「怪説・世界のクワガタ」 第5回 ヒラタクワガタ (5)

A.CHIBA




fig3

 fig3左は長崎県壱岐ノ島で採集されたもの。壱岐ノ島は対馬と九州の間にある島だが、ここのヒラタは対馬で採れるものと似て大腮は長くなりからだは細身である。Dorcus titanus castanicolor で良いと思う。また対馬と同じく本土産と似た大腮の短い個体も採れるらしい。真ん中は対馬産。(五島列島にも産する)

 右は、朝鮮民主主義人民共和国産の Dorcus titanus castanicolor 79o 対馬で採れるものよりも大陸で採れるものの方が平均して大きい様で、80oを超えるものもいる。朝鮮民主主義人民共和国からの昆虫標本は、クワガタではヒラタの他、キンオニクワガタ、アカアシクワガタ、ミヤマクワガタ、ノコギリクワガタ、コクワガタ、オオクワガタなどが入ってきており良く標本商で売られているが、やはりオオクワは少ない様であまり見かけない。同地にはヒメオオクワ も分布していると言うことで、大陸産のこの種は見てみたいものである。


fig4
 fig4左は中華人民共和国(産地不詳、福建?)の Dorcus titanus castanicolor 78o、真ん中は四川省米昜で採集された同種。この亜種は長崎県壱岐郡あたりから、朝鮮半島を経て中国大陸の四川省に至るまで分布と言う事なのだが、Dorcus titanus platymelusと言う種(この種がよく解らない)も中国に分布しており、混生している場所も有るのだろうか?一番右のものは中華人民共和国四川省楽山地区沙湾で採集されたものだが、D. titanus castanicolor よりは、いくぶん体の幅が広いし大腮も短く感じるが D. titanus platymelusなのか ?ミヤンマ−、ラオス、ベトナムに接する雲南省あたりで採れるものは、大腮も長くならず体幅も広くなりD. titanus castanicolor とは明らかに違い、タイ産やベトナム産に似てくる。それからサイズだが、中国大陸のヒラタ (titanus) は最大でも80oを少し越えるぐらいで90oに達するものはいないのか?まだ見たことはない。

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