(2018.05オリジナル作成)
いやあそれでも、磁気テープものの整理、保存にも努めて参りまして、DVDやCDなどのデジタルディスクにかなりコピーをしました(音声テープの保存用に、昨年CDレコーダーも買いました。TEACの安いマシン(CD-RW890MkU)なので、そんな立派なものではないのですが、まあ保存はできます)。ほかでも記したことですが、特にVHSビデオテープは相当量を移しました。ところが、こちらもいよいよピンチで、PALのテープをコピーするのに使ってきたビデオデッキが相次ぎアウトになります。PALの録画用DVDレコーダーは10年も前に買ったのが健在であるものの、入り口が断たれてしまいます。ビデオデッキというのはテープローディングや回転ヘッドなどのメカ部分が心臓であるため、長持ちしない印象です。テープも端が切れる、黴びるなどのトラブルに見舞われがちですが、それは諦めるとしても、デッキがいかれては再生自体できません。つい数日前にも、PALテープの再生用にしてきたサムスン製のワールドワイドマルチデッキSV-5000Wというのが、調子がおかしいことに気がつきました。画面上に異常にホワイトノイズが出ます。これはヘッド系に異常があることを意味します。ヘッドクリーニングなどしてみたけど、変わりません。ノイズだらけの画像を保存しても意味ありません。 これもいかんかとなると、残るPALテープ対応デッキはたった一台、日立製のもの(F90)だけになってしまいます。焦りました。いまや国内用のNTSC対応ビデオデッキさえもう売られていない時代、PALを再生できるものなど入手できるわけもありません(現行DVDプレーヤーのかなりのものは、NTSC・PAL両方対応なのです)。最後の砦です。しかもこれも、かなり古いものであるうえに、長く休眠していて、最近発掘し、動かしてみるとトラブってくれます。テープローディングメカに不調があるようで、テープをうまく巻き付けない、あげくに引っかかり、テープカセットを取り出せなくなる、さんざんです。そうした際にはケースの蓋を開け、中で引っかかったテープを手で引っ張り出すのみです。テープは傷みますが、緊急措置です。これが生じるマシンなど危なくて仕方ないのですが、最後の頼みの綱です。だましだまし使うしかありません。これも、繰り返し使っていると、ローディングメカも「なじんでくる」のを心中願って。それで、いま必死に、PALテープのコピー保存を試みているところです。NTSCビデオデッキも、もう市販はされていないのですが、まだ動くのがありますから(過渡期の、ビデオBDレコーダーなどこれ向きのを含めて)。
ただ、アナログディスクレコードのデジタル保存は基本致しません。これはやはり、プレーヤーで再生しての音なのですね。デジタルメディアに移すと、弱点ばかり目立って、聞くに堪えなくなります。だからプレーヤーを買ったりするのです。上記のように、私そんなにレコードも持ってませんし。一方でオープンリールテープはあまりにでかく、重く、場所とりますから、最近せっせとCDにコピーしております。テープデッキへの装着操作も大ごと、またテープの劣化も目立ってきています。だいたい40年ものですし。もちろんオープンリールテープデッキなど、いまの入手はもっと困難です。唯一の、これまた40年もののアカイデッキGX630Dを用いていますが、これが信じがたいほど丈夫なのですな。とっくに消えたメーカーですが、感謝の限りです。 ちなみに、そちらで困ったのは、「テープ鳴き」現象でした。回していると、テープがキーキーピーピー言い出し、どうにもならないし、それが再生音声にもモロ出るのです。まったくもって聞くに堪えません。そんなの保存しても仕方ありません。どうもテープ同士の摩擦から、異常振動が起こるようです。なんとかならんものかとweb検索していたら、同じ事態に直面したという声が見つかりました。それによると、この原因は「バックコーティング」テープの劣化によるものなのだそうで、どうにもならないようです。アマチュア向けの市販テープに余計なことするからだ、という意見、ごもっともです。一見高級そうに見せて売った、そのなれの果てがこのざまです。これは諦めるしかないようです。まあ、40年持たせるかどうかなんて、考えもしなかったのでしょう。 |
前言さっそく訂正。
これを書きながら、はてと思い当たることあり、それを一夜明けて、早速に試してみました。見事的中、そんなにオンキョーをくさしてはいけません。
カートリッジの出力があまりに低い、音があまりに貧弱、それはいくら何でもいまどきないのではと考え、思い当たったのです。このシェル付カートリッジを包装から取りだし、アームに着ける際に、針カバーを忘れずにまず外してとやったら、針ごと外れてしまいました。MMカートリッジの針は簡単に交換できるようになっているのでって、簡単すぎです。それを元に戻し、取り付け設定をしたつもりだったのですが、もしこの針の取り付けが完全でないと、間隔が広すぎてコイルに生じる電流が低い、動きが悪くて十分な再生にならない、これはあり得ることだと考えたのです。針についたマグネットが針と共に動き、まわりのコイルに誘導電流が生じるというのが、MMムービングマグネット型ピックアップカートリッジの原理なので。
翌朝に試すに、やはり針部の取り付けが完全ではありませんでした。えいやとやれば、軽くパチンと嵌るところがありました。そのへんの感触がちゃちであることは否定できませんが、そうしたところに職人芸が生きるような時代でもなく、そんな値段の品でもありません。それで再生を試せば、十分な音量、見事にいい音で鳴ってくれます。少なくとも、いままでのオーディオテクニカカートリッジに引けを取るところはありません。迫力をもって、ワグナーが鳴り響きます。
ま、これで、さらにカートリッジも新しく買わなくちゃという事態は避けられました。ものごと、慎重に扱うべきだという結論でした。
(2018.07)
快調でないのはメーカー・オンキヨーの方で、なにより時に店をのぞいても、オンキヨーのカタログさえ見当たりません。製品は並んでいないこともないので、「消えた」わけでもないのでしょうが、カタログさえ新しく作れない?残念なことです。
(2018.7.22) こうしたアナログ音源保存の、空しい努力のなかで、オープンリールテープの方はテープ鳴きトラブルなどを除き、かなりできたのですが(と言っても、1/10くらい?)、カセットテープでえらいことがわかりました。私はもともと、カセットテープを音楽音源に使う意図はほとんどなく、主には調査取材や会議記録などの手段で、もちろんそれもいまではデジタルICレコーダーに取って代わられています。マイクロSDメモリ一枚、あるいはそれを転写したDVDディスクで終わりです。ただ、音楽の記録再生に用いたものがないことはありません。その多くは、いまから30年余前の在英時に買ったので、当時はカセットテープ全盛でした。デジタルオーディオの噂が聞こえだしたくらいで、店頭に並んでいたのは、主にはアナログディスクレコードとカセットテープでした(私が自分でCD買うようになったのは、87年の帰国後のこと)。なんといってもカセットは小さく軽く、扱い簡単なので、ソニーのウォークマンを嚆矢としたケータイオーディオや車載オーディオの完全な主流となっていました。私も当時はけっこうカセットプレーヤーを持ち歩いてもいたので、そちらにコピーをした「エアチェック」音源やレコードのコピーも作ってはいましたが、在英中には比較的珍しいものなど含め、店頭で買ったカセットテープ商品もかなりあったのです。レコードを買って帰る勇気はなかったし(いまにしては、その方が正しかったかとも感じます)、もちろん英国での住まいにレコードプレーヤーはありませんでしたから。持っていって使っていた「ワープロ」のデータ記録さえ、カセットテープだったんですから。
その一台、いまでも手元にある(ずっとどこかに収まっていたらしい)ソニー製のTXD-RE210というのは、CDプレーヤーとカセットデッキが一緒になった、ある時代の典型的な製品(CDで買った音源をカセットテープにコピーして、持ち歩いて聞くため)だったのですが、買ってからもう19年、CDプレーヤーはいまもちゃんと回るのに、カセットメカがまず、ボタンを押しても前に出てこないのです。どんなに力を入れても、微動だにしません。そこにテープを入れる仕組みなので、まったく使えません。 19年前の製品ですから、もちろんメーカーでは修理もしてくれないし、どうもテープローディングだけではなく、カセットテープのトランスポートメカなどというのは、概してほとんど壊れているようという悲報ばかり聞こえます。いろいろ調べるに、TXD-RE210に関しては、押しボタンにつながるメカが引っかかったとか、歪んでいるとかのレベルではなく、そのテープローディング部自体が概してモーター駆動で(それが「高級」の証とされた)、その動力を伝えるところのリールベルトがほぼ間違いなく、経年劣化でアウトになっているらしいのです。テープトランスポートの方はメーカーが力を入れたせいか、世評に反してまだ生きているものもあるようですが、このローディング部をメカ化したのはもうダメのようです。もちろんベルトが劣化したり切れたりしているのなら、メカをバラしてベルト交換することで生き返るという「知恵」もあちこち公開されていますが、そういう「腕」も道具もない私には無理、かといって「専門業者」の方に依頼すれば、相当額を取られますので、そこまでして生き返らせる意味がありません。たぶん直るんでしょうけど。
それでもわが方には「最後の手段」があります。今さらですが、数年前に新たに買った、TEAC製のCDプレーヤー+カセットデッキの製品AD800があるので、これが最後の頼みです。うえのソニー製とほぼ同じ機能、ただ新しいだけに、デジタル変換でUSBメモリにMP3記録する機能もついております。TEACだけはこういったオーディオコンポーネント製品を、ダブルカセットデッキも含めて、いまも出し続けてくれているのです。 これがあるからいいだろ、と言うところですが、これが万一いかれたらどうするんだという心配は断てません。TEACもいつまで出し続けてくれるのか(私にも、これは二代目で、前記のように、だいぶ前に初代TEACはいかれました)。それにさらに代わる頼みに、ソニーのカセットデンスケD5Mというのも持っているのです(「デンスケ」というのは、戦後に生まれた通称で、携帯用のテープレコーダーがそう呼ばれるようになりました。この理由には諸説あります。ともかく、放送や新聞などの業界の取材用の必携機器になりました。ずいぶん後になって、ソニーは得意のカセットレコーダーの高級携帯用を発売、「カセットデンスケ」と称したのです)。カセットテープ全盛期の象徴のような製品で、録音用の機能を重視した、携帯用とはいえ相当の大きさ重さの代物です。正直、あまりこれが活躍しないうちに、デジタルオーディオの時代になってしまったので、本領発揮はほとんどできなかったのですが、値段もかなりで、5.5万円しました。いまだあるそれにせめて頑張って欲しいと思うものの、アナログ音源のメインにつないだのに、音が出ません。実は当初、これを組み込んで、アナログ音源のデジタル記録保存用としたつもりだったのですが、音が出なくてはなんにもならず、急遽TEACのAD800に組み替えた次第でした。
ともあれ、AD800とD5Mという二台が、いまだカセットテープの再生に働いてくれるので、やれやれと思いながら、30年前の音楽テープの再生と保存にかかったところが、えらいことがまた発生しました。セットしたテープが回らず、シャットオフしてしまう、AD800だと勝手にリバース再生になってしまう、これの繰り返しなのです。テープが順調に送られないのです。カセットの故障かテープ切れかと思っても、手で回すと回ります。要は、デッキメカとして順調にテープを送ることができないのです。それが一つといわず、相次ぎ発生します。どうにもお手上げです。いちばん情けなかったのは、英国で買ったDGGのクーベリック/バイエルン放送響によるマーラー交響曲第8番二本組、いい演奏だという世評も高いものだったので、デジタル化をしようと回し、順調にテープが進んでさすがDGGは大丈夫かと思っていたら、一本目の最後に来て、突然シャットオフしてしまいました。そのへんなんどもテープの送り戻しを繰り返し馴らしても、いざ再生すると、やっぱりアウトになるのです。完全お手上げです。こういう事態が何本ものテープで起こるので、基本的に経年変化か劣化で、もうダメと判断するしかありません。カセットの仕組みや出来に、30年という寿命は想定されていないのでしょう(特に欧州製品?)。見たとこ別に異常もないのですが。
ご存じの方もあるでしょうが、いま結構、カセットレコーダーやラジカセは売られているのです。一時これも絶滅かと思われたのに、ダイハードの代表格です。レコードプレーヤーに似た現象です。特にCDラジカセ、つまりラジオとCDプレーヤーとカセットレコーダーを組み合わせた製品は、パナやソニーや東芝等、大メーカーからも堂々売られています。あまり聞かないメーカーのものも多々店頭に並んでおり、わが従弟が再生に賭けているAIWAの製品もあります。もっとも、各社のものが結構似ているんですけど。それらだけでなく、懐かしのカセットレコーダー単体もあるし、逆にレコードプレーヤーやアンプやスピーカーまで「全部載せ」のワンセットオーディオ機まで店頭に出ており、通販などでも結構人気のようです。これ一台でなんでも聞けます、というのが売り。私のように、いまだ30年40年前の音源を抱えている老人向けなんでしょう。天下のTEACさえ、そういうのを出しているのです。同社のLP-R550USBというのは「ターンテーブル/カセットプレーヤー付CDレコーダー」で、私がやっているように、アナログ音源をデジタル化し、CD-Rに記録する用途で、じゃあこれ買えば、一台でぜんぶできるよ(カセットテープへの録音はできないのですが)、というところなのですが。
カセットテープの衰退とともにDolbyの稼ぎもほかにシフトし、規格自体どっかにいっちゃった観です。それで、いまの市販カセットレコーダーやプレーヤーには、まずこれは組み込まれていません。ところがよせばいいのに、私のカセット録音音源はほとんどDolby Onで記録されているうえ、30年前の市販カセットテープもほぼ、Dolby 付なのです。だから、今日日のカセットレコーダー等で再生するには躊躇われるのです。もちろん、30年前のD5MにはちゃんとDolby On/Off スイッチがありますし、AD800でさえそうです。だからこだわっていると言えるわけですし、TEACは今後もカセットデッキを売るのであれば、おそらくDolby On/Off スイッチをつけてくれるのでしょうが(いま売っているダブルカセットデッキW1200というのにもついている)、もうそれが最後の砦になります。
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