2.3 昆虫分布境界線・河野線とブナの北限
表3に挙げた北海道に産するクワガタ9種のうち7種については、離島の一部を除いて
ほぼ北海道全域に普遍的に分布する。(表5)
残りの2種は北海道南部を中心に分布するとされるヒメオオクワガタとマダラクワガタ
である。(表5)
表5 北海道内のクワガタ分布 | |
道内の一部地域に分布する種 | 全道に普遍的に分布する種 |
ヒメオオクワガタ マダラクワガタ |
ミヤマクワガタ ノコギリクワガタ アカアシクワガタ コクワガタ スジクワガタ オニクワガタ ツヤハダクワガタ |
マダラクワガタについてはほとんど資料を持ち合わせていないのと、これからの 展開にあまり影響を与えないと思うので以降触れない。林原の専門?とも言える ヒメオオクワガタの分布に焦点を当ててみることにする。
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ヒメオオクワガタについての詳細は こちらをご覧ください。 |
更に北海道に分布する種からはずしたオオクワガタであるが、周知のとおり近年、
北海道からの記録が毎年報告されているが、林原の知る限り河野線以南、以西の
地域からのみ記録されているのである。
オオクワガタの分布や記録の情報は、各方面に思わぬ影響を与えると思われるので
ここでは図示することは控えることにするが、記録はブナの北限である
黒松内低地帯
(図1参照)以南の日本海側に集中し、河野線と黒松内
低地帯に挟まれた地域での記録は極僅かである。
檜枝岐に象徴されるようにオオクワガタとヒメオオクワガタは東北地方では共に 「ブナ林のクワガタたち」である。本州と北海道が陸続きだった時代にブナと共に その分布を広げたことの裏付けとは言えないだろうか?