6月10日午前(エクスレバン・フランス)
どしゃぶり、気温21℃


 午前練習が休養になり、選手は朝食後に散歩をするなど、それぞれリラックスタイムを過ごした。
 井原正巳、小野伸二が一緒に散歩。記者はこういう時間に声をかけることはしないが、たまたま同じカフェで会った。
 欠場、3試合絶望と言われている井原は、ヒートアップする報道にはさすがに苦笑。
「友人からも、出ないの?と電話が殺到して本当にびっくりした。もうあきらめていっそうのこと、2002年狙いますか。小野キャプテンの下で」とジョークを飛ばし、横にいた小野は「うーん、起用は慎重にしないと」と応戦。2人はジャージ姿でぶらぶらと石畳の街にとけ込んで行った。
 井原は言うまでもなく、カズ、北沢が抜けてもっとも大きなショックを受けた選手である。しかし、以来、市川や小野、中田らと以前にも増して会話をする時間が増えているように見える。
 右ひざについていえば、現時点がもっとも苦しい時期ではないか。アルゼンチン戦欠場、3試合絶望というのは簡単だが、今はあらゆる手を尽くしている時である。
 あの井原がここにきて練習を1週間休むというのは、よほどのことである。関係者によれば、「井原だから1週間で復帰している」という。ドーピングにかからない鎮痛剤の服用、湿布、針とありとあらゆる手段を尽くしている。こうした考えは決して美化されるものではないが、最後は「プライド」という特効薬に頼るしかないのではないか。9日夜、井原は岡田監督とミーティングを行っている。
 最終的には、10の練習で決断されると、記者は考える。それがタイムリミットである。

6月10日午後(エクスレバン・フランス)
どしゃぶり、気温19℃
練習メニュー:午後14時半から(非公開)、体操、紅白戦50分


「井原は出場に向けてAチームに合流」

 アルゼンチン戦に出場か欠場か、注目されている井原正巳(30=横浜M)はこの日、1週間ぶりにAチームに合流し、紅白戦50分をフルに行った。練習は非公開のため、岡田武史監督の話しによるが、井原の動きには「全く問題なかった。一度も交代せずにやらせました。選手にも積極性が出た来た」と、井原の復帰にメドが立ったことを明らかにした。
 また別の立場から、福林チームドクターは、「問題はありませんでした。これだけ下が悪くても(朝から土砂降り)痛みなどはなかったようだ。後はテーピングでひざを固めているので、取った方がいいのか、どうかを慎重に判断したい」とした。ドクターによれば、万が一に備えて、ドーピング検査のための書類を準備しているという。痛み止めは基本的にはステロイドを含み、これは禁止薬物とされている。このため、こうした痛み止めを使用する際には、試合開始48時間前に使用する薬物の「事前申告」書類が必要になるという。井原が痛み止めを希望した場合には、すぐに打つことができるように態勢を整えている。出場に向けての準備が進んでいるといえる。

「恵みの雨??」

 この日エクスレバンは朝から土砂降りで、 練習場にもかなりの水がたまった悪条件下でクローズ練習が行われた。しかし、悪条件と思ったのは、こちらだけで、選手、監督にはむしろ「恵みの雨」だったようだ。
 エクスレバンの芝は、手入れは行き届いているものの、芝が長く下が柔らかい。このため特にMFの間では「ボールが転がらない」(中田)「下が柔らかいのでボールに回転がかからない」(名波)「重い」(小野)といった感覚のようだ。ここ3日間快晴が続いていたため、10日も晴れるようなら、朝から水をまいてもらうように計画していた矢先だったそうだ。ツールーズの芝に合わせて25ミリにカットしている。
 日本のスピードを少しでも生かすならば、やはり下は水を含み、ボールがより滑る方が良いという狙いからだ。いずれにしても、9日現在ツールーズの14日の天気予報は晴れ、23度、微風。天気はどちらに微笑むか。

「選手も観戦」

 W杯が開幕した、といっても、ここエクスレバンでは、街も静かなもの。しかし、日本代表は開幕戦のブラジル対スコットランドの試合を食堂で観戦することになった。監督も「全員で一緒に何かを見る、というのもいいんではないかと思って」と、特別に食事前の観戦を許可。100インチの大画面で見る映像が、選手の気持ちを鼓舞する。

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