孝(23、名古屋、キャップ10)
いかにストライカーに点を取らせるか、それが自分の仕事だと思っている。ベンゲル監督(エクスレバンを訪問)には体力もあるのだし、チームが厳しい時にこそがんばれと言われた。

伊東輝悦(23、清水、キャップ2)
まずは出場することを目標にしたい。清水のアルディレス監督(78年大会の優勝メンバー)からは、経験をつめばいいんだから、楽しんで来なさい、といわれている。五輪とは前々違うものではないか。

中田英寿(21、平塚、キャップ22)
個人としてどこまで通用するのか、いつも国際大会では同じ目標だが、それを知りたいと思っている。自分の体調を整えて全力を出すことが大事で、相手のことは気にしていない。あまり先のことは考えずに1つずつ戦う。

小野伸二(18、浦和、キャップ2)
今までW杯は遠い存在のものだと思っていた。現実になってうれしいし、もしもチャンスが回ってきたら、自分の力を100%発揮して、世界に自分の名前を売れるようにしたい。

中山雅史(30、磐田、キャップ27)
W杯を戦える幸せを実感しています。チャンスごとにゴールに飛び込んで、1本でも多くシュートを打ってゴールできれば最高です。1次リーグ突破を目標にしたい。

呂比須ワグナー(29、平塚、キャップ9)初めてのことなので、どのくらい緊張するか、どのくらい集中できるかそういう問題はあるが、自身を持って戦いたい。昔からの夢なんで、ピッチに立てるようにがんばりたい。

岡野雅行(25、浦和、キャップ25)
小さい頃は日本にはプロもなかったし、自分には関係ない大会と思ってきた。その大会に参加するなんて、不思議な気持ちだ。アルゼンチンは好きなチームなので楽しみ。

城彰二(22、横浜M、キャップ24)
プレッシャーは正直言って感じているし、こういう時に感じないはずもない。カズさんがいなくなって代わりという表現もされるけれど、自分には自分のプレーしかできない。組織のサッカーを世界に見せたい。

市川大祐(18、清水、キャップ1)
2日、22人枠から漏れてからここに残って本当に良かったと思う。レベルの高い中に自分をおいてやれること、代表でいることの意識、戦術、すべてが勉強になる。

6月12日午後(トゥールーズ・フランス)
天候:晴れ時々曇り、気温17℃
練習メニュー:体操、20分の紅白戦(非公開)


 日本代表はこの日午後試合会場となるトゥールーズ入りし、午後5時半から市内の競技場で練習を行った。練習はクローズで行われ、周囲には「騎馬警官」と呼ばれる欧州独特の警備態勢が敷かれるなど、(馬体の高さを利用して見まわりができるためだという。ウエンブレ―競技場なども騎馬警官が待機する)厳しい警備が敷かれた。さらに、選手のホテルの周りもこの日から24時間の警備態勢となり、緊迫感が漂いはじめている。

「ジャージ姿、こりゃ縁起が…」

岡田監督は練習後の会見で、「ここまででやるべきことはすべてやった。満足している。あとは、2つ3ついつもとはちょっと違うことを言う(メンタル面のこと)だけ。自分たちのスタイルに自信を持って欲しい」と話した。こちらに到着してからの方が、表情がリラックスしているように見えるが、という質問もあったが、「ここに(W杯)来た監督でリラックスしている人がいるんですかねえ」と逆に切り返すやりとりもあった。
 10日に開幕して現時点で7試合が消化された。
 岡田監督、当日はもちろんジャージ姿になる。「みんなジャージでしょう。このままでいいなじゃないの」と笑ったが、実は、「ジャージ監督」勝率がいい。
 開幕のブラジル・ザガロ監督(2−1)、フランスのジャツケ監督(3−0)はともにジャージで初戦に勝利と快調な滑り出し。ほかにもイタリア・マルディーニ監督も(2−2)、パラグアイ、オーストリア、ブルガリアみな同点でまずまずのスタートを切っている。ちなみにパサレラ監督は常にスーツ。ベージュ、紺がスキなカラーだそうだ。

「バティストゥータのケガは本当か」

 この日、日本の報道陣の間でアルゼンチンのエースストライカー、バティが「足首のケガで病院に運ばれた」という情報が駆け巡った。情報はその後、「足首」が「太もも打撲」に代わり、病院は「宿舎内の医務室」と交錯するばかり。真相を知ろうにも、その一報を流したテレビ局以外には誰もわからない状態で、最後は岡田監督に「バティがケガをしたそうですが」という話にまで発展した。
 しかし、先日アルゼンチンの会見取材に行った際、彼らの施設のロケーションにまず驚かされたことを思うと、確認できる話しだったのかどうか疑問が残る。 まずは、施設には誰1人入れない。入れない施設の一番奥に彼らのグランドがあり、3方は丘に囲まれている。もちろん覗き見をしようと思えばできるが、いい位置ならすぐに見つかるはずだ。アルゼンチンの同行記者たちによれば、バティが練習にいなかったのは、足の怪我ではなく、パサレラがトップ選手に何人かに休養を与えるために外しただけだったという。「ただの噂話しに過ぎない。それにしても日本でそういう情報が出たことが面白い」と言われた。一方では、本当にケガをしており、大事を取った、という証言もあった。

 いずれにしても、きょう13日、どんな姿でムニンシパル競技場に姿を見せるか、バティ、第2の「アジジ作戦」なのか。とにかく自分の目で確認しない情報の扱いは慎重にしなければならない。

 秋田は騎馬隊の馬を見て「相馬だ相馬だ」と、相馬をからかった。バティの話しにも冷静なのは選手ばかり。「だれが出てもそう変わらないんですよ」と一蹴。井原も「準備万端。不安はあるがやれることはすべてやった、と信じてピッチに立ちたい。あとは監督に使ってもらうだけ」と、こちらも冷静だった。

 代表はきょう13日、いよいよ本番のスタジアムで練習をし、午後一杯を休養とミーティングに当てる。

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