【1月28日(水)〜29日(木)】

 アスキーのコラム原稿をかたづけ、バカSF映画座談会の原稿をいいかげんにまとめて、レイモンのつづき。

 しかし景山さんの訃報には驚きました。新潮文庫時代に担当で、エッセイ集の『極楽TV』と、吉川英治文学新人賞受賞の『虎口からの脱出』をつくらせていただきました。後者は国産冒険小説オールタイムベスト級の傑作。野坂昭如の解説をもらうため、まるまる一週間張りついて、最後はたしか、キャピトル東急のロビーで夜を明かし、一時間おきに罐詰中の部屋まで上がっていっては一枚ずつ生原稿もらってたら、真夜中、野々村文宏氏にばったり会ったとか、そんなこともあったよなあ。
「いやあ、もう解説は間に合わないとあきらめてたけど、よく原稿とったねえ」と景山さんに誉められたのはもう十年ぐらい前なのか。幸福の科学の会員になったのはおれが会社を辞める直前で、後任の担当者といっしょにアンクルプロダクションまで引継ぎに行ったら、別次元の話を奥さんとふたりでえんえん聞かせてくれましたね。
「そうか、SFファンだったら『太陽の法』読まなきゃだめでしょう」とか言って、はいはいと聞いてたら、しばらくして大川隆法の著書が十何冊どさっと自宅に送られてきて驚いたり。でも、信者といっても、ふつうにしゃべってるかぎりファナティックなとこは全然なくて、細かいとこに突っ込むと理路整然たる答えが返ってきて感心したもんでした。
 やっぱりすごく頭のいい人だったんでしょうね。『トラブルバスターズ』とかのTV業界物もいいけど、『虎口からの脱出』はぜひ読んでいただきたいと思うわけである。ご冥福をお祈りします。

 それにしても最近来るファックスは葬儀の連絡ばかりだなあ。多摩さんに近藤さんに景山さん。みんな若いのにね。


【1月30日(金)】

 秋葉に寄ってPC DOCKからThinkPad 535を引き取り(なぜかちゃんと動いている)、笹塚の本の雑誌編集部で「貧乏王」対決座談会。伝言板でもみなさまにご協力いただきましたが、最終的に大森がエントリしたのは、ハインライン『ヨブ』、ディック『ゴールデンマン』序文、トムスン『ヴァーチャル・ガール』、小林泰三「酔歩する男」の四タイトル。
 結果は誌面を見てのお楽しみってことですが、いやあ、意外な結果になりました。
 失敗だったのは「酔歩する男」。しゃべってもしゃべっても設定の説明が終わらない(笑)。おまけに、前日に読み直してみたら、あんまり貧乏になってなかったし。

 座談会終了後は例によって新宿にくりだし太田チェーンへ。金曜日とあってどこも満席、けっきょく梟門のカウンター席にすわって二時間ほどしゃべり、さらにいつものように新宿三丁目の雀荘しゅんで麻雀。朝までつきあってるとどんな目に遭うかわからないので、午前零時前にやってきた大田トクヤ氏と入れ替わりに退散する。
 帰ろうかと思ったけど、タクシー代で映画が見られるなあと考えて、PHSで添野邸に電話。ぴあを見てもらって、「ピースメイカー」と「ブレーキダウン」なら金曜オールナイトありの情報を入手、そのまま歌舞伎町へ。計ったように0時20分から「ピースメイカー」の上映がありますね。新宿アカデミーえらい。ここの三館以外、全然オールナイトやってないんだもんなあ。
 添野くんご推薦の「ピースメイカー」は、ドリームワークス第一回作品。冒頭はあんまりよくないけど、前半の展開はけっこうよくできてます。ただしニューヨークに行ってからがダメでしょう。だいたいニコール・キッドマン本人が行かないと事態がなんも進展しないってのはあんまりだよね。犯人が飛行機乗ってるあいだに手配すんでると思うけどな、ふつうは。まあ、最近のこの手の映画の中では、まだイディオットプロットじゃないほうですが。
 つづいてはラウレンティス・プロの「ブレーキダウン」。この邦題じゃ、まるでブレーキが故障したみたいですが、じっさいには電気系統のbreak down。コンピュータ制御の車はこわいよね――ってそういう話じゃないけどさ。
 プロット自体は「激突!」をちょっと複雑にしたタイプですが、脚本はかなり優秀。ラストシーンに芸がないのと、後半、警察に助けを求めないのが若干不自然(いちおう説明はある)なのをのぞけば、年間ベスト20クラスかも。このレベル、この予算の映画がたくさんあればいいんだけどなあ。

 6時ごろ帰宅して、VAIOに貯めた一週間分のデータを退院した535に移し、PDにフルバックアップをとってから、VAIOの環境をもとにもどす。なんだかんだで二時間ぐらいかかって、9時ごろ寝る。


【1月31日(土)】

 景山さんのお葬式に行くつもりだったのに結局起きられず。どうも葬儀って気が重くて、よっぽど気合い入れないと行けないなんだよな。多摩さんのときも星さんのときも結局行けなかったし。
 あとで新聞見たら、やっぱり「幸福の科学」色が強かったみたいで、行かなくてよかったかも。


【2月1日(日)】

 TP535の調子はまずまずみたいなので、今度壊れるまでは(笑)これで持ちこたえることにして、NIFTermとかEudoraとかの一週間分のデータを535に統合。けっこうめんどくさいね。NIFTermはなんかメールのテキスト取り込みができないし。
『サイキック・ウォリアー』のゲラを横目で見つつ、レイモンのつづき。


【2月2日(月)】

 すっかり忘れていたが、ちせ嬢からのお祝いメールで誕生日だということを思い出す。とうとう25歳か、ってだれも信じないよな。
 誕生日なので、ロイヤルホストでいちごのクレープを食べる。あとはずっと仕事。


【2月3日(火)】

 SF Onlineの原稿を書かないといけないので、角川のH内さんにもらった招待券を持って、新宿コマ東宝で「リング」「らせん」。場内は若い客でほぼ満員。高校生、大学生のカップルがやたら多かった感じでした。「リング」終了後は、幕が下りてもすぐ席を立つ人が少なく、なんか異様な雰囲気。すごくこわい映画らしい。オレは映画見てこわいと思うとことがめったにないのでよくわかんないけどさ。なんか原作からの変更箇所ばっかり気になってだめ。どっちにしても、映画は2本とも大きくホラーのほうに振れてるので、SFファンは容認しがたいのでわ。

 終わったあと、同行の小浜夫妻と喜多方ラーメンで食事して帰宅。あと仕事。


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