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4-(1).読者の皆さんによる事例(投稿・その1)

「評価損」 を勝ち取った具体例(読者の皆さんによる投稿)の紹介ページ・その1です。
以下は、「Fman」 さん ご本人からいただいた投稿です。

日産R34スカイライン25GTX-Turbo 5MT (事故時、納車14ヵ月弱、無傷、走行16,000Km)が
追突されたが、修理代の30%にあたる\95,007の評価損を勝ち取ることに成功した事例です。

●1999-10-15 : 公開、 ●2001-10-18 : レイアウト他変更、●2005-05-09 : 注釈追記(△1)

事例1.右折待ちで後ろから追突された例

報告者:「Fman」 さん   

 
 初めてメール差し上げます。東京に住む 「Fman」 と申します。

 メール致しましたのは、私今夏、自動車事故に遭い、このたび少額ながら車両格落ち分を保険屋さんに認めさせることができたからです。この格落ちを請求してみようと思ったきっかけになったのがKAZさんの Nifty FCARR への「評価損(格落ち)について」という発言でした。この発言は後々役立つと考え、その部分をクリッピングして保存していたため、それを読み 「なんだか自分にも請求できそうだな」 と思い、今回格落ち分の請求にトライしてみました。

その結果、満足する金額とはいえませんが格落ち分を手にすることができました。以下、事故の状況から保険屋さんが承認するまでの顛末を簡単に記します。一読いただけると幸いです。


【1.事故前のクルマの状態】

日産スカイライン25GTX-Turbo 5MT(R34 4扉)
事故時、納車14ヵ月弱、無傷、走行(16,000Km)


【2.事故に至る状況】

 妻も札幌出身なため、「今年は一発、車でかえるべぇ」と、妻を乗せて8月20日に東京を出発。予定では10日間の楽しい帰省になるはずだった。東北道はうそのように順調で、青森に到着。予約より1本早いフェリーに変更し、函館のホテルにチェックイン。しかし、お盆過ぎとはいえ、函館市内の飲屋街はガラガラで観光客はほとんどいない状態。翌日は、トラピスチヌ、茅部町間欠泉と観光しながら5号線に合流し、八雲町を無事通過する。


【3.事故に遭う】

 長万部が近くなり右手に噴火湾がみえる5号線を、大型ダンプも含む車列は80キロ位のペースで流れる。すると、右手前方に 「かに」 の看板がある巨大なドライブインが見えたので 「飯喰う?」 と妻に言うと 「そうしようか」 とのことで、入ること決定。対向車の車列が続いており、こちらも片側1車線でけっこうな速度で流れていた。周囲の状況を確認し、早めにウインカーを点け、右折停車する。後続のクラウンの停車も確認。

 ところが助手席の妻が 「あっ!」 と左サイドミラーを見ながら叫ぶので見ると、そのさらに後ろの車が、左を追い抜くように車両の左半分がミラーで見える状態で突っ込んで来る。片側1車線なので抜けるはずもなく、ブレーキのスキール音とともに後ろのクラウンに追突。クラウンは私のスカイラインに 「ゴーン」。8月21日(土)、空は晴れ、心は 「どんより」。3車は自走でドライブインの駐車場へ。


【4.事故現場での対処】

 友人には 「事故にあったときは最初は高圧的に出た方がよい」 と言われていたので、下りてまず 「バカヤロー、何やってんだ!」 なんて怒鳴ってみたが、効果があったかどうか。

 追突車のカムリ-------右前部中破、
 
クラウン-------------後部/前部小破、
 
我車(スカイライン)-----後部、一見小破。

 自走は可能だったが、バンパーとトランクの中央部が凹む。「まあ、バンパーとトランク交換でOKか」 と思ってトランクを開けると、トランクの床、つまりボディーにも来ている。「あーぁ、これで事故車だぁ」。

 カムリの運転手は自分がすべて悪いと認めており、駆けつけた交番のお巡りさんにも 「全部あんたが悪い」 といわれて、責任の問題は一応クリアする。実は、カムリとクラウンは仲間同士で、その日は同じ所に出かける最中だった。追突してきたカムリの運転手は函館に住む公務員と身元がしっかりしていたので、3者で身分を交換して、その場は別れる。カメラを持っていたので現場写真を取るが、結果的に今回は役立たず。

 実際の被害の状況は、走行には一切問題なし。しかし、人に見られるとぶつけたのがわかりかっこ悪い感じ。妻曰く 「遠目にみたら全然わからない。お金だけもらって直さなきゃいいのに」(オイオイ)。確かに真後ろから見るとそんなに目立たないが、斜め後方からみるとだめ(バレバレ)。

 二人とも飯を喰う気も失せ、さらに長万部で入れようとしたガソリン補給も忘れて、一路虻田方面へ。(南北海道では長万部が一番安いので有名です。)走り出したら、携帯にその公務員から 「保険屋さんに手配しました。すみませんでした」 と連絡あり。

 その後、8月23日の月曜のお昼頃、保険屋さんの函館サービスセンターのおねえちゃんから携帯に 「今回は申し訳ありませんでした。車両の修理代はすべてこちらで持ちますが、どちらで修理しますか?」 とあったため、「東京に帰ってからディーラに出す」 旨を告げた。すると、「指定日に東京のサービスセンターから電話させます」 ということでこの日は終わり。お姉ちゃんには意外と好感。


【5.上京後、格落ちを勝ち取るぞ〜】

 上京後、KAZさんがNiftyにアップした文章を思い出し、「よーし、やるぞ」 と決意。そこでKAZさんの文章を参考にし作戦を練る。

 作戦の基本は、
  ○データを提示して論理的に攻める。
  ○交渉の後で格落ちを切り出すのではなく、最初にガツーンと言う。
  ○少額裁判までは考えない。(面倒だから)
 とした。


【6.交渉開始】

 指定した8月30日(月)に東京サービスセンターの担当から電話が入る。今度は男。機械的に修理の入庫先を問い合わせて終わり。全然謝りもせず。「あれ、函館のねえちゃんと違うぞ」 と思いながら毅然と 「今回は格落ち請求させてもらう」 と言うと 「普通は認められないんですよ、そーいうの。とにかく修理が終えてからにしてください」 とさっさと切られる。敵は手強し。

 そこで、こちらの要求をワープロで文書にして送付した。内容は、
  ○修理費に加え格落ち分として修理費の30%を損害賠償請求する
  ○日弁連でも格落ちは認めている(日弁連HPの当該場所のコピーを添付・・・下記注(△1)
  ○実際に認めた判例がある(KAZさんのデータを添付)
  ○保険屋さんが認めないのなら加害者(カムリの運転手)に請求する。
というもので、その日の内に保険屋さんと加害者に同じ文書を郵送する。

 翌日、日産プリンスに入庫。「バンパー、トランク交換。ボディは板金かな。確かに事故車扱いにはなるが、本当に格落ちを保険屋に請求するの?」 という反応。交渉が長引いて修理費の入金が遅れるのをいやがっているようだ。確かに、ディーラには何の責任もないので 「迷惑をかけるつもりはない」 と説明する。

 10日後 「修理が上がってきたが、トランクに塗装ダレがあるのでもう一度塗ります」 とのことで、再修理。さらに一週間後、修理完了。塗装が心配だったが、さほど気にならない範囲。問題の修理費は、\316,690、意外と安い。予想は45万位と考えていた。ディーラからは 「交渉を余り長引かせないでくださいね」 とお願いされる。

※注(△1): 「調布市のKAZ」 による補足
2005年4月現在、日弁連のサイトには 評価損を認めるという内容のページは見あたりません。
(かつては確かにあったのですが、現在ではサイト内検索をかけても、
 該当ページは削除されたのか、ヒットしません。ご注意願います。)


【7.事故減価額証明書】

 修理費が出たが格落ち分としてそのまま請求しても、あの保険屋さんの男は簡単に認めないだろうと考え、KAZさんも書かれていた日本自動車査定協会に査定に出すことにする。協会のHPがあったのでみると、「事故減価額証明」 なるものがあったため、入手方法を問い合わせる。

 ○必要な物:修理見積書、車検証、\10,000+税
 ○場所:東京は北品川、出張は+\3,000
 ○期間:査定後、1週間程度で自宅に送付

 後日、午後から会社を抜け出して持ち込む。HPに顔写真も載っている次長が査定を担当。その人も北海道出身だそうで話が弾む。ここでの話の中で、

 ○協会の査定はディーラ等の査定より確実に低めに出る(私には損)
 ○協会は交渉には一切立ち入らない(貰えなくても知らない)
 ○当該車は確実に事故車。しっかり貰うとよい。
 ○この査定費用も請求した方がいい。
 ○少額裁判を利用する人もいる。
 ○格落ち分は保険屋は払いたがらないが、本来はちゃんと払うべきだ。

ということでした。1週間後に届いた減価額は\150,000でした。


【8.本格交渉】

 9月29日、証明書と賠償請求額を明記した資料を保険屋にFAXする。請求額は、
  ●修理代(→ディーラ)
  ●格落ち分\110,500:格落ち分10万円+査定費用
とした。

 10月7日、電話があり、「格落ちは認めます。こちらのめいっぱいの上限の金額でを言うから、それで納得してくれ」 で 「いくら?」 と聞くと、「税込み修理代の30%ピッタリの\95,007です」。「査定費用も持って」 とせまるが 「もう1円も無理です」。追い打ちをかけるように、「Fmanさんもご存じでしょ。判例でも30%までなのを」 と逆手に取られてしう。ディーラに迷惑をかけるわけにはいかないので 「それでいいです」 と言ってしまう。翌日 「示談書」 が送られてきて一件落着。


【9.最後に考察】

 今回の作戦はあまり賢いやり方ではなかったと思っています。公正な機関の査定が15万円と出ていたので、やり方によっては満額取れたのではと思います。先に判例を持ち出したのが失敗だったような気がします。

 購入1年の車両で、責任0:10、シャーシまでいく事故に遭って 「修理代だけでは何かスッキリしない」 という感じがしたのでアクションを起しました。事故は嫌な物ですね。特に接触したときの金属がひしゃげるような音が混じった 「ドン」 という感触は耳にずっと残ります。幸いにも人身事故のではなく物損の範囲なので、今後いっそう安全運転を心がけていきたいと思います。

 今回のアクションの結果、保険会社は 「格落ち分には触れて欲しくないが、キッチリした請求なら認めざるを得ない」 というスタンスであることと理解しました。また、担当していただいた査定協会の次長も 「明らかに損害を受けているのだから貰って当然、保険会社もそうゆう考えになっていくのではないか」 と言っていました。

 しかしながら、たいした交渉もなく保険屋さんから格落ちを取れたのは、しっかりしたデータを準備できたからだと思います。今回は自分なりにひとまず成功と考えています。
 

 

〜 HP管理人より 〜

どうもご苦労さまでした! そして詳細なご報告をありがとうございます。
今の日本の法律では、同じ車線内を同一方向に進行する車同士の追突事故の場合、たいていは (安全に停止することの出来る車間距離を取る義務を怠ったという理由で) 後続車側の過失割合が大きくなります。特に、オカマを掘られた側 (先頭車両) が完全停止している場合は、特別な理由のない限り0:10の過失割合 (つまり100%後続車側が悪い) になるのがほとんどのようです。
 
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> カメラを持っていたので現場写真を取るが、結果的に今回は役立たず。

結果的に役に立たなくても、しっかりとした証拠を 「その現場で取る」 ということに意義があると思います。 たぶん今回は次の理由により、結果的に事故現場で 「Fman」さん の撮影された写真が不要になったのではないかと思います。
   ・事故物件での入庫のため、工場 (日産プリンス) 側が修理に取りかかる
    前に証拠写真を残しておき、それを保険会社に添付した・・・か、あるいは
   ・相手側の保険会社から 「アジャスター」 という専門員が修理工場に派遣
    され、修理の規模を確認するための写真を撮っていった

修理工場の方は、「トランクに塗装ダレがあるのでもう一度塗ります」とのことですから、対応が真面目なディーラーのようですね。「一発で直らなかったので残念」とも言えますが、むしろ出来が悪いのでやり直しさせてくれと正直に言うディーラーのほうが、私は好感が持てます。
 
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>  こちらの要求をワープロで文書にして送付した。内容は、
>          ( 〜 中略 〜 )
>  その日の内に保険屋さんと加害者に同じ文書を郵送する。

とても冷静・的確で良い判断だと思います。特に、「保険屋さんが認めないのなら加害者に請求する。」 という主張を、保険会社だけでなく加害者本人にも郵送されている点は、非常に効果的です。加害者本人にとっては、「せっかく保険に加入しているのに何でオレが払うの?」 ということで保険会社に泣きつくわけですから。こちら(「Fman」さん)としても、加害者本人から評価損を取り立てるよりは、相手の保険会社から評価損を勝ち取る方が、心情的にもスッキリするのではないでしょうか。
(単に金額という点だけで見てしまうと、どちらも同じですけどね。)
 
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> しかしながら、たいした交渉もなく保険屋さんから格落ちを取れたのは、
> しっかりしたデータを準備できたからだと思います。今回は自分なりに
> ひとまず成功と考えています。

すべては 「Fman」さんの努力のたまものだと思います。実際に行動を起こし、判断され、また交渉されたのは 「Fman」さんご本人ですから・・・。メールの転載(投稿)を快く認めて下さった 「Fman」さんに、重ねてお礼申し上げます。

調布市のKAZ
 

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