1.ミヤマクワガタ(Lucanus maculifemoratus maculifemoratus Motschulsky,1861 )とは


日本ではノコギリクワガタと並び大型でポピュラ−な種類です。ノコギリクワガタに比べ標高の高い場所に生息する事から、深い山(深山)がその和名として付けられました。成虫は地域により昼活動するものと夜活動するものがあります。標高の高い場所では気温の上がる昼に活動するようです。
大きさは、最大78.6mmが記録されています。近年、地球温暖化の影響で早く変態してしまうのでしょうか、70mmクラスの大型の個体は減少していると聞きます。大腮(アゴ)は大きいのですがはさむ力は意外と弱く、戦闘的に威嚇をしますが異種のクワガタと戦った場合負ける事が多いです。

1)形態

体色はオス、メス共に黒色から茶色の変化があります。オスは大腮の内歯の形態変化が複雑です。その形状により基本型f. maculifemoratus・フジ型f. nakanei Kurosawa・エゾ型f. hopei Parryの3種類に分類されてます。基本型は里型・エゾ型は山型とも呼ばれます。エゾ型はその名の通り北海道に多く見られますが、基本型も混在しており最近では「ブナ林のクワガタムシ」の林原さんからも報告されているようにフジ型も存在するようです。下の3種類の型は全て林原さんが北海道内で採取したものを画像提供いただきました。「クワガタムシ飼育ス−パ−テクニック」の小島さんによれば、人工飼育下ではエゾ型からフジ型も発生するそうで、遺伝というよりも温度によりその形状が変化していると考察されてます。体長により内歯の形態はそれぞれの内歯が小さくなっていきます。殆ど歯が確認出来ない程小さな内歯の個体もあります。メスは光沢が強く、他種と簡単に見分ける方法としては足の中央部分がミヤマのメスは黄土色になっています。

大腮をつまんで、無理矢理閉じると差が明確に解ります。

2)分布

北海道、本州、四国、九州、に生息してます。

3)亜種

伊豆諸島に生息するミヤマクワガタがイズミヤマクワガタとして亜種となりました。主な特徴はミヤマ独特の頭部の耳状突起が大型の個体でも発達が少ないというものです。また、従来独立種とされていたタカサゴミヤマクワガタはミヤマクワガタの亜種とされました。 鹿児島県黒島に生息するミヤマクワガタもイズミヤマクワガタに似た変異があり、マニアの注目を浴びています。亜種になる予定だそうです。離島に生息するミヤマクワガタを発見したら、それは貴重ですぞ−。

Lucanus maculifemoratus adachii Tsukawaki,1985 イズミヤマクワガタ 伊豆諸島に生息

Lucanus maculifemoratus dybowskyi Parry,1873 チョウセンミヤマクワガタ 中国北部・アム−ル・朝鮮半島

Lucanus maculifemoratus taiwanus Miwa,1936 タカサゴミヤマクワガタ 台湾

Lucanus maculifemoratus boileaui Planet ,1897 シナミヤマクワガタ 中国

 

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