7月8日


Jリーグ2ndステージ第3節
京都パープルサンガ×横浜F・マリノス
(鳥取市営サッカー場バードスタジアム)
天候:曇り一時雨、気温:23.0度、湿度:80%
風:弱、ピッチ:良芝、水含み
観衆:9,285人、18時04分キックオフ、

京都 横浜
1 前半 0 前半 2 3
後半 1 後半 1
51分:三浦知良 外池大亮:35分
外池大亮:44分
三浦淳宏:65分

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 第2ステージに入ってからリーグ戦2連敗中だった横浜は、DFラインの要でもある松田直樹、また波戸康広を故障で欠いてさらに苦しい状態となってリーグ3戦目を迎えた。
 横浜は前半から、ペナルティエリア付近からす速いパス回しを展開し、京都を翻弄する。上野良治、中村俊輔、三浦淳宏らのテクニックから京都DFを遠ざけ、前半35分には左のアウトから三浦淳が右足でゴール前にミドルパスを入れ、これにFW外池大亮が頭で合わせて先制。第2ステージ215分目にして、ようやくチーム初ゴールをあげた。このゴールで動きがよくなった横浜は、さらに前半44分、またも三浦のフリーキックからゴール前にボールを入れ、これに対して京都GK平井直人が飛び出しゴール前が空く。そこへ走り込んでいた外池がまたも頭でゴールへ。前半2点のリードで折り返した。後半に入ると、京都がルーズボールを積極的に拾い、このボールを再三攻撃につなげられてしまう。6分には、京都の三浦知良にゴール前に走りこまれてヘディングで決められ1−2となる。試合は序盤の時間帯に京都のペースとなったが、GK川口能活をはじめ、2人の先発を欠く守備陣が凌いで20分には、三浦淳が左サイドからドリブルで切り込み左足でゴール右隅を抜くテクニカルなシュートで1−3に。これで試合が決まり、横浜は3試合目にしてようやく白星をあげた。

試合データ
京都   横浜
13 シュート 15
13 GK 10
6 CK 4
14 直接FK 11
8 間接FK 3
6 オフサイド 2
0 PK 0

「ドンキホーテ・サッカー」

 リーグ3試合目にしてようやく一方の目を開けただけに、アルディレス監督の喜びもひとしおだったのかもしれない。
「きょうは本当にほっとした。これからホテルに帰ってビールを飲んでカラオケをやって、女性の記者は特に喜んで招待します」
 得意のジョークも飛び出し、チャンピオンチームが重苦しい連敗を抜けた安堵感が漂った。しかし内容は、チャンピオンチームというより、チャンピオンシップを戦うチームにふさわしいかといえばそうではなかった。前半、外池のヘディングで先制しさらに前半ロスタイムにまたも外池が、自身もJリーグでは初めての「2ゴール」を奪ったにもかかわらず、後半立ち上がりからは京都にペースに握られる。最後尾で見ていたGK川口は「なんと言うか、みんな疲労感なのか何なのかダルそうで、声が全然出ていない。(静かだから)自分の声が響き渡ったりして……。ああいうことでは上のチームには勝てない」と、試合後も90分を掌握しきれない状態を反省した。攻撃でも中村、遠藤らのコンビネーションがもうひとつ機能しないためか、一人一人がバラバラのイメージで押し切った状況だ。
 右サイドも現在は試行錯誤中で、この日も先発は永井秀樹、途中から安藤正裕ら、奇しくもこの日の3得点すべてが「左」から。2アシスト、1ゴールの三浦淳の個人技での冴えに助けられたあたりにも、逆に課題がのぞく。
「今の私たちのサッカーはドンキホーテのようだ」
 監督はそう話した。攻撃は非常に優位だが、一方ではカウンターを受け脆くも崩れる可能性のあるサッカーをそう呼んだものだが、言いえて妙である。京都の決定力のなさに救われ、とりあえず連敗は脱出した。変則日程のために、2週間で4試合をやり抜いた横浜には、今週は1週間の休みがある。バランスの取れた、以前の勇敢ドンキホーテに戻るには、十分な時間である。

初めての1試合2ゴールを決めた外池大亮「苦しい試合の中だが、(FW同士の)競争で強くなっているいい面が出た。最近アツ(三浦)とは合っているので、センタリングやクサビでも話し合っているのが良かった。きょうは、波戸の欠場で自分に出番が回ってきたので結果を出せてよかった。レベルの高い中での競争なので(柳との争いも)やりがいがある」

1人で全得点に絡んだ三浦淳宏「きょうはパスもセンタリングもシュートもすべてが良かった」

「気持ちを表に出してくれ」

 後半早々に1点を返しながら、結局、2点差をつけられて敗戦した京都の三浦知良は、自身8点目にも表情は冴えなかった。
 失点の状況が悪いからだ。
 2点目は前半のロスタイム。さらに3点目は横浜の三浦淳ひとりにドリブルから切り返し、すべてをやられたうえでシュートを打たれた結果。「せめて足を出すとか……、守備をしていても気持ちを表に出してくれないと……。形とかにこだわっている場合ではないし、自分たちの置かれている状況を考えないといけない。オレも含めてね」
 自分と状況によほど腹が据えかねたのか、ゴール裏でペットボトルを地面にたたきつける場面もあった。
 松永成立がGKとしてポジションを外れた今、のしかかる責任感はひとしおではないか。
 名古屋での代表主力選手が戦力外通告を受けた件についても「オレも残念で仕方ない。あんなにいい選手たちだから。でも、グラウンドの最高責任者は監督。監督が決めた、というのなら仕方ない」とプロの世界を嫌というほど知り尽くしただけに複雑な表情を見せた。そして「彼らが京都の戦力になると思いますか」という問いに、「もちろん」と答えた。京都が少しでも浮上するには、あとひとつ、何らかの起爆剤が必要なのかもしれない。


<短信>
 横浜の中村チーム統括部長は試合後、城彰二の移籍についての今後の展望を明らかにした。これによると、今後もスペインで代理人から2週間に1度をひとつの区切りとして交渉の連絡を受けることになっており、「できればキャンプのスタートする7月20日までには決めたい」とした。現在は、具体的な交渉をしているクラブはなく、同部長は「結論は慌てて出すものではないが、志半ばで帰国させる(日本に戻る)ような仮定の話はしていない」と、今後もスペインでの移籍を中心に検討していく方針だ。

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