7月7日


高橋尚子が米国の合宿地に出発
(成田空港)

 シドニー五輪女子マラソンで金メダルが期待されている高橋尚子(積水化学)が、合宿地の米国ボルダー(コロラド州、標高3000メートル付近)に再渡米した。高橋は2日の札幌国際ハーフマラソンで1時間9分10秒をマークして優勝。順調な仕上がりで第2ステップとなる足作りを主体とした練習に入る。このままボルダーからシドニー入りをするため、次に帰国するのは9月24日のレース本番のあととなる。

「怪我なくスタートラインに立てますように」

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 七夕のこの日、報道陣からの依頼で高橋が書いた金色の七夕用の短冊にはそう記されていた。おきまり撮影風景とはいえ、このときばかりは高橋も真剣な表情で黒いマジックペンを走らせる。
「今は日本でリフレッシュしたので、新たにスタートするという気持ちでいっぱいです。いい顔でこの成田空港に帰ってきたい」と、レースが終わるまで帰国することのない日本の風景を見つめていた。
 この日、集合時間に多少遅刻したが、これは荷造りの際、最も大切なシューズのチェックをしていたからだという。練習では、2週間で1足を履きつぶしてしまうため、足の状態がかわったり、アクシデントに備えて、ボルダーと今回で合計40足のシューズを使用している。高橋によれば靴底のスポンジ1ミリの差も「どこかが違う」と、自分の感覚で判断ができるそうで、こうした天性の直感の鋭さは小出義雄監督も指摘している高橋の長所ということになる。
 これに似ているが、すでにシドニーのコースの1キロごとポイントすべてを、高橋は頭の中で覚えており、真っ白な紙に正確な地図を書き込むことさえできるという
 一方、こうした勘の鋭さとは逆に、この日も流行の下駄タイプのサンダルを履き、背中の開いたシャツを着るなど、マラソン選手にあるどこか神経質な部分というのを感じさせない。今回の日本滞在中も「これでもかこれでもか、というぐらい」(高橋)好きなものを食べ、またもや体重オーバー。12日に出発する小出監督からもらっている1週間分のメニューで、なんとかベスト体重に戻すと本人は意気込んでいる。
 靴底1ミリの差さえわかる鋭い勘と、こうしたどこかおおらかなところが、高橋の最大の持ち味なのかもしれない。カメラを7台を従えた中で両替をしサテライトに消えていった。小出監督は12日に出発し、そのままトレーニングを続けることになっている。

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