12日、午後3時、国立競技場で行われるプレーオフ2戦目に向けて、日本、メキシコ両チームが前日公式練習を行った。初戦のアウェーは、5日、メキシコのアステカスタジアムで9万人もの観客を集めて行われ、日本女子は2-2で引き分けとした。現地は、標高2,200メートルの高地で、高温、観衆と難しい条件の中での引き分けに、ホームでの決戦に勢いをつけた。91年の第1回大会からの連続出場を果たしているだけに、「国立競技場でこれだけ注目してもらって試合に挑めることことは、非常に高いモチベーションを与えてくれるし、その中で気持ちの入ったいいゲームをファンのみなさんにも見せたいと思う」と、主将の大部由美(YKKフラッパーズ)は話していた。
すでにアウェーで2得点をしているため、出場権獲得の条件は勝利、もしくは1-1の引き分けまで、2-2からはゴールデンゴールとなる。
試合前の会見に臨んだ上田栄治監督の語尾は、どれも力がこもっていた。
「ここまで1試合ずつ成長をして来た。守備の意識を高く持って、集中を切らさず戦い抜きたい。あすは、日本の女子サッカーを盛んにするためにも大切な試合になるので、真剣勝負の中、ベストを尽くし、彼女たちのベストを(監督が)引き出したい」
女子サッカーの人口増加に努力する協会も、特別措置として、4大会連続出場を盛り立てる。日本協会の登録選手、監督、審判、指導員、後援会員は無料し、小・中・高生は500円(入場料)とするなど、アステカで9万のアウェーを耐え忍んだ日本女子へ、ファンに最大の励ましを呼びかけている。
「本当にすぐ耳のそばでも声が聞こえなくて驚きました。足を運んでくれるファンに感動をしてもらえるような、いい試合をしたい。個人的には全く元気。むしろ、この湿度はメキシコだけじゃなくて私たちにもかなり厳しいかもしれませんが」と、エースで、現在アトランタビートでプレーする澤 穂希は、汗をかきながらミックスゾーンで明るい表情を見せた。メキシコでは、高地のためにジョッグをしていても息が苦しく、また、高度順化がうまくいかない選手が多く、胃炎になるなど、試合当日までベストメンバーが定まらない苦しい条件だったという。
この日、国立競技場には数十人のメディアが集まり、選手は「こんなにたくさんの報道陣がいてくれるのは初めて。感激です」と、いつまでも丁寧に質問に答えていた。
女子は91年の第1回からW杯に出場を続けており、95年の第二回大会ではブラジルに勝ち、準々決勝に進出(アトランタ五輪出場権を獲得)するなど実力をつけている。
男子に置き換えれば、97年のジョホールバルでのイラン戦と同様の一戦。見逃す手はない。
◆女子サッカーW杯 |
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開催地 |
参加国数 |
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1991年 |
第1回 |
中国 |
12か国 |
優勝:アメリカ
(日本は予選G4位) |
1995年 |
第2回 |
スウェーデン |
12か国 |
優勝:ノルウェー
(日本は準々決勝) |
1999年 |
第3回 |
アメリカ |
16か国 |
優勝:アメリカ
(日本は予選G4位) |
2003年 |
第4回 |
アメリカ |
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※9月20日開幕。
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