実は新種・新亜種発見といってもすでに記載されている種・亜種に気づかず,あるいは誤って別の名前で記載することがあります.これは情報が全世界に行き届かなかった時代にはあり得ることです.したがって,1種・1亜種に対して記載者は複数人いるということがあり得ます.このようにある種・亜種に対する記載の履歴を集めたものをシノニミックリストといいますが,実際には最も古い記載をしたひとだけにプライオリティ(優先権)が与えられて真の記載者として認められます.
古い図鑑をひもとけば,記載の変遷などが分かって面白いかもしれませんが,今回は,とりあえず現在分かっている範囲で元も新しいもの,すなわち,むし社刊の「世界のクワガタ虫大図鑑」を用い,以下の要領でまとめたものであることをご理解ください.
(1) 逆引きの方法
上記の図譜より種または亜種を記載した人名をすべて拾い上げました.原記載者が共同である場合もそれぞれカウントしております.したがって,記載総数は種・亜種数より多くなっています.
(2) ミスプリントの処理
中にはいくつかミスプリントと思われる部分がありました.例えば名前が一文字違っているなどの場合,記載年をもとに同一人物であるとの判断が容易な場合はカウントしました.さらに,亜種名の記述がないにもかかわらず,標本のリストのみ並べてあった部分がいくつか認められましたが,種名における記載者の名前が他亜種に存在しないので,これは原名亜種の記述が抜けていると判断しカウントいたしました.
(3) 言い訳
時間の許す範囲内で極力チェックを重ねましたが,なにぶん眠い目を擦りながらまとめたものです.私のミステイクによるカウントの誤り,スペリングの誤りがあるかもしれません.このチェックを誰か他のひとにお願いすればよかったのですが,そのひとも私と全く同じ作業をしなければならないこと,時間的余裕の2つの理由により行っておりません.間違いを見つけた際には各自で訂正してください.