8月27日
シドニー五輪サッカー代表予定
シドニーオリンピックのサッカー日本代表が本日発表された。メンバーは以下の通り。なお、JOCの結団式には、松田直樹、中田浩二、明神智和、本山雅志、中村俊輔、酒井友之、稲本潤一、柳沢 敦、高原直泰の9人が参加する。また、本日午後、トルシエ監督が会見を行う。
氏名(所属) |
生年月日 |
身長/体重 |
●GK |
楢崎正剛(名古屋)* |
1976.04.15 |
185cm/76kg |
都築龍太(G大阪) |
1978.04.18 |
185cm/81kg |
●DF |
森岡隆三(清水)* |
1975.10.07 |
180cm/71kg |
宮本恒靖(G大阪) |
1977.02.07 |
176cm/70kg |
松田直樹(横浜) |
1977.03.14 |
183cm/78kg |
中澤佑二(V川崎) |
1978.02.25 |
187cm/78kg |
中田浩二(鹿島) |
1979.07.09 |
182cm/74kg |
●MF |
三浦淳宏(横浜)* |
1974.07.24 |
176cm/69kg |
中田英寿(ASローマ) |
1977.01.22 |
175cm/67kg |
明神智和(柏) |
1978.01.24 |
173cm/67kg |
中村俊輔(横浜) |
1978.06.24 |
178cm/66kg |
本山雅志(鹿島) |
1979.06.20 |
175cm/63kg |
酒井友之(市原) |
1979.06.29 |
170cm/62kg |
稲本潤一(G大阪) |
1979.09.18 |
181cm/75kg |
西 紀寛(磐田) |
1980.05.09 |
175cm/65kg |
●FW |
平瀬智行(鹿島) |
1977.05.23 |
184cm/75kg |
柳沢 敦(鹿島) |
1977.05.27 |
177cm/73kg |
高原直泰(磐田) |
1979.06.04 |
181cm/75kg |
注)*印はオーバーエイジ枠で選ばれた選手
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●バックアップメンバー(予備登録選手) |
GK 曽ケ端準(鹿島) |
1979.08.02 |
186cm/78kg |
DF 山口 智(市原) |
1978.04.17 |
179cm/73kg |
MF 遠藤保仁(京都) |
1980.01.28 |
177cm/65kg |
FW 吉原宏太(大阪) |
1978.02.02 |
170cm/66kg |
シドニー五輪日本選手団結団式
(午後、東京・新高輪プリンスホテルにて)
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シドニー五輪日本選手団人の結団式が行なわれ、主将の野球・ 杉浦正則、旗手の柔道・ 井上康生らが出席した。杉浦は「21世紀をになう子供たちに夢と希望を与えられるよう、最後の最後まで精一杯戦って参ります」と決意表明をした。
またこれに先立って陸上競技選手団の結団式と会見も行われ、メダルの期待がかかる女子マラソン、 山口衛里(天満屋)、 市橋有里(住友VISA)も久々に登場。「ここまで去年よりも量、質とも上回った」と、調整に入る現段階の出来に自信をのぞかせた。
午後にはサッカー五輪代表のメンバーが発表され、登録の18人と予備登録の4人を含む22人の派遣が決定した(別表通り)。
代表はあすから静岡で合宿を行い、29日にはメンバーの中心となる 中田英寿(ローマ)が来日。2日の壮行試合(長居、対クウェート)に向けて1日にチームに合流する。
トルシエ監督は26日に行われたオールスター(宮城)に、故障のため休養を取らせようと監督が予定していたGK楢崎正剛(名古屋)、FW柳沢 敦(鹿島)の2人が、その意向を無視する形で出場した、と協会を激しく批判。
「新しくなったばかりの協会の強化部門は私に全権を任せ、本当に協力する気があるのか」「全面的な協力がまったく得られない現状で、依然、監督を辞めようかと考えている」「シドニーで私はメダルを持ち帰るつもりだが、協会にはその気がない」などとまくし立てた。またも協会関係者との話を確認する以前に、メディアにその不満を公然とぶつけ、メディアにも「皆さんが選手の名前を発表前に書くようなやり方をするのなら、こちらも考える」と話すなど、せっかくの船出もどこか寂しいムードだった。
サッカー トルシエ監督会見
トルシエ監督の会見(要約、抜粋)
メンバーは、今後6試合(予選から決勝トーナメント)を戦う上でのバランスを重視して考えたものだ。誰かが故障した、あるいは誰かが体調を崩したという場合でもグループとして機能するように、資質を考えた上でチョイスした。マスコミには事前に選手の名前が予想される形で漏れ、またクラブごとに何人などといった報道も見られた。みなさんが、そうしたやり方をするのなら、私もリストを(名前ではなく)どこどこのクラブは何人と発表することもできた。
以下質疑応答(抜粋)
──最後まで悩んだのはどの部分か。
監督 最後まで悩んだのは、私が監督をこのままやろうか、それとも辞めようかということだ。冗談で言っているのではない。全員一致団結してオリンピックをやってくれるのか、これについてはまだ100%確信が持てないし協会からの全面的な協力が得られない状態だ。その証拠に、昨日のオールスターでも、代表監督である私と、チームドクターから「試合には出さないで欲しい」という出場禁止命令の書かれた紙(診断書の意味)を出したにもかかわらず、2人の選手がこれを無視して出場していた。果たして一丸となってサポートする気があるのかどうか疑問だ。メダルを持ち帰ろうというのは私ひとりなのではないか。いずれにしても、こうした判断は重要なミスである。
──2人とは誰か
監督 ここには協会関係者もいることであるし、チームドクターもいる。みなさんはそちらに聞けばいい。私は、オールスターの際に一時的な休息を必要とする選手2人について、メディアカルの証明書を持って、出場を禁止するようにし、リスクがもっと高いものにならないように(怪我をひどくしないように)対応した。にも関わらずそこに出るということになるならば、私と大きな目標を分かち合い、オリンピックという大きな試合を戦う気持ちがないと思わざるを得ない。
──オーバーエイジについて
監督 三浦はバランスを重視した上で決定した。服部も確かにいい選手だが、服部は後ろでの選択肢であり、もし松田(直樹)がそこをしっかりと埋めるならば、より前にいる三浦に左サイドを補ってもらおうと考えた。三浦の攻撃的な力が、チーム全体に及ぼすバランスを考えたからこうなった。
──相手によって(予選の)戦術、メンバーを変更するのか
監督 もちろんだ。サイドに西や本山がいるというのは非常に重要なものになる。サイドにおける突破力の選択肢が増えたことに期待しているし、彼らはすばしっこく若さや思い切りもある。西は特にコンプレックスを持たない選手だ。そういう選手がマルチに活躍すると確信している。
──目標は
監督 きょうの結団式でもお話があったが、まさに私たちの母国であるフランスのクーベルタン男爵の理想でもあるのは、参加することに意義があるということであり、その名誉と五輪の哲学、精神を守りたい。また成績については私に責任があり、上位6、7チームが表彰台に立つ力を持って、それを狙いながら来るだろう。細かい点をしっかりと考えて戦略を立てたい。
──柳沢について
監督 サッカー選手としての重要な資質すべてを持ちえた選手だ。昨年は、こちらの期待するような柳沢ではなかったが、今年に入って再生を果たした。まさにトルシエグループの申し子とも呼べる選手で、トルシエチームらしい選手だ。自分がどんなプレーをしたいかそれを明確に持っており、今後もまだ伸びるだろう。
「狙いは何なのか……」
函館合宿中は、取材記者に対してただ1回の会見を設定しながらこれをキャンセル、この日はそのハプニング以来の会見とあって注目が集まった。
函館のキャンセルの理由は協会によれば2点。1点目はメンバーを、とりわけ「小野伸二落選」などを事前に報道によって書かれたこと。2点目は、それを確認しようと、ホテルに記者が取材に集まったことで、監督はこれを約束違反だと激怒しているという。
しかし、小野の落選については、監督自身が受けた雑誌のインタビューで具体名を挙げて攻撃、中盤、守備それぞれのメンバー構成を説明しており、これが合宿中の発売だったため小野の名前がなかったことから、メディアが一斉に確認に走ったものだ。自ら蒔いた種のひとつであり(蒔いたところで、どこで何を話そうが問題はないが)ヒステリックに怒ることではない。
それを確認するために記者が集まったことも、記者が部屋に押し掛ける、あるいは電話をするなどという面倒な真似をしたわけではなく、広報が普通に対応して終わったという。そもそも再来日以来、自宅に取材に行った新聞記者に、1万円札を握らせ「これで帰ってくれ」と発言するなど、このところメディアへの監督の不信感、逆に監督への不信感は両者に増大するばかりで、それが引き金になったのかもしれない。
またこの日、会見で降って涌いたような「オールスター事件」を明らかにしたが、これも監督自身の発言の真意はともかく、強化本部の木之本理事らは、トルシエ監督からの意向、つまり楢崎と柳沢には無理はさせないでくれ(楢崎、柳沢とも腿のはりがあったとされる)、というものをきちんと西野、早野両監督には伝えていた。その上で両監督は、楢崎は半分、柳沢は後半中盤から、と起用に最大限の配慮をしていたわけだ。
それをきょうになって「メディカルから出場禁止の診断書を出した」という断定的な表現になるのは、両選手が特に問題なくプレーを終えた今となっては違和感もある。そこまで大きな故障であれば、当然、日本代表うんぬんではなく、クラブ側からもかなり拘束力のあるドクターストップがかかるからである。
行き違いがあったとしても、協会がトルシエ監督を無視してこうした強行突破をしたところで、西野、早野両監督だけではなく、リーグとしてもスポンサーへの配慮も含めて何の得にもならないはずだ。
監督の狙いが一体どこにあり、何のためにことあるごとに「不満カード」を切ろうとするのか不明ではあるが、当然のことながら契約交渉がベースにはあるだろう。しかし協会関係者と話し合う前に、メディアに話したことで、内部的にはまたも波風が立つのではないか。28日には、木之本氏が説明をするといわれているが、メディアとの関係、間に入らねばならない協会の立場など、ピッチ内部のメンバーが決まったのとは裏腹に、ピッチ外での調整不備が奇しくも露呈した格好となってしまった。
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