【9月17日(木)】


 さいとうのバイオはFUSIONインストールの途中に1ギガHDが初期化されてしまったらしい(笑)。FUSIONのマニュアルには、
「ここで、『ディスクを初期化しますか?』のダイアローグが出ますので、はいをクリックしてしばらく待ちます」みたいなことが書いてあって、こりゃ大胆だなあと爆笑したんだけど、ほんとに初期化されちゃったんだって。FUSION導入前にはバックアップを忘れずに。しかしパソコン誌のベテラン編集者が出張インストールサービスに来てそれですか。やはり高橋誠(仮名)にビールを2本飲ませたのがまちがいだったにちがいない。よっぱらいインストール厳禁。
 まあしかし、バイオはめでたくMac(68k)化された模様。イタチョコシステムのゲームをバイオ上で走らせて喜ぶさいとうよしこ。
 日経マックの特集記事(VAIOマック化計画)によると、最新VAIOノートで68040/25ぐらいのパフォーマンスらしい。DOSから再起動が必要なのと(DOS窓でも動かせなくはないらしい)、イーサカードがサポート外なのをべつにすれば、けっこう使えるかも>FUSION。ただしDOSを知らないとインストールは不可能でしょう。なんか、FUSIONプリインストールのThinkPadを発売する計画とかもあるらしい。

 噂のダ・カーポ10/7号、『本誌特選!! 絶対面白いミステリー100』を読む。今年の上半期ベストなんですが、内外合わせて100本選んだところがミソ。海外は西尾忠久、長谷部史親、国内は茶木則雄、関口苑生がコメント。さらに匿名座談会つき(笑) 文芸誌編集長と書店員と読者代表と本誌編集者だって。
 しかしすごいのは記事をまとめたライターですね。一頁の中に「ミステリー」という単語が18回登場する。「国内は、ベテランあり新人ありで、ミステリーはブームといっていいだろう」と国内状況を概観し、
「これまでのトリック崩し、ナゾ解きというオーソドックスなスタイルではなく、現実の社会事象に密着した作品や、近未来をテーマにした読みごたえのあるミステリーが登場して読者としては、ますます楽しみな状況だ」だって。
 この号のもう一個の特集は「文章上達講座'98」なのだが、この講座を履修すべきだったのでは。
 それにしても、「ホラー・ミステリー」、「ノンフィクション仕立てのミステリー」、「アドベンチャーミステリー」「クライシス・ミステリー」「サイエンス・ミステリー」などの用法を見ていると、「ミステリー」という単語は、「小説」もしくは「フィクション」と翻訳するのが正解かも。
「従来のミステリーの枠」を越えた作品がどんどんミステリーから出てきてるんじゃなくて、従来ならミステリーと呼んでなかったものをどんどんミステリーと呼ぶようにしてるだけでしょ。
 コメントで驚いたのは関口苑生。国内の注目新人に古川日出男と小林泰三を挙げてるのはいいとして、その小林泰三の『密室・殺人』には罵倒の嵐。
「私個人は本作品を買っていません。ストーリーがお粗末な上に、作者だけが気が利いていると思いこんでいる会話部分もはずしている。ひとつの作品として見た場合、いいところがまったくないんですね」だそうです。ふうん。
 茶木則雄は北川歩実の『金のゆりかご』を推薦しているのだが、
「彼にとっては確か4作目」といきなりまちがっている。『僕を殺した女』『硝子のドレス』『模造人格』『猿の証言』と来て、『ゆりかご』は5冊目でしょ。
「いいたい放題、このミステリーが面白い!」という副題がついた座談会もとばしてますが、その最後、どんなミステリーが読みたいかって質問に答えて、「私は絶対に本格推理モノ。キャラクターで読ませるとかじゃなくて、単純に推理をゲームとして楽しめるような。だまされる快感を味わってみたい」と答えたC氏(本誌書評担当編集者)いわく、
「本格推理小説は今の日本にはないんだから。ミステリーのなかでも、もっとも遅れている分野なんですよ。だから、日本にも翻訳ものにひけをとらない作品が出てきてほしいという期待でもあるんです」
 まあ、「今の日本に真の本格はない」という議論も成立しなくはないだろうが、そのためにはまず「本格推理小説」を定義してもらわないと。


【9月18日(金)】

 K池さん@早川書房の電話で目が覚めたので、正午に家を出て新装オープンの八重洲ブックセンターへ。本格系サイン会ウィークのラストは京極夏彦。200人限定、午前10時から整理券配布……だったけど、前日からの徹夜組3人を含め、開店前からどんどん人が並び、9時ごろには満員札止めだった模様。
 列を見わたしてもKGな人の姿はない……と思ったら、知り合いのSF系人妻を発見。始発で来て並んだそうです。今週三度サインの列に並んで三度ともちゃんとサインを獲得したタニグチリウイチと立ち話。中二階の喫茶店で椎塚嬢と貘井嬢がカレー食ってたので、合流してお茶。中公のM松嬢、角川のK池氏とかと、新装のフロアを見下ろしつつ雑談。人垣に囲まれてナツヒコの姿は見えない。が、サイン速度は今週のサイン会ではいちばんはやく、どんどん列が消化されてゆく。始発から半日並んでサインは十秒。ま、イベントですからね。名古屋から来て整理券もらえずにオフだけ出て帰った人もいたみたいだし。

 予定の一時間で199人分のサインがきれいに消化され、終了後はYBS7階の会議室でコーヒーとケーキ。編集者が10人ぐらいとYBSのえらいひと。さすがに時間がはやかったせいか、編集者以外は全然いませんでした。
 一服したあと、他社編集者はそれぞれ会社にもどり、気がつくと、講談社のU山部長、担当の唐木氏、京極さんの3人と残されてしまい、国際フォーラムの和食レストランでお昼ごはん。妖怪シリーズの今後について直撃取材する……が、はぐらかされる(笑)。
 あと、メフィストでスタートする榎木津シリーズのイラストレーター選定の話題とか。唐木さんが挙げる候補はなかなか大胆でしたね。やっぱりフィギュア・リリースをにらんだ人選がいいと思うんだけど。
 張子細工の姑獲鳥に惚れてしまったので、あれのフィギュア化でも可。すでに原型はあるわけだし、あれならけっこう売れると思いませんか。

 4時ごろ解散。日比谷まで歩いて喫茶店の日比谷で『時空ドーナツ』の訳者あとがきを書く。菊池誠の名解説(糸居吾郎の声で読むこと)がつくので、書くことがあまりない。
 うなってるうちにバッテリーが切れたので帰ろうかと思ったが、「L.A.コンフィデンシャル」の最終回にちょうどの時間だったのでみゆき座へ。ふつうの映画でした。しかしキム・ベイシンガーにさしあげるべきは特殊メイク賞なのでは。顔がこわい。


【9月19日(土)】

 6時ユタ。カプリコン1用につくった赤Pandemoniumデッキで柳下と対戦。なんか弱い気がする。勝ったけど。

 野沢尚の『リミット』を読む。ネタは面白いんだけど、『破線のマリス』ほどの仕掛けはないし、小説的には薄味すぎ。一回、一人称で書いてみるといいのでは。


【9月20日(日)】

 茶木さんが「グリシャムを越えた!」とか「今年のベスト!」とか叫んでいた中島博行『司法戦争』を読む。たしかに『ペリカン文書』系だけど……グリシャムには全然追いついてないでしょ。
 ふたつあるネタの片方が電子暗号システムで、それが電子マネーの鍵を握ってるっていうんだけど……いくらなんでも無理がありすぎでは。もう一個のネタにしても、ふつうもっとはやくだれか気づくと思うんだが。
 どっちかっていうとライバルは服部真澄の『鷲の驕り』で(サブマリン特許ギャグあり)、ただしあれにくらべると劇画っぽさが中途半端。オレ的にはもっと地味な最高裁小役人モノにしてほしかった気が。

 夜中はWOWOWでセリエA。ペルージャ×サンプドリアは凡戦でしたね。やっぱり先週の試合を生で見るべきだったか。そりゃあんなことめったにないわなあ。
 むしろ、そのあとに放送したユベントス×カリアリ戦のほうが面白かった。しかしペルージャはほんとにこのユベントスから3点もとったのか。信じられん。


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