Yahoo!の激変

 '98.7.26より、Yahoo!はHPの登録基準を変えました(実際はもっと前からこの動きはあった)。最も大きな変化は、Yahoo!へのHPの「登録」ではなく「推薦」になったことです。実際、Yahoo!にアクセスしてみると以前は「登録」という表現であったものが「推薦」に変わっています。これは何を意味するかというと、今まで登録申請されたHPは公序良俗に反しない限り全てYahoo!に登録されていたものが、今度からはそのHPがYahoo!に登録する価値があると推薦され、かつ、登録する価値があるとYahoo!が認めたものに限って掲載されるようになったということです。量より質へ転換したともいえるでしょう。
 ではHPの価値とはいったい何でしょうか。いろいろあるとは思いますが、最も重要なことは、多くの人の役に立つ情報を充実させていることだと思います。そうしないと情報を発信し多くの人にそのことを知らせ、また共有することができないからです。またこのことは、Yahoo!の登録基準の1つであるとして、Yahoo!インターネットガイドにも記されています。従ってYahoo!に登録されるためには=インターネットで自分のHPをデビューさせるには、このHPで何度も説明している通りHPに書かれている内容を充実させることがますます重要になってきたと言えるでしょう。また今までは価値のないHPが多く登録されたために情報の分散化が生じるという弊害がありましたが(またの機会に述べます)、これからはそれが減っていくことを期待したいものです。
 ところでこの新登録基準に変わって既に2カ月以上が経過しますが、実際はどうなっているのでしょうか。Yahoo!へ登録申請してから実際に掲載されるまでの待ち時間が2週間から3週間であることを考えると、'98.8.10〜17日以降に公開されたHPがこの基準を満たしたものであることになります。まずYahoo!に登録された数ですが、新着情報に掲載された数をおしなべて比較してみると、以前の半分程度に減少しているようです。しかも全てのカテゴリの新規登録が一様に減少するのではなく、既にたくさんのHPが登録されているカテゴリに対する新規登録が減少しています。例えば、このHPの登録されている1つ上の階層にあるカテゴリ、即ち「HPの作製」というところですが、最近ほとんど新規登録されていません。ここにはもう100以上のサイトが登録されているのです。他のカテゴリでも登録数の多いところは同様の傾向にあります。ただし、Yahoo!の登録基準改訂によって「これ以上同じようなサイトの登録を増やしても価値がない」と判断されたため減少したのか、それともサイトを作ろうとした人が「既に同類のHPがたくさんある」と判断してHPの開設を取りやめたため、結果として減少したものなのかの切り分けは現在のところできていません。個人的意見では、恐らく前者であると考えています。
 一方HPの内容ですが、これは旧基準のときと大して変わっていないように感じられます(データはありません、あくまでも感覚です)。
 なお、このYahoo!に登録されにくくなった問題に関しては、白象さんの作られた「ヤフーは墓穴を掘っていませんか」というサイトで詳しく述べられています。

 またYahoo!自体も大きく変わってきています。既にご存じとは思いますが、Yahoo!のトップページが変わり、新しいサービスも始まりました。例えば掲示板ができたり、チャットもできるようになり、Yahoo!にアクセスしたときの画面をカスタマイズできるようにもなりました。またこれらのサービス内容を検討していくと、Yahoo!側の都合・ユーザーニーズの変化を上手く取り入れたものであるとも解釈できます。
 例えば先程述べた、価値があると認められたHPのみが登録される新基準ですが、これは量から質への転換ということで優れた情報が入っているHPを素早く見つけることができるようになり、利便性が高まるといえるでしょう。さらにこの方向転換は、Yahoo!内部の問題も絡んでいるように見受けられます。サーバーの容量もそうですが、何といっても人手がかかりすぎるため全てを受け入れられなくなってきたので、量から質へ方向転換せざるを得なかったのではないかとも考えられます。
 一方、掲示板やチャットは「メール友達」等を作りたいというニーズを満たしたものであると考えられます。ただし個人的には、このメール友達について、あまりいい印象をもっていません。インターネットの醍醐味は、今までは自費出版でもしない限りできなかった個人個人で蓄積してきたノウハウ等を多くの人に知らせ伝えることができるようになる点であると考えています。この情報の発信と共有化こそインターネットの最大の利点なのです。ところが「メール友達」では小さなグループばかりができて、その中でごちゃごちゃやっているだけで終わってしまう可能性が高くなります。言うなれば、コミュニケーションの手段が井戸端会議からインターネット変わっただけで、本質的には(チャットの内容的にも)今までと何ら変わらないでしょう。
 サーチエンジンは量から質へ転換して有益な情報の書かれているHPのみを選別する一方で、掲示板やチャットをつくり「メール友達」等を作りたいというニーズを満たす。利便性とニーズを上手く取り入れることでYahoo!はますます発展していくことでしょう。