【1月21日(木)】


「ハルキ文庫はハヤカワ文庫JAである」説でアニメージュの書評原稿を書き(ほとんど昔話)、SF OnlineのMLを眺め、電話の応対をしているうちに一日が終わりかけたと思ったら、Gamewalkerから深夜のバイク便。
 中身は「ファイナル・ファンタジーVIII」のサンプルと青ステ。眠い目をこすりつつ、とりあえず冒頭だけ見る。CGIのムービー部分、とくに人物の顔は飛躍的に進歩してますね。しかしOPのクレジットは長すぎ。いっそ学園モノにしちゃえばよかったのに。
 FFはもともとゼルダ的に(あるいはドラクエ的に)ハマるタイプのゲームじゃないので、頭のダンジョンひとつ終わらせて寝る。



【1月22日(金)】


 テレビ見ながら、だらだらFF。最初から召喚魔法が使えるのはどうか。あいかわらずアニメーションが長い。新システムのドローは悪くないが、ジャンクションはめんどくさい。キャラがかわるたびにG.F.のリセットとか。プロット的にも、大人向けなところと子供向けなところとFFなところが混じり合ってるのが気持ち悪かったり。感情移入できないキャラを主役に持ってくるのは確信犯なのか。女性キャラはかわいいんですけど。



【1月23日(土)】


 SF Onlineの映画レビューを書くため、新宿コマ東宝へ。「死国」「リング2」の2本立て。そう言えば一年前もおなじ劇場で「リング」「らせん」2本立てを見たんでした。去年も混んでたけど、今回は初日なので超満員。一本目の「死国」は通路のあいだの地べたにすわって見る。観劇記はSF Onlineの映画評参照。いつ更新されるか知りませんが。どう考えても25日は無理だな。

「死国」は全編土佐弁出まくりの映画なんですが、イントネーションはやはり壊滅的。大杉漣の冒頭の一言、「こんにちは」だけはほぼ完璧だったけど、あとはねえ。最初のうちは土佐弁が気になって映画に入れないので参ったす。
 今回は、WOWOWの仙頭プロデューサーが共同脚本で参加。原作にも(当然、映画にも)「仙頭」って名前の修験者が出てくるんですが、高知には多い姓。ただし仙ちゃんは、お父さんが高知出身というだけなので、土佐弁ネイティブじゃないはず。作中の仙頭は佐藤允なんだけど、ほかの役者とノリが違いすぎるでしょう。それにしても、原作のラストは全然違ったのでは。
 だれかから、「『死国』見たけど、高知ってああいう土地なの?」と言われたんですが、お答えします。「違います」。お遍路さんだってもっと日常的なもんだと思うけどなあ。竹林寺とか遠足でよく行きました。

「リング2」は、やっぱり客席の反応が面白い。ほとんど遊園地ノリ。まわりではあんまり評判よくないみたいですが、オレは前作より面白かったな。最初からゴーストストーリーだと思ってると、論理矛盾も気にならないし。

「ガメラ3」の予告編をもう一回見てから、歌舞伎町のルノワールでざっと原稿を書き、終電帰宅。



【1月24日(日)】


『死国』の原作を再読。すっかり忘れていたことをいろいろと思い出す。なるほど、ここをこう変えたからこうなったわけね。ふうん。しかしマガジンハウス版のオビは「伝奇ロマン」とか書いてあって、そうかまだこのころは「ホラー」って売れないレッテルだったんだなあ。一本ベストセラーが出れば状況はがらっと変わるということです。

 例のMLはさらに激しくもめている。オレより怒ってる人がいると心がなごむなあ。
 ってそれはいいんだけど、MAG TIMEで原稿書いてる最中に電話してきて1時間も2時間も文句を言うのはやめてほしい。電話してるヒマがあったらMLに書け。
 しかし参加者が実質十数人なのに、2週間弱でログが1メガ近くもあるのだった(笑) まあヘッダ分を削ればその半分だろうけど。



【1月25日(月)】


 インターネット・アスキーの映画評用に試写まわり。1時、六本木のギャガで「ウェディング・シンガー」。ドリュー・バリモアがヒロイン。ダメ男のための少女マンガ。サントラ的にはめちゃめちゃお得ですね。結婚パーティでもあれば、3次会は「ウェディング・シンガー」縛りのカラオケでひと晩楽しめるのでは。でもエンディングに流れる主題歌が「ラジオ・スターの悲劇」なのはちょっと違うでしょう。世代的には、いま30歳前後の人にツボかな。「ブギーナイツ」から続けて見ると吉。いや、映画の傾向は正反対なんですが。

 つづいて恵比寿から五反田にまわってイマジカ。時間があまったので一階のティールームで仕事してたらHosoda氏登場。最近よく会う気が。列に並ばされているあいだ、最近の映画について意見交換。

 4時スタートの試写はブエナ・ビスタの「エネミー・オブ・ステーツ」。最近のハリウッド巻き込まれ型謀略サスペンスの典型みたいな話。
「政府機関の一部に悪いやつがいて、ひょんなことからそいつの秘密を握った主人公が追われる立場になるが、都合よく協力者が現れ、すったもんだのあげく悪を倒してめでたしめでたし」ってやつ。「マーキュリー・ライジング」とかね。
 しかし、その手のゴミ映画群の中では、これはかなり出来がいい部類。ウィル・スミスはともかく、ジーン・ハックマンはいい味出してますね。破防法改正みたいな話が軸なんですが、これを通信品位法でやってくれたらネットの人にはウケただろうに。

 終了後、良平さんとルノワールでお茶。今日も辛辣。もう少し楽しく暮らしてはどうか。



【1月26日(火)】


 F.F.N.の原稿をちゃちゃっとまとめてアニメージュにメールで送ってから、推理作家協会の新年会@ホテル・エドモント。
 山藍紫姫子さんに紹介されて挨拶すると、
「アボさんにはお世話になってます」と返されて一瞬茫然。そうか、うちの弟のテリトリーなんだよな。
 荻野目悠樹氏に、「金蓮花さんも来てますよ」と教えてもらい、遠くからご尊顔を拝する。なるほど、こういう人でしたか。
 荻野目夫人とも初対面。じつは縁が深いことが判明する。

 ハルキ文庫編集部のK岡氏、M松氏とも初対面。日本SF名作再刊タイトルの初版部数を聞いてびっくり。ううむ、新刊より売れてるかも。みんな今の日本SFより昔の日本SFのほうが好きなのか。

 8時にパーティが終わってから、一階のティールームで、あとから来た三村美衣と合流。奥さんに置いていかれてしまったらしい荻野目悠樹(新婚)、日下三蔵、集英社女性編集者トリオ、C塚・K島・K原とお茶。ここで交わされた会話の内容については書かないでくれと荻野目悠樹が泣いて頼むのでひとつ貸しをつくっておくことにしよう。三村美衣にも「ぜったい書くな」と脅されたことがあったような気がするが、どのみちそれはたいしたことじゃないよな。
 年末の賭けに負けた日下三蔵から、約束の金額をとりたてる(冬コミの帰り、「日下三蔵がこれからカラオケに行くかどうか」で日下三蔵本人と賭けをして、オレが勝ったのである。日下三蔵のことは日下三蔵よりオレのほうがくわしいのである。全然自慢にならないが、賭け金をわたす日下三蔵がすごく悔しそうだったのでよしとしよう)。
 9時半ごろ、「新年会に出たつもり」で靴を新調した河内実加さん登場。なんだか怒り爆発らしい。しばし我孫子ネタで盛り上がる。いまなら「我孫子武丸と不愉快な仲間たち」を描いてくれるかも(笑)。いやあ、怒ってる人が多いと面白いなあ。いや、笑ってられないぐらい怒ってるえらい人もいますが。

 さて、どうしてここに集まってお茶を飲んでるのかというと、別件の打ち合わせで食事をしている我孫子武丸・田中啓文・牧野修の三人と落ち合うため。我孫子さんは「9時ごろ電話します」と言ったのに全然連絡なし。PHSにかけても通じない。
 10時半になってようやく電話があり、いま青山なのでこれから向かうとのこと。
「我孫子さんぜったい謝らないよね」とかゆってたんだけど、その通り。

 ようやく三人組が登場したところで、飯田橋カーニバルに移動。じつは小浜徹也がさっきまでカーニバルで東京創元社勢と歌っていたことがのちに判明する。さらにさいとうよしこは着メロ本の打ち上げで、カーニバル2で歌っているのだった。世間はせまい。

 日下三蔵はいつのまにか消えている。腕時計で時刻を確認していた日下三蔵(横須賀在住)に、「どうせ朝まで歌うんだろ」と言ったら、
「今日は帰りますよ」
「帰るわけないじゃん」
「わかりました。じゃあ賭けましょうか」
 と言われたのだが、本能的に危険を感じて受けず。じつは、「どうしても録画しなければならない深夜番組」があったらしい。ふっ、オレをだますのは十年はやいね。

 インフルエンザで朦朧状態のC嬢をのぞく集英社コンビは、ひたすら歌うために待っていたらしく、のっけから全開。K島さんがこんな人だったとは知りませんでした。新曲中心にがんがん攻めるふたり。
 しょうがないのでおつきあいする大森。
「いやあ、ほんまはこんな新しい歌はねえ、歌いたないんですけど。やっぱりこの業界、つきあいがだいじやからねえ」
「そらたいへんですなあ」
「いっしょうけんめいCD借りて、有線まで入って」
「なにかと物入りですなあ」
 などなど。
 しかし牧野さんが「蜘蛛の糸」を歌うとしゃれにならない気が(笑)。

 午前2時、カーニバル2からはしごしてきたさいとうよしこが合流。関西トリオのホテルの門限は午前2時なのだが、すでにその時間はまわっている。牧野修・田中啓文はホテルに帰りたかったらしいが、世界は我孫子武丸が支配しているのだった。
「あれは計画的な犯行でしょうな」
「いや、『いざとなったら朝まで』と我孫子さんが言うたときに、予感はしてました」
「まあしゃあないですな」
「しゃあないですな」
「しかしよう歌いますなあ、我孫子さんは」
「声が違いますな」
「張りがあって」
「やっぱり最初から朝まで歌うつもりで」
「計画的ですな」
「こうなるんを待ってたんですな」
「いや、わたし最初からいやな予感が……」
 って文句があるなら大きい声で言えよっ。
「いやいやとんでもない、文句なんてそんな」
「罰があたりますな。こんなにお世話になってるのに」
「そらもう罰があたります」
「わたしら、東京は右も左もわからんしねえ」
「ここはどこなんでしょうな」
「どこですかねえ」
「どこともわからんところで夜を明かすわけですなあ」
「ほんまに歌が好きなんですなあ」
「最初からこうなることを計画して……」

 と字で読んでいる分にはいいが、一時間ぐらい聞いていると気が狂いそうになります。

 会社員の人々は明日も仕事があるので午前4時解散。朝を待つ人々はデニーズへ。なんだかんだで午前6時までうだうだする。詳細はふえたこ日記参照。あれだけなんも知らんでもちゃんと日記が更新されるんだから立派なものである。
 ちなみに牧野さんのメインマシンはCentris660だそうで、田中啓文はPPCのパフォーマらしい。マシンを交換してあげたほうが資源の有効利用になると思います。


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