6月7日(エクスレバン・フランス)
雨、気温17℃


 日本代表は7日、14日のアルゼンチン戦を前にした最後の練習試合を行い、1?0でこれまで予定されたすべての対外スケジュールを終了した。相手は地元フランスリーグのグーニョンで、前半8分、中田のCKに中山が頭で合わせて得点。しかし、2部クラブを相手に得点はこれだけ。後半はメンバーを入れ替え全員を試合に出場させたが、浮き彫りになったのは、相変わらずの得点力不足。結
局収穫のないまま、試合を終えたことに不安は残る結果となった。

「寒い」

 エクスレバンは6日まで気温も30度近く、湿度も高い日が続いていたが、7日夜から振り出した雨に気温は一気に半分の17度にまで下がった。しかしこれよりも寒かったのは、FW、攻撃陣のでき。前半にも中山、城が1本ずつ決定的なチャンスを外し、得点もCKからの1本と、またも「セットプレーだのみ」となった。
 この日ピッチのコンディションは確かに悪く、ボールも水を大量に含み、芝も長く、下が柔らかいために足腰には負担も大きい。
 しかし岡田監督は「問題は見ての通り得点がないこと。きょうは3点入っていても良かったはずで、1点とは…」と話していた。中山の得点は4月1日の韓日戦以来だが、このときは中田のパスに合わせたプレーからの得点。7日はまたもセットプレーからの得点となり、相変わらずゴール前、個人の能力に頼った形の得点。「しかし、日本が大量点を取るということは難しい。少ないチャンスを必ずものにしなければならないはず」と、城は自らをいましめるように話していた。

「井原のけが」

 井原が戦線離脱し(2日の午後練習から)、6日が経過している。井原という選手の勤勉さ、彼の立場を考えると、当初うわさされた
「秘密隠し」というものではなく、かなりの痛みをかかえているといえる。4月1日の韓国戦でわき腹を痛めた際の診断は、全治3週間で、その後、10日ばかりで復帰。選手になって初めて休むことの重要さを学んだ、と話していたが、今回はその経験から慎重に対処しているとも考えられる。7日午前中にはボールを蹴った練習を1人ではじめて行い、「ずいぶん良くなっている。ボールを蹴るよりも、DFとして切り返しなどの動きに非常に痛みが出る。アルゼンチンには間に合うと思うが、そこで無理をして競技人生をかけてすべて失うようなやり方もチームのためになるとは思えない」と話す。8日の回復次第で9日からはチームに1週間ぶりに合流できる見通しとなってはいる。

「新・鉄人」

 井原の負傷にともない、斎藤が1週間でフル出場3回をこなした。「試合をすることで体を作って行くタイプなので、あまり疲労はない。井原さんのような実績のある選手ではないので、チャンスがあればすべてをもらいたい」と、意欲を見せている。昨年は代表でもベンチ入りのみで、パーフォーマンスが著しく低下してしまった。試合全体についてはメンタル面の問題を挙げ「過緊張と、リラックスの中間の心理状態をつかまないと戦えない」と、残り1週間でのメンタルトレーニングを課題にした。

「本当の軍隊よりも…」

 6日、アルゼンチンの会見日に、リヨン郊外サンテティエンヌという街へ取材に行った。
 宿舎は、星のつかないスポーツクラブの仮宿泊施設のようなところ。しかし、敷地内に、グランド3面、うちひとつは雨天練習場という環境が完璧に整っている。後ろは急な丘のため、のぞかれるような心配はまったくない。門はすべて暗誦番号のオートロックになっており、マスコミがどんなに近くに寄ったとしても、この門から300メートルくらい先を通過する選手を眺めるだけである。
 アルゼンチンの記者によれば、2日から一度もも会見や練習公開がされておらず、あまりの厳しさに「これでもし日本にドローなどになったら、パサレラを許さない」と、フラストレーションがたまっているようだ。
 会見でも、「日本戦の先発は?」と聞かれて「わたしはブラジル人ではない」と、開幕スタメンを発表したブラジルのザガロ監督に皮肉も。「ナカタ、という髪を染めた選手はスピードもあり、しかもタフ。注目している。日本には恐らくアグレッシブに行くつもりだが、メンバーは日曜日(試合当日)に聞いてくれ」と、冗談のひとつもなし。残念ながら、油断とか、スキなどにはあまり縁のないチームのようだ。ベテランの記者は、「78年、ダニエル(パサレラ)たちが優勝したチームの状態に似てきた。日本に取りこぼしをするようなチームではないだろう」と強調。分かってはいるが、日本には苦しい戦いになるだろう。

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