11月17日

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東京国際女子マラソン招待選手記者会見
(東京・赤坂プリンスホテル)

●東京国際女子マラソン/11月19日(日)、午後12時5分スタート、国立競技場発着、大森海岸折り返しの42.195km)

 来年の世界選手権代表選考会を兼ねる東京国際女子マラソンの、招待選手記者会見が行なわれ、24歳の新鋭でアテネ五輪へのホープとして期待される土佐礼子(三井海上)らがレースへの豊富を語った。
 土佐は、今年3月、高橋尚子(積水化学)がシドニー五輪代表を獲得した名古屋国際女子マラソンで高橋から約2分遅れの2時間24分36秒、日本歴代4位という好記録で2位となったものの、上位陣の桁はずれの記録の陰で大きな注目を浴びることはなかった。
 今回は、ビッグレースとしては名古屋以来2度目で、中国・昆明での高地練習を主体にトレーニングを積み、自己記録更新、エドモントン世界陸上代表の決定に挑戦する。海外からは、シドニー五輪マラソン銅メダルのジョイス・チェプチュンバ(ケニア)、10000メートル金メダリストのツル(エチオピア)と、世界有数のスピードランナーが出場。昨年、折り返しコースの世界最高となった山口衛里(天満屋)の2時間22分12秒を照準にしたハイレベルの戦いとなる。

チェプチュンバ(2時間23分22秒)「シドニーが終わってから一度ケニアに戻り、1週間休んでからまたこのレースを目指して練習を再開した。現在はドイツで(ロルーペと一緒に)練習をしており、先日はリスボンでのハーフマラソンで1時間9分19秒といい記録で3位となった。準備は万全で、前回ここを走った際の28分は破りたいと思う。ツル選手は世界的にすばらしいランナーの一人で、一度ロンドンで一緒に走っている。今回もおそらくいい記録で走るでしょう」

ツル(2時間26分9秒)「国に一度戻ったが、金メダルの祝賀会、歓迎式典などが多く、それらをようやく終えて練習をはじめた。その後いくつかレースに出て、リスボンのハーフでは1時間9分9秒で1位になるなど、今回、4度目のレースには自信が持てる仕上がりです。コースは一度ビデオで見たが、難しい。チェプチュンバ選手は、私よりもはるかに多くのマラソンでの経験を持っており、彼女について行きたいと思っている」

「心臓が飛び出るかと……」

 昨年、山口が衝撃的な記録で優勝を飾った翌年だけに、誰もがこのレースには22分台、あるいは鮮烈なデビューを飾る新人の登場といった刺激を求めているかのようだ。そんな中、世が世なら日本歴代4位のヒロインだったはずの土佐が、改めて記録に挑戦する。
「2度目のほうが緊張しますね。きょうも会見なのに心臓が飛び出るかと思いました。でも会見に出席して少し気持ちが盛り上がってきました」
 緊張したとはいえ、どこかおっとりした雰囲気を持っているのも、24歳とは思えない落ち着きも、彼女の持ち味のひとつだ。名古屋女子マラソンの際は、高橋らが行った前日の会見にも出席できるレベルにいなかった。鈴木監督は「ああいう会見に慣れていくんだぞ」と、その時から自信を持たせるように努力をしたという。
 松山大学時代に一度だけマラソンを走ってしまったために、24分台をマークしても初マラソンの日本最高にはならなかったが、高橋を育てた小出義雄監督が「もの凄い素材」と絶賛するだけの力を持った若手ランナーの一人だ。特徴は167センチの比較的な大きな体と、バランスの取れた柔軟性にある。無理のないフォームは、スタミナさえつけば高橋を超えるという声もあるほどだ。
 今回は、米国のボルダー合宿中にひざをいためたものの、それでもウォーキングをするなどして完全な回復を待った。
「練習量はかなりしっかり踏めた。本人が自信を持って走ってくれれば、よほどのことがない限り大丈夫だと思っている」
 鈴木秀夫監督(48歳)も、手ごたえを持っているようだ。
 陸連は、世界陸上マラソン代表について、「日本人1位の選手で2時間26分を切れば、その場で代表にする」と新たな選考基準を設けている。
 土佐がエドモントン代表第1号になるかどうか、高橋、山口、弘山らのベテラン勢に対抗するためにも、若手の走りに注目が集まる。本人は1週間前に監督から手渡された昨年の山口のラップを見て、「(速すぎて)ヒエー!」と驚いたそうだ。
 自己記録更新を狙う。

※注)山口の記録は、片道ではなく往復の、男女混合ではない単独レースとして、世界最高と認定されているケースが多い。

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