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三井の、なんのたしにもならないお話 その四十一

(2015.03オリジナル作成)



 
 
 スマホを買わんの記 −わがモーバイルPC格闘史20年 その4



4-3 Let'sNoteとは心中?


 思わせぶりに書いたように、2015年春、またもLet'sNoteを買ってしまったのです。


 もちろんいま出ているのですから、Windows8機で、しかも「史上最軽量」をうたうやつです。はっきり言えばノート型PCのタブレット化(スマホへの色目?)を示すものでもありましょう。実は、そのこと自体に抵抗感もあり、かなり逡巡をしました。もちろん値段もで、同クラスの他社のものと比べれば3倍は高いのです。

 しかし、買っちゃったんですな、こんどばかりは「買っちゃった」感が強いのです。




○ CF-RZ4JDFJR

 ともかく、重さ745gですよ。これで、フルキーボード装備のB5サイズ機、基本いままでのLet'sNoteと同じとなると、否応なく欲しくなります。常用してきたR9よりも200g以上軽い、このわが年齢を鑑みるに、それこそ1gでも軽い方がありがたいのは明白なことです。

 RZ4は近年あまり好調とも思えないパナソニックのPC事業には起死回生の意味を持っていたでしょう。PC全体がスマホに押されて市場縮小とされるなか、いくらフアンがいても、いくら「法人向け」にウェイトを移していても、今ひとつ決め手を欠くままじり貧に陥る、買い換え需要も刺激できないとなれば、「一発大逆転」をねらわなければならないのは自明でした。それがいつ出るか出るかと待っていたのですが、ほぼ従来ラインナップ踏襲の「新製品発表」の繰り返しで、パナのやる気はもう失せたのかと思っていたところ、2014年後半に「画期的な新製品」が登場したのです。そしてそのねらいは、Let'sNoteのアドバンテージの追求、フルの性能機能装備で、徹底して軽く、しかも長持ちさせるというところに絞られた、まあ10年以上Let'sNoteを使い続けてきた私としても、さもありなんと納得できるものでした。

 納得がし難いのは値段の方で、このRZ4は従来のRやその後継と思われるJシリーズなどに比べても、だいぶお高くなっています。同クラスの他社製品と比べれば、下手すると3倍近くの開きがあります。そんだけのものを詰め込んであるんですよと言われれば、そうかと思わざるを得ないものの、財布と相談するに、そう簡単には買う決断ができるものでもありません。Jシリーズが終わり、このB5サイズの新製品が出てこない、それだけ「タメ」が大きかった印象ですが、もう絶対に値段では勝負しませんよという徹底した姿勢にも、いちビンボーユーザーとしては苦しいところです。


 それ以外にもためらわさせる要因はありました。なによりWin8です。これによって小型軽量化、高機能化も可能になったとできるのでしょうが、悪評ばかり聞こえてくるWin8です。「WINDOWSの法則」からすれば、改良多くてWindowsを世に定着させたWin98(ただし信頼できたのはそのver.2であったとの説も)、逆に「重い」「扱いにくい」と失望と不満を招いたWinMe、動作安定し、長く使えたWinXP、悪名ばかり残ったWinVista、大幅改良だが使い勝手が同じで、動きがよく信頼できるWin7と来れば、その次は「外れ」というのも予想通りで、これではというところです。特に気になったのは、使い勝手を大幅に変更し、下手にスマホに色目を使ったようなつくりと操作方法にして、PCの長年のユーザーが拒否反応を起こしているという点でした。

 実際のところ、スマホ的な動作を取り入れる、表示もそちらに近づけるなどというのは、スマホとPCの中間みたいで画面のお化けのようなタブレット機を使おうというひとには親切なのでしょうが、あくまでPCとしての使い勝手にこだわる立場にはなんの意味もありません。余計なことをしてくれたおかげで甚だわかりにくく、使いにくくなったという怨嗟の声もしきりに聞こえてきます。それは私にとっても困ったことです。ただ、いくら世界のユーザーがぶうぶう言っても、マイクロソフト社が元に戻すとかいうのは過去にやったことがなく、結局は「デファクトスタンダード」の波に押され、われわれの方がそちらにあわすしかなくなる、そういう流れも見えていますので、つまるところはいつ、どのようなかたちでWindows8に触れ、適応していくかしかないのですよね。そのきっかけがRZ4というめぐり合わせなのかも知れません。デスクトップ機でこんな事態につきあわさせられるよりはまだましかも。マイクロソフトもver.8.1で、「WINDOWS的な使い方を容易にした」そうですし。




 もうひとつ、実は私自身には決定的な課題があったのは、イーモバイルのUSBスティック型通信端末に対応してくれるかどうかでした。先に書いたように、これを常用のモーバイル通信手段・インターネット接続環境にしている私として、そしてそれと心中覚悟の立場ゆえ、「使えること」が絶対条件なのです。「対応しません、動きません、だからワイヤレスのポケットwifiにして下さい」などというのは認めない、許さない、ていうか、そうなったらお手上げになってしまう私です。そこに新たな壁をつくられた際には、手持ちのモーバイルPCとこれまた心中をするしかありません。

 ですから、ひそかにRZ4がスティック端末に対応するのかどうか、情報を集めていました。まずWin8に関してですが、イーモバイル(ワイモバイル)社は過去の販売製品を含め、OS対応表のデータを公開しています。それはよい姿勢ですが、ところが困るのは、肝心の私の使用端末に関し、Win8ではちょっと危ない、△で制限付き動作などと書かれ、しかしWin8.1だと、対応○という表現でした。こういう中途半端な表示は懸念を増すばかりですね。なぜバージョンアップになると対応可になるのか、その理由も理解できませんし。しかも、OSは大丈夫ということが、実機での対応OKには必ずしもならない、マシンごとに問題があり得る(BIOSやマザーボードの違い?)というのも、ずいぶん経験済みです。

 もちろんワイモバイル社にも問い合わせをしましたが、上記公表データ以上のこたえではありません。そこで「強硬手段」も試みました。店頭のRZ4展示品で、私のイーモバイルUSB通信端末が動作するかどうか、試させてくれと。こいつはなかなかの優れもので、USBコネクタに差し込むだけでドライバ関係などがPCにインストールされ、接続さえできてしまうのです(その意味ちょっと危ないですけど)。これには店員が焦りました。そういうことをデモ品にされると困る、だいいちインストールをできないようにプロテクトがかかっているはずと。

 そこでトライアルはできないとなるので、最後の手段でパナソニックのショールームまで遠征、展示中のRZ4に関し、同じことを試させてくれないかと頼みました。説明嬢は同じく困惑、うえの者に聞いてくるとし、結局は同じこたえ、かといって確実な「対応情報」を提供してくれるわけでもない、またも私のトライアルは終わってしまったわけです。


 結局Windows対応問題は「挑戦あるのみ」の結論をもって臨むしかなくなりました。もっとも、最後のチャンスというか、実質的に、買うに「背中を押された」経験があったのです。会合で隣席したT氏が、RZ4を持ってこられていたのでした。早速に使い心地など聞き、さらには私の課題を聞いたT氏から、「じゃあ、これで試してみますか?」とも言われたのです。有り難いご好意ですが、さすがの私もそれはできませんでした。同じ立場であったら、自機に勝手にインストールをされる、私も気軽によしとは言えないでしょうし。


 でも、このことで、えーい、RZ4買っちゃえという気になったのは事実です。そして、賭けはあたりでした。RZ4はなんの問題も障害もなく、USB通信端末をインストールしてくれ、起動し、つながりました。まあよかったです。
 しかも、このUSBスティック端末を取り付けるに、あまり違和感もありません。過去の富士通機では、そこに困ったことは以前記しました。変な位置に変な方向に突きだしてくれるので。RZ4はあくまで両側面に計三個のUSBコネクタですから、基本的には変わらずです。もっともその配置がS8とは逆で、左に一個、右に二個となると、左を通信端末用とせねばならず、若干の違和感ありではあります。


 このUSB端末の取付は、実はけっこう思い巡らしたところでした。Let'sNoteについてではなく、モーバイル用にタブレットを買おうかとも考えた際の壁だったのです。使い道を限って、タブレットもありか(スマホはごめんでも)ともひそかに思い巡らしたのですが、なんせそれらには申し訳程度のUSBコネクタが一個あるのみ、ときにはフルサイズじゃなかったりして、およそUSB通信端末をつけようなどとはまったく想定外のつくりなのです。だいいち、違和感おおありに目をつぶっても、USBコネクタを占領されちゃうと、USBメモリなど使えず、大昔の悩みに逆戻りになります。要するに、タブレット機などはポケットwifiワイヤレス端末か、どっかでのwimax利用かしか想定していないのでしょう。だからイーモバイルもUSB端末なんかやめちゃったのでしょうが。

 ですから、左右逆になったくらいは目をつぶって当然、タブレット並みに薄型となったRZ4ではあるものの、USB通信端末をセットしても問題ない、です。


 USBについては若干変わった、しかし表のスペックには絶対出ないところもあります。従来のLet'sNoteでは、どうもこのUSBコネクタの取付フィットの具合が甘く、だんだんゆるんでくるような傾向がありました。それで、R9でもって電車車内でインターネット接続をしていると、振動で接続が切れてしまうなどということもあったのです。微妙なサイズと接触の問題と感じるのですが。
 ところがRZ4ではきついくらいです。これならゆるむこともないでしょう。





 まず持ってみて、軽い、薄い、ともかくそこは感激ものです。それから順番が逆になりましたが、RZ4でのWindows8.1(正確には8.1 Pro update)の使い勝手です。予想通りに、スマホやタブレット向きの妙な画面が登場、何と言うべきか、勝手に使い道を決められるような違和感満載です。ただ、ver.8.1では不評にこたえて、従来通りのデスクトップ画面にすぐ行かれるようにした、そこは慣れればなんとかなるというところです。いろいろな作業を開始できる「スタート」表示が曖昧なのはどうもですが、まあMS-Windowsのよさは、あれこれいじっているうちに、必要な作業に入れてしまうというところでしょう。まさかまた数百ページのマニュアルや解説書をよく読めとはならないでしょう。
 ともかくどっかで起動しようとするアプリや作業のアイコンを見つけられれば、自分のやりたいことはできる、それはそれでよしとせねばなりません。ほかに訳のわからん余計な表示もいっぱい出てきますが。


 さすがのマイクロソフトもWin8の悪評に困ったか、ダウングレードを広く認めているようです。実はRZ4にもWin7へのダウングレード権付きのモデルもあるのですが、またかなり高いし(SSDが倍のサイズ)、Win8に慣れるという狙いからもはずれるので、手を出しませんでした。若干の後悔はあります。


 64bit機であること、またSSD128GBの制約もあるので、入れるのを慎重に選ばないといけませんが、アプリのインストールはほぼ順調でした。意外だったのは、私の常用している英文辞書「英治郎」というのの従来版がインストールできず、64bit Win8対応版を買わねばならなかったこと、逆にはるか昔、Xp時代にさえ怪しかった、Paintshop9というのがそのままインストールできてしまったことでした。Paintshopというのは某有名画像ソフトに対抗して出ているのですが、圧倒的に多勢に無勢、しかも新版のたびにやたらややこしく、使い勝手悪くして、私としては呆れて、この古いバージョンを未だに使い続けているのです。きわめてシンプルなのがその特徴で、いろいろのバグや限界がいっぱいあるものの、ついに64bit Win8にまで来てしまいました。一番のバグは、デフォルトの保存設定が独自のファイル形式に決まってしまっていること、またプリンタ出力を選べず、Winで指定した常用プリンタしかつかえないことですが。


 私の買ったRZ4は最安値ではなく、MS-Office付き機です。MS-WORDなどまっぴらとしても、PowerPointやExcelはどうしても必要、最近いろいろ出ている互換ソフトも、結局どっかに制約や限界がある仕掛けなので、仕事のメインである以上はMS-Officeを入れねばなりません。しかも最近は、アプリソフトとして売られているMS-Officeや各ソフトは、小箱にカードが入っているだけ、インターネット接続して自分でダウンロード・インストール、カードの番号を入力してアクティベートしろという、ふざけた限りの商売になってきています。ただの紙切れをこの値段で売るとは、楽な仕事ですね。

 こういうのは腹立たしいし、しかもダウンロードやアクティベートにトラブルが生じたら目もあてられないので、やむなく「Office付き」のを買いました。ところが箱を空けると、例の小箱が入ったきり、おいおい、この紙切れつけただけでウン万円も取って、あとは勝手にダウンロードしてくださいかよと、一瞬脱力しましたが、さすがにそこまでひどくはなく、MS-Officeはインストール済みでした。それを起動し、紙切れ上のユーザーコード番号入力で正常動作できるようにするだけでした。まあ問題なくつかえています。


 困ったのは意外にも「一太郎」でした。これはまたマイクロソフトの陰謀なのかどうかはわかりません。私は買ったきり使っていなかった「一太郎 創」というのをインストールしたのですが、なぜかいつも出てくるATOKの「言語バー」というのが表示されず、画面下のタスクバーに「日」とか「英」とか出てくるだけです。いろいろ設定をいじったり、ヘルプを探してみたりしましたが、解決方法が見つかりません。ATOKでは、「一太郎」以外も含めて、日本語入力の操作・設定にこの「言語バー」を使うので、それが出てこないとはなはだ困ったことになります。日本語入力と英文を切り替えるとか、そういった頻繁に行う操作さえ、できません。

 困ったあげくにとりあえず編み出した方法は、日本語入力自体をATOKからMS-IMEにする、そのうえでタスクバー上の表示を日本語英語間で切り替えるというやりかたでした。とんだ二度手間三度手間です。


 なんでこんなアホなことしなくちゃならんのかといろいろ情報を探っているうちに、ジャストシステム社のサイトで、この「一太郎 創」ではWin8上で言語バーが出ないという「注意書き」のあるのを発見しました。明白なバグがあるという、トンデモ商品です。想像するに、この「創」ではATOKの言語バーをタスクバーに一体化させたのを特徴としていたよう、それをWin8ではねられてしまった、そういう経緯なのでしょう。テキはマイクロソフトです、どんな手段でもめぐらせんですよ。

 ともかく私としては、あらためて「一太郎」を買い直さないといけません。ここは高くつきました(もっと以前の「一太郎」をインストールすればよかったのかも)。




 本題が逆になりました。CoreM-5Y31という0.90GHzのCPUですが、「ターボブースト」というので最速2.4GHzになるのだそうです。内蔵メモリは4GB、動作についてはまったく問題を感じません。SSDは前記のように128GBなので、ちょっと不足感を感じます。その分カネを払う気がないのなら、割り切って使うしかないのでしょう。
 画面は10.1型TFTカラーIPS液晶というので、16:10のワイド画面WUXGA表示だそうです。画面表示もきれいで、細かい文字まで読めるものの、それはさすがにきついうえ、表示がスクリーンいっぱいにはならないのがちょっと不満です。この画面部を360度回転させ、キーボードを後ろにして(カバー別売であるらしい)タブレット状のかたちにする、もちろんタッチスクリーンで操作できるというのが、Win8使用のウルトラブックの特徴とされるのですが、私はそういった使い方はしない、あくまでキーボード中心なので、関係はありません。たぶんこれからもそうでしょう。

 タッチスクリーンではない操作は、伝統のタッチパッドとクリックボタンですが、特徴だった円形のパッドではなくなったのは残念なところです。どうもWin8の設定の制約があるらしいのです。またタッチパッド有効無効切り替えもできるらしいのですが、これも私の使い勝手にはあまり関係なさそうです。


 三個のUSBコネクタ(いずれもUSB3.0)のほか、HDMI出力、高速転送のSDカードスロット、そしてLANコネクタもあります。もちろんWiFi無線LAN対応なので、まだ試してはいませんが、ホテルなどで試みるのが楽しみです。bluetoothも当然ありです。いろいろグレードアップした観は小さくありません。もちろんPCカードスロットははるか過去のものになりました。


 内蔵電池は本当に長持ちし、電源のことを意識するのは通常なさそうです。これはCPUの省電力性に加え、HDでなくSSDを使っていることも貢献していましょう。実際、電池のサイズはかなり小さいのですが。

 AC電源関係でちょっと戸惑ったのは、従来のLet'sNoteのものがつかえない設定でした。初期モデルを別とし、Let'sNoteはほとんどがAC電源アダプタ共通利用になっていて、これもよさだったのに、です。電圧や電力表示、そして接続プラグ形状からも問題ないにもかかわらず、RZ4用となっていない電源をつなぐと警告が表示されます。どういう理由なのか、警告は無視しても大丈夫なのか、誠に気になる仕掛けです。それでパアになられてもダメージ大なので、電源アダプタの共用はあきらめるしかありません。別売で「軽量モデル」の電源アダプタもありますが、これは動作中につないでいても電池に充電しないそうなので、いろいろひねりもあるのでしょう。

 電源接続が(また)右側に移ったこともそうですが、妙なくらいに電源にはこだわるパナソニックではあります。




 Let'sNoteに関して一番気になるのは「売れ行き」です。RZ4に私のように引き寄せられるひとは多いと思うものの、やはり値段が壁か、そんなに売れている様子もありません。魅力的なスペック、まさしく「スマート」な外観、モーバイル使用に徹した使い勝手や表示力など、PCの進歩の到達点を示すと実感するのですが、なにせ20万円を超える価格、同レベルで出ている他社製品の3倍近いとなると、誰でも二の足を踏まざるを得ないでしょう。これまで同様に、買って使ってみて、その値段の値打ちは実感できるのですが、相当の「勇気」を要するのは、買った私にも否定できません。私の周りを見ても、いまだ他のLet'sNoteを使っているひとは多いものの、RZ4にしたのは、上記のT氏だけです。


 そこで一つの目安になるのが、売れ行きと実勢価格の関係です。私の買ったCF-RZ4JDFJRというのは、モデルチェンジ後の第二世代です。そこで迷ったのは、新モデルとして2014年に初登場したRZ4の旧タイプが、2015年に入ると店頭価格がかなり下がってしまったことです。私の買ったのと同機能のCF-RZ4CDFJRなどは、CPUが一つ前で速度がちょっと遅いほか、ほとんど違いがないのですが、これらの店頭価格が「魅力的な」ところにまで下がったのでした。

 こうした値下がりは他社製品ではよくあることで、「型落ち」を狙って安く買うというのは知られたテクニックです。しかし従来、パナソニックはそうしたことをしない(やらせない)のが特徴で、店頭「売り切り」を実現しているのか、あるいは売れ残りは回収して、実勢価格低下を防いでいるのか、ともかく強気の店頭価格が守られていたのです。

 それがRZ4では公然と店頭価格が書き換えられ、ネットショップでもかなり安い価格が表示されるようになりました。しかも新製品シリーズと重複さえあったのです。それだけ、販売店に残っていた、値下げをパナが黙認した、そう読めます。


 パナが従来の強気な価格ポリシーを変えたのか、つくりすぎ、「想定外」なほど売れ残ってしまったのか、真相はうかがう由もありませんが、Let'sNoteの愛用者としては、やはりパナソニックにこけてもらってしまっても、困るのです。RZ4はパナにとって相当入れ込んだ、「起死回生のヒット狙い」なのは明らかで。それが一般ユーザー向けではなくビジネスユース向けで、大いに売れているのならまだ安心もできるものの、あまりお目にかかることもなければ、そちらも心配になります。店頭にさえ「プレミアムエディション」のコーナーを設け、特注品の売り込みも熱心なのですが。


 ともかく、いまだRZ4の型落ち製品はかなり安く買える、お買い得という「記事」があるくらいです。


 私も「型落ち」前モデルならリーズナブルかという思いもしたのですが、ぐずぐずしているうちに店頭からなくなってきたこともあり、これは値段で買うんじゃないからと決意していたのも手伝って、あえては2015年新モデルの方を手にしました。それはともかく、MS-OfficeなしのRZ4が15万円以下で買えるとなれば、そんなに悩むこともないでしょう。




補足

 RZ4の使い勝手の問題は、AC電源アダプタの互換性のことだけではありませんでした。

 意外なことに、イヤホンジャックの位置が問題だったのです。これが左側面のUSBコネクタに近いため、USB通信端末をここに入れていると、イヤホンが使えません。

 まあこの小さい、薄いボディ側面によくこれだけコネクタなどを並べたものとも言えるのですが、私の使い勝手からはちょっと困るわけです。一定、イヤホンジャックとの距離は確保されているものの、私のイーモバイル(ワイモバイル)通信端末を挿入すると、確実にかぶってくれます。
 それだけ、USB通信端末などというものも無視されているのでしょう。

 なお、「一太郎」は最新バージョンを買い、それを入れてようやくATOKの言語バーが出てくるようになりました。以前のものとはだいぶ見た目も使い勝手も変わっていますが、まあなんとか扱えます。






5.だからスマホはいりません

 
 こんだけ「自分史」を読まされても、なんでスマホは要らない、買わないのかはよくわからんというご感想の方もおられましょう。

 一言でいえば、「汎用機」もどきの姿のスマホなんか、全然中途半端でほとんど用をなさない、少なくとも私の使い勝手から言えば、ということです。通常モーバイルPCを持ち歩いているんだから、スマホにやらせるようなことはそれで大部分が済む、あとはケータイがあればまず事足りる、となります。逆にスマホを使って、きちんと文章を書いたり編集したりしようとか、パワポの資料を作成したりプロジェクタで上映したりしようとか、EXCELにデータ入れて計算したりグラフ化したり、あるいはなんかのリストをつくろうとか、画像データを加工したり整理したりしようとか、そういうことはまったく無理となりましょう。まさか、スマホやタブレットのスクリーンキーボードでまっとうな「お仕事」もできると言い張る人はいないでしょうね。無論、ケータイでさえテンキーだけでメイルを書いたり送ったりできるくらいですから、スマホでそのくらいのことをするのもむずかしくはないのでしょうが、それだけならスマホをわざわざ持つ必要はないわけです。


 いや、もっといろんなことができますよ、写真を撮る、動画を撮る、動画を見る、音楽を聴く、そうしたAV機器の仕事の多くがスマホでできてしまうのですなどと、したり顔でおっしゃる方もあるでしょう。でも私の立場は、スマホでできる程度のことで満足するつもりもない、そこにつきます。「汎用機」はなににも中途半端、と考えるべきなのです。もちろん近ごろは、スマホどころかタブレット機をつきだして、「写真を撮ろう」とするなどという酔狂な方もおられます。また、最近のスマホの撮影能力はすごい、下手なデジカメを優にしのいでいると主張される向きもおられましょうが、それは写真というものをご存じない、その場を「撮れればいい」としかお考えでないひとの勘違いでしかありません。だいいち、私も含めて、ケータイ電話を通信手段として手離せなくなっている以上は、それならケータイの画像撮影機能で、十分だというのと同じではないですか。


 スマホはソーシャルメディアとしてのコミュニケーションや、ゲームやいろんなソフトの利用、時には集団ゲームマッチなどに適しているんですという主張もわからないではありません。でも、私はそうした類はいっさいやりませんので、なんの関係もありません。e-mailのやりとりだけで十分です。時に、どっかの場でお会いした人などから、「お友だちになってくれ」というお誘いのメイルなど来て、面食らいますが、どうやら御本人の意思を離れて、メイルアドレス登録などすると、それから勝手に「お誘い」が発信されたりもするらしいのですが、お断りです。申し訳ないが、「お友だち」になる気はありません、別に悪意じゃなくて。
 それからスマホをうまく使いこなすと、自分のblogに新しい記事や画像をすぐに送ったり、ひとのにコメを書き込んだりもできるのだそうですが、別にPCでやってもいいのでしょう、やりたければ。




 ともかく、スマホなんぞよりPCの方がはるかに汎用的でしかも高度なことができるのです、いろんなアプリのおかげと、高度な処理能力と、キーボードと画面表示を含めたヒューマンインターフェースの完成度で。違いは、スマホならポケットに収まる(ポケットが破けそうですし、よくスマホの画面が壊れていますが)、電車内で立ったままでも操作できる(歩きながらでさえ)、というところなのでしょう。だから、みんな電車内でも街中でも、夢中でスマホの画面を見つめているのでしょう、ひとにぶち当たるまで。そこまでするほどのことは滅多にない私には、ほとんどメリットになりません。電車内で、長い時間座れる場合には、メイルを読み書きしたり、webのニュースを見たりするためにPCを起動もしますが、そうでない際には主にDVDプレーヤーを見ることにしております(DVDドライブのあるPCなら、それができるだろうとは言えません。逆に、PCでDVDなど見ようとすると立ち上げにえらく時間がかかり、操作も楽ではなく、やっぱり専用機の方がいいとすぐにわかります。これはDVDを回すという発想だから面倒になるんで、PCだろうがスマホやタブレットだろうが、動画をMP4ファイルなどにし、SDメモリや内蔵データとして見ればいいだろ、という考えもありましょうが、やってみると結構大変なうえに、もちろん市販のDVDやBDからはそんなコピーは作れません)。街を歩く際などにはもちろんなにも見ません。ICプレーヤーで音楽聞きながらくらいはしますが。

 当然ながら、スマホの画面に見入ったまま歩いたりするのは危険ですよ。無理に歩きながらや運転しながら、やることではありません。座ってしましょう。


 まあ、私もスマホを利用できたら便利かな、と思うのは、それこそ歩いていたり乗り物車内などで、道路や店や、そういった目標物と地図など、あるいは交通機関の選択など、検索表示できるという使い方です。私のPCには地図ソフトが入っているし、もちろんいまどきGoogle mapやいろんな情報表示がweb上から利用できます。乗物乗り換えと予定時間を表示する「駅すぱあと」も長年使っています。ただ、そのためにはPCを起動させる、ブラウザで検索して表示させる等の操作がいるわけですから、スマホほど手軽に、手先指先でとはいきません。そういった情報の検索絞り込み・表示端末としては、ケータイも利用できるのでしょうがやったことないし、スマホの「専用機性」としては一番向いているのでしょう。

 ですから、富士通などが出していた、超小型サイズのPCを、起動容易で十分利用可能なものにしていてくれれば、そしていまも使える、信頼に足るものであれば、大きいPCを立ち上げるまでもなく、その辺もある程度カバーできたのかも知れませんが。立ち上げの困難はそれでもディスアドバンテージでしょうけれど。




 つまるところ、スマホに私の期待できることは、もともとPCの役割であったり、あるいはケータイ電話端末で基本的には足りてしまうのです、通話会話をすることを含めて。そして、はじめに書いたように、別に電話会社などに目一杯稼がせる必要もありません。私の月々の電話料金は、ケータイで3千円、PHSで1.5千円、そしてイーモバイルの定額通信料金で3.9千円くらいです。ぜんぶあわせても8.5千円くらいでしょう。それ以上取られるチャージはありません。

 スマホ利用者が実際にどのくらい払っているのかの正確なデータはなかなかないのですが(「家計調査」ではそこまで詳しく区分してない、また多くのデータは電話やさんには不都合な真実となるので、なかなかあてにならないと言うか、見られない)、電話やさんへの支払額平均値で、月6千円とか9千円というような数字もあるようです。特には、パケット料金でごそっと取られるらしいですな。私なんぞは、うえのようにいくらつないでも4千円以下で(プロバイダの料金は、このwebサイトのサーバ使用料を含めて、別にかかってはいますが)。

 いや、だからそこでタダになるのがあるんです、LI○Eとかいうので、と。タダほど高いものはないというのを、皆さんそのうちに思い知らされるでしょう。あなたの個人情報がどれだけの値段になるのかと言うことを。もちろんひとの広告料をこっちで負担してあげているのも含めて。

 ゼニだけじゃなく、すぐに電池がなくなる、電源探しに右往左往ともよく聞きます。だから、まちなかにスマホ充電用スタンドが置かれたり、乾電池使用のスマホ充電アダプタなんていうのが一杯出たりするんですな。まあ、その辺はPCでも御同様ではありますが、スマホひとつで「あとなんにもいらない、なんでもできます」と思い込むユーザーの方々の悲劇とも申せましょう。あんな中に、そんなに大容量のバッテリが入るわけないでしょう。PCではいつも、充電量と、予備の電池やAC電源持参の必要性などを考えてから出かけますし、どうせPC担ぐのなら、AC電源を持つのも大差ないと割り切れますし。




 「スマート」という言葉には魔力もありますが、なんでもスマートで済むわけでもないでしょう。もちろんかつて日本で誤解されたような、スリムな体型という意味理解は間違いであっても、「スマートメディア」とか「スマート爆弾」なんていうのもありますしね。ましてや、スマホを棒の先につけて、ひとの頭のうえから「地鶏使用」じゃなかった、「自撮り」しようなんて、スマートどころか迷惑千万ですよ。もちろんスマホじゃなくてデジカメをくっつけるひともいるのでしょうが、まあ皆さんスマホですな。そうした過剰なる自意識、自己陶酔のシンボルがスマホだなんて言ったら、明日から道を歩けないですな。

 「スマート」って、誰に「スマートなの」?そう考えてみましょう。





続編 2015年12月 好事魔多し

 どうもいろいろある歳末です。

 まずは、出先でCF-R9がトラブってくれたのです。最近はRZ4の方を主には持ち歩いているものの、ヘビーな仕事をするにはどうも今ひとつ使い良くない、やっぱり画面小さすぎ、win8お馬鹿すぎ、そのうえインストールしている「Shuriken」がもっとお馬鹿で、メイルを書いていると、勝手に飛んでみたり、作成画面をどかどかっと開いてみたりで、腹の立つことこの上なしです。これはRZ4やwin8自体の問題ではないのかも知れませんが、個人的にはストレス溜め機にもなります。
 それで、先日のボルネオ行にはCF-R9を持っていき、そしてまた、12月の出張にこれを携えたのです。いまさらながら、RZ4の軽さを思い知らされるし、USBコネクタ2つしかない、等々レガシーものの実感なのですが。

 ホテルの部屋で、CF-R9をいじっていて、さて仕事にもかかろうかな、と思っているうちに、勝手に画面が消え、動作が停止に入ってしまいました。焦りました。再起動をし、また順調に動くなと思っているうち、同じ事態が生じます。


 CF-R9のやつ、最近の冷遇に腹を立て、ストライキに入ったのかな、いや実はタイミング良く寿命が来たのかも等々、いろいろと悪い想像をします。ともかくこれが動かないと、仕事にもなりません。そして、このCF-R9を失ったら、どうしたものかということまで考えをめぐらさざるを得なくなりました。


 ただ、やることなく横になって考えてみるに、どうもこの事態は機体温度上昇での、緊急避難停止の動作発動にも思えます。実際、本体かなり熱くなっていたのは気がついていました。この機でそんな事態に直面した経験は皆無なので、そこはちょっと信じがたいのですが、ありうることではあります。ホテルに入ったときから起動し、夕食を食べに外出している間もつけっぱなしにしていた、それで置いてあるデスク表面も含めてかなりの温度は感じていた、それは事実です。



 しかしなお、もし原因が異常温度上昇による緊急停止動作であっても、そもそもそんなに温度が上がる(室内とはいえ冬です)、そこに基本的な問題もあるような気もしてきます。どっちにしても、CF-R9はもう駄目なのかも知れません。まあ、動画なんか見ていて、CPUがフル稼働し、内蔵ファンがうなっていたのも間違いないので、そうそうあることでもないと、楽観視しようと努めました。


 それでも、不安はぬぐえないので、翌日に大阪電気街、ニッポンバシを、初めての見物ついでに歩き、R9どっかで売ってないかな、などとも覗いてみました。中古PCを売る店では、親切にも、「ファンに埃がつまっていることもありますよ」とブローをかけてくれたりもしました。

 この店など、パナのSシリーズや、Nシリーズなどはかなり並んでいます。ネットショップで見てもだいたいそう、特にNは、また業務用の大量放出か、やたらに出ています。DVDドライブを持たないが画面の大きいNは、仕事で一括採用が多いのでしょう。しかし、Rは本当に少ないですね。あくまで個人ユースで、また愛機となるタイプ、手放す人も少ないのでしょう、私同様に。もう同系のモデルチェンジ機もないとなればなおさらです。





 そんなこんなの思いを抱き、帰宅すると、もう一つのピンチがタイミング良く待っていました。


 いやな予感が当たりました。

 現Y!mobile社から、現在私利用のサービス・ワイヤレスモバイル通信を、2018年1月末をもって終了するという「通告」が来たのです。そして、「pocket wifi」にしろと。


 私の使ってきたUSBスティック端末などもう新製品がないどころか、店頭からも消えているので、そうなんだろうなと予想していたとおりの筋書きです。孫氏の企業がe-mobileを吸収したときから、こんなのやめだと決まっていたのでしょう。

 通信サービス体制だなんだ、あるいは回線の品質だ云々という以上に、PCにつけてそのままつなぎ、そして電源も供給される、簡単にして確実な通信端末をなんで捨てねばならないのか、私にはまったく理解できません。間違いなく「退化」です。


 もちろんその裏にある意図は、明白すぎです。PC持ち歩いて、出先でインターネット接続するなんていう物好きはもういないだろ、みんなスマホの時代だよ、あるいはせいぜいタブレットだな、それなら基本wifiだろ、これですな。「スマホは買わん!」人間は人間扱いされない時代がついにやってきました。


 この孫氏の柔軟土手とかいう企業には、また別の件で私はえらい目に遭いました。それは基本的には私のミスのせいではあり(それにもCF-R9がからんでいて、因果話)、ヒジョーに高い授業料を払わされたこと自体は自己責任と理解していますが、その後の同社の「迅速なる対応」のゴーマン、身勝手、自己利益のみの姿勢には呆れかえりました。簡単に申せば、たくさんのゼニには即取り立てをして、金利を稼ぐという、逆サービスそのものの姿勢、経済学的にあり得ない対応です。もちろんそれに対する一切の説明も拒まれました。孫氏の兵法の面目躍如です。



 一消費者としての自己防衛のために、こんな、トンデモ企業とは未来永劫、地球滅亡の日まで縁を切りたいものですが、残念ながら諸事情から、簡単には縁切りもできないのです。阿漕な商売もきわまれりです。しかし、モーバイル通信に関しては、向こうから縁切りを宣告してくれました。


 あと2年、どうしましょうかね。PCどころかインターネットもデジタルメディアも一切捨て、断舎利に入りましょうか。まあこの歳ですから、「先のことなんかわからん」で済ますのが妥当なのでしょう。

 ともかく皆さん、孫氏の企業には絶対に近づかないでください。私は人身御供の覚悟ですが。




 なお、厄日のごとく、この出張の帰りには、じぇーあーるとーかいとかいうところが「つかえつかえ」と押しつけてきた、チケットレスのICカードというのが、新幹線出口で反応しなくなりました。例のごとく係員が飛んできて、あれこれ試すにみんな無反応です。それで、「このカードは磁気が消えているので、使えません」、「乗車証があるので、切符購入乗車は確認できます」とのたまいました。消えているもへったくれも、このカードで入場して乗車したんですよ。ふざけんなよ、そんなのもう要らないよと、カードは投げ捨てました。

 それを拾ってきて、「どうかお持ちください」と懇願するので、じゃあどうすればいいのと問えば、「このカードはもう使えません、また手続きが要ります」、ジョーダンだろ、使えないものは使えない、それだけじゃないか、「いえ、このカードのもとのクレジットカードでは切符が買えますので」、つまりなんにもならない、なんの役にも立たないということだろ、投げ返すのが正しいということですな。


 あとでカードの記載を確認したら、「このカードはじぇーあーるとーかいの所有物です。お使いにならない際には返却いただく必要があります」云々と書いてある、つまり、投げ返すのが実はやっぱり正しかったのです。係員の女性が泣いてもいけないからと持ち帰った、とんでもない間違いでした。

 ホントに便利な社会になったものです。


 

続々編 2016年4月 えぇ−、ダメなの?

 RZのいまひとつな使い勝手に悩みつつ、買って一年が過ぎてから、誠に嬉しいような情報を目にしました。
 パナソニックが、これらwin8やwin10で動いているPCのwindows7へのダウングレードサービスを有償提供する、そういう公示が出ているのを発見しました。期限付ですから、急がないといけません。

 win8.1には正直、かなり悩まされてきた一年間でした。慣れれば、と思ってきたものの、要するにwindowsに長年親しんできた人間を頭から無視するようなつくり、よくわからん余計な表示や動作の数々など、それこそ「もうパソコンなんか使うなよ」と言われているような実感を十分味あわせてくれます。windows3.1から始まった、私のようなものの20年近いユーザー歴を冷笑されているような思いさえします。こちらが選ぶ、考える、そういった「操作」をさせないのが「親切」であるかのようなコンセプトの数々、まったくもって「小さな親切、大きなお世話」です。


 こんな「ダウングレードサービス」をパナソニックが始めることがなにより証拠。win8やwin10は要らん、しかしもう売っているのがそれしかないじゃないか、そうすればPCメーカーとして、「ユーザーニーズ」におこたえすべく努力するのは当然でしょう。「有償でダウングレードディスク提供」として、それが4千円余りとあれば、私も飛びつくことにしました。RZの軽さ、コンパクト性、動作の速さなど考えるに、それでなおwin7で動きますとなれば、これは有り難いと考えるのも当然と思って。正直、最近は中古品情報を眺め、また実際、店頭でR9の中古に触り、買うべきかな、でもわざわざ中古を買うのもどんなものか、しかも旧性能品じゃあと迷っていた今日この頃でしたから、RZをwin7で動かせるとなれば、願ったりかなったりです。4千円なんか安いものです。


 けれども、私の夢は一瞬で終わりました。指定された電話サポートセンター番号に電話し、「バックアップディスクは作っておけ」というから、いつ作ろうか、外付けドライブはどうする、ディスクは宅配便着払いというから、どう日程指定しようかなどと考えつつ、応答を待つに、意外に早くつながりました。

 それで、コールセンター嬢の求めに応じ、私のRZの機種品番など告げますと、早速に「お使いの機種はダウングレードサービスの対象になっておりません」とのこたえです。なんで?win8.1 Proも対象のはずでしょうと問い返しても、お使いの機種のwindows8.1にはダウングレード権がないのです、できません、それ一点張りです。

 やれやれです。コールセンター嬢(どこでやっているのか、沖縄か)相手に押し問答を続けても、「できません」では、ダウングレード用ディスクを送ってくれるわけもないので、これで話はジエンドとなるしかありません。夢は一瞬で終わりとなりました。



 後々よく調べると、ダウングレードサービスのお知らせには「対象機種一覧」も付いており、確かにそこには私の機種の番号は載っていません。この公示自体をよくよく読むと、「本サービス対象のWindows 10 Pro/ Windows 8.1 Pro/ Windows 8.1 Proプリインストールモデルをお持ちのお客様に」、ダウングレード用メディアを有償提供いたしますと書かれています。そして私のRZは、「Windows 8.1 Pro update」となっていたのです。どうやらこの「update」の6文字がくせ者なのですね。


 技術的に「update」はダウングレード不可なのか、いや単に、マイクロソフトとの購買契約上の縛りがあるのか、私にはわかりません。パナもずいぶんな商売だな、と不満に思っても、「できない」「売らない」と言い張られれば、一ユーザーとしてはどうしようもないわけです。どっかでwin7ダウングレード用メディアというディスクをなんとか入手し、それで試みても、失敗した、途中で止まった、諸機能おかしくなったなどとなれば、目も当てられません。いったいなにに「アップデート」したんだか。

 どっかのPCメーカーの場合、ダウングレード対象機に、「Windows 8.1 Pro update」もあったような記憶もあるのですが、まあ、お手あげですね。



 世情、マイクロソフトによるキョーフの「強制win10アップグレード」の猛威に対する怒り、苦情など、渦巻いておるようです。ここまで来ればこれも一種のサイバーテロ、誰か勇気あるものが同社に天文学的な損害賠償を要求し、一撃を加えるくらいにしないといけないのでしょう。実際、相当な被害額が世界各地で出ているようですから。

 ただ、幸か不幸か、私のwin7機はどれもそういうテロ被害にまでは至っておりません。すでに勝手に窓マークが居座り、時に「アップグレードを開始します」なんて表示されたりもするのですが、もちろんすぐさま削除し、今のところ事なきを得ております。有り難いことです。


 マイクロソフトがこんなテロまがいのことまでして、win10を強制してくる、それにはそれだけの焦りもありましょう。あるはまた、win10にはとんでもないゼニもうけの仕掛けでも入っているのかも。しかしなお、全世界ウン十億人のwindowsPCユーザーは、団結してwin7を守り通さないといけません。「勝手にアップされた」PCの持ち主たちは、大変な苦労をして、元に戻すよう努めているようです。それに比べれば、ともかく「WINDOWS 8.1 Pro Update」機を買っちゃった、私の判断の至らなさくらいは堪え忍ぶべきところではありましょうか。


 唯一笑えたのは、私に「ダメです」宣告をしたコールセンター嬢、何度も「アップグレード」と言い間違えたことでした。さすがに、この世界で「ダウングレード」が重要サービスになるというのはかなりレアなことではありましょう。それだけ、パナLet'sNoteユーザーの怨嗟の声が満ちているという証左とすべきでしょう。





続々々 スマホの「弊害」、いよいよ表面化


 これまた予想通りと言うべきか、「スマホでこと足れり」とする若い世代の激増で、その裏返しにPCを使えない、ろくにいじったこともないという事態が顕著になり、あちこちでえらいことになっているようです。これは特に、大学に多大の影響を及ぼしています。

 私の周りでも確認可能な事態ではありますが、嘉悦大学では全学生パソコン必携で、その操作利用に慣れさせることを教育目標にしていますので、「スマホしかいじったことない」学生も困るようにしております。私自身は基本、「出すレポートは手書きでもいいよ」とはしているものの、授業資料等はすべてweb上の大学情報サイト「学ナビ」に掲載しておりますので、スマホで用が足りるわけもありません。
 それでもがんばって、スマホでメイルでのやりとりなどをしてくる学生もいるし、それをもちろん拒否はしないし、各学生に付与されている大学名のアカウントから、スマホに自動転送設定するのも自由です。しかし、私の担当科目によっては、PowerPointによるプレゼン資料の作成利用も奨励しているので、どだいスマホでそんなもの作れるわけがなく、否応なくPCに取り組み、そして作った資料を教室のプロジェクタで映して貰わなくちゃなりません。


 けれどもなお、このごろ私の用いる授業資料の投影画像を、スマホで撮影している学生が出現していることに気がつきました。まあもっと昔、黎明期にも、黒板やスクリーンをカメラで撮る、デジカメで撮るというような学生もいたのは事実なので、さして違いはないとも言えるのですが、私の場合はすべてパワポの画像として写し、それは前記のように、pptファイル自体として別途アップロードしているので、わざわざまた撮影する意図がわかりません。まあ、私の授業資料は膨大なページ数でできているので、あえて自分の関心あるとこだけ撮影しておく対応もありえなくもないのですが。

 しかし、深刻なのはそういったレベルを凌駕し、出された課題のレポートを手書きして、それをスマホで撮影し、画像として送信してくる学生の氾濫なのだそうです。要するに、教員の側は「当然」、MS-WORDなどで作成した文章ファイル(あるいはもちろん、pptとかxlsなどとして)を送ってくるものと「期待する」、しかしテキはそんなヤワじゃないので、画像ファイルという搦め手を仕掛けてきて、肩すかしを食わせる、というわけです。上記のように、私はレポートをインターネットで送信送付するということ自体を受け入れていないので、「手書きでもいい」、もちろんMS-WORDなどで作成したもののプリントアウトを出して貰う、特に問題ないわけですが、どう考えてみても、手書きのものを撮影して送るなんざ、決して「進歩」ではないですよね。



 「画像送付」ではなぜいかんのか、それは申すまでもないでしょう。「アリバイとして済ませる」ことはできるし、操作と作業自体は簡単だろうけど、受ける側はいろいろ困る、読むも困難(手書きのまま提出された方がよっぽどまし)、それ以上に、そっから先の利用価値がどうにもないですね。そして間違いなく、これじゃあ「仕事できません」ですね。


 PCと日本語WPソフトと、そしてインターネットのおかげで、文章や数値や図形やフォームやら、いろいろなものをデジタルデータという形式に収斂し、それによってどこにでも瞬時に送れ、貯蔵でき、そして加工編集利用が自由にできる、これが20世紀末の情報革命です。デジタル画像データも同じたぐいではありますが、それで「書いた文章を撮影して送っても」、どうにも利用はできません。文章等を作成するというのが、自分の手元のノートや、自筆賀状やらでない限りは、手書きのままでは困るのでして、「仕事」の流れの中での利用可能な場面はほぼゼロです。それとも、「オレ様の貴重な手書き筆跡の画像であるぞよ、末代まで手元で大事に保存せい」というんでしょうかね?


 スマホ的な使い勝手に向いた、ネットワーク情報の利用に慣れてしまうと、PCなんか面倒なだけ、余計なスキル習得と費用支出を強いられるだけと実感されるのでしょう。しかし、それじゃあ「仕事できない」のが今の時代なのです。スマホ片手で済むことしかやりません、PCを使えなんて求められない仕事にしか就きませんと割り切るのであれば、それもありですが、大学にまで進学する諸君、「リコウ系」はもとより、「ブン系」もほとんど、PCを用い、自らデジタル情報を作成送付したり、受信加工利用したりすることを強いられる、そうした人生がいまどき待っているのです。どうもそちらは自明のこととしておきながら、肝心の自分自身はPCもいじらない、それはかなり無理な話でしょう。



 さは申しながら、いまじゃあシューカツも、スマホ片手でかなり用が足りるようになっているようだそうです。だからなおのこと、かも知れませんが(そんな「シューカツ」なんか、就「職」とはなんの関わりもない、「マス消費」のなかの「参加」幻想と序列意識をくすぐり、ブランド「選択の自由」的錯覚と、ひとときの「選ばれた」優越感と「負け組」意識とを振りまいて、ゼニを稼ぐごろつき企業の餌食になるだけ。まあそんな「関門」を通ってきた「新規学卒一括採用」新入社員諸君ばかりに占められたら、ニッポン企業もいよいよおしまいですな)、それは基本的に、スマホは徹底した「受け手としての」「消費のツール」に特化しているからと考えねば理解できません。「生産と消費」の矛盾であります。
 「消費」には、いつでもどこでも使える「便利な」ツールだから、これだけ普及し、みんな飽きることなく四六時中スマホいじり、情報濫費をしているんでしょう。


 でもスマホで文章書けますか?パワポファイルを編集できますか?エクセルにデータや計算式を入れ、リストや予定表やグラフなど作れますか?スマホでまっとうな文章など書くのは至難の業であるから、「手書き」に戻っちゃうんでしょう?


 昔々のじいさんばあさんの時代にタイムワープし、「手書き文化」に浸る、それができればそれも結構ですが、無理でしょうね。だいいちその時代に、スマホももちろんありませんよ。


 思い出します、ここに書いてきた、私のPCとの格闘の前史、「手書き」しかなかった時代からの移行期での戸惑いや混乱や「昔の大先生方」との軋轢、そして黎明期ワープロなどの一行しかない液晶「画面」をにらみながら、文章を書き、さらにはその「編集」までした離れ業、裏技の数々、PCの進歩と普及とともに広がった多くの可能性と試行錯誤、それがスマホとともにまた逆戻りし、「復活」する、歴史というものは楽しい限りですね。






その五へ