「怪説・世界のクワガタ」 第3回 オオクワガタ (2)

A.CHIBA



fig3
 
 fig3はアンタエウスのタイランド産とマレ−半島産で特徴の良く出た個体を並べて見た。左がタイランド北部で採れた74o。右はマレ−半島産(カメロンハイランズ)72o。このぐらいのサイズになると大腮の特徴が良く出る様になる。体は他の地域よりも艶が無くて大腮が太くなり内歯のカタチも他の産地と差がある様だ。


fig4
 
 次は小型種を少し、fig4の上段の左側からの2♂1♀はヨ−ロッパオオクワガタ Dorcus parallelipipedus 「オオクワガタ属」 Dorcus の模式種として有名。この標本のラベルには S.franceとだけ書いてある。ヨ−ロッパから入ってくるクワガタの標本には古いものもかなり有るが、産地ラベルがいいかげんと言うか、あまり詳しく書いて無い事が良くある。この種は日本産などから比べると小型で、大きくてもせいぜい30o程度にしかならない。標本はフランス南部あたりのものがよく入ってきており、この頃はロシア産もよく見かける。この種とよく似た種でヨ−ロッパの一部と北アフリカには、Dorcus musimon が分布しているが日本にくる標本は割と少ないようだ。もう一種似た種でトルコからシリアあたりにDorcus peyronisが分布しているが、少ない種なのか標本は殆ど見たことが無い。

 上段、次の1♂は Dorcus parallelus アメリカ東部からカナダの一部に分布。標本のラベルは Pennsylvania 産になっている。大きくても30oは越えないようでやはりヨ−ロッパオオクワガタに良く似ているが、体には艶が有り上翅には点刻列(溝)がハッキリ見える。この種の標本はあまり見かけず、たまに見かけても小さいくせに結構高い値が付いている。北アメリカからはツヤハダクワガタとミヤマクワガタ数種。それにルリクワガタの類がたまに入ってくるぐらいである。

 下段の4頭はDorcus gracilicornis ツノボソオオクワガタ。左は Darjeeling 産。真ん中のペアは N.Thailand産。右は台湾産。台湾では主に中部の少し標高の高いところで採れると言うが、割と少ないらしくあまり標本を見かけない。他の産地のものはよく知らない。台湾には以前セスジオオクワガタ Dorcus clypeatus とされていた種がいる。現在は Docus reicheiの亜種とされる事が多いが、あまり大きくならず大腮のカタチも他の産地の様になるものはいないか、もしくは極めて稀である。

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