【5月15日(金)】

「竹内祐一くんと吉田伸子さんの旅立ちを祝う会」@ホテル・エドモント。
 竹内くんは4月で早川書房を退社、これからは専業作家・恩田陸として筆一本で……ってそうじゃなくてですね、まだ先行きはまったく決まっていないらしい。元『本の雑誌』のY田N子嬢のほうは、結婚・出産退社で現在は育児中。このふたりの「励ます会」をなぜ合同でやるかというと、出席者の八割が重なるから……という理由による(らしい)。

 定刻一時間前に飯田橋のエドモントについて、仕事でもするかと思ったらSFオンラインな人たちが打ち合わせをしていたのでそのままそこにすわってしまう。
 堺三保はリムネットのメールアドレスが盗用されてたいへんらしい。パスワード変更されちゃってアクセスできなくなり、あわててサポートに電話したら、不正アクセスなログが見つかったとか。盗んだアカウントでシェルに入っていろいろしてたとか。
 うちもメールアドレスはおなじst.rim.or.jpなので他人事じゃなかったり。リムネットニュースでも、
「4月20日頃から5月にかけて、リムネットの多数のアカウントにて、アルファベット順
に無差別で、全国共通アクセスポイント経由で繰り返し接続を試みている記録が確認
されております。接続記録(logtime)をご確認のうえ、パスワードを推測されにくい
ものに設定してくださいますよう、お願いいたします。」と注意を呼びかけてるんだけど、最近、大手プロバイダは軒並み被害に遭ってる模様。安全策を考えると、プロバイダは固定料金を選び、メールはNIFTY-Serveに集中とかにしたほうがいいのか。
 堺三保のパスワードも、完全ランダム文字列じゃないとはいえ、常識的にはまず盗まれそうにないパスワードなので、しらみつぶし検索速度が向上したってことでしょうか。

 パーティ一次会は150人超。本の雑誌系は、おおむねいつものメンツなんだけど、早川系では、老舗翻訳雑誌元編集長のパーティらしく、深町眞理子、小尾芙佐、浅倉久志、伊藤典夫とSF翻訳業界のお歴々が揃って壮観。
 深町さんに紹介したら、恩田さんがやたら緊張してるのがおかしい。小尾さんをはじめて見た人も多かった模様。
 挨拶は、北上次郎、藤田宣永、真保裕一、馳星周、宮部みゆき……とかそんな感じ。竹内・吉田と金屏風の前に並ぶとなかなかお似合いな雰囲気だけど(竹内にはああいう姉さん女房世話焼きタイプが向いてると思うね)、結婚披露宴でないのが惜しまれることである。
 その一方、岩田清美氏の報告によると、大森はひそかに青山南氏とまちがえられたりしていたらしい。全然ちがうだろう、それは。あ、でもそういえば青山さんに会ったのもすごくひさしぶりでした。
 そうそう、日暮雅通氏も来てたんだけど、ニール・スティーヴンスンのSnow Crashが出ないのは日暮さんのせいじゃなくてアスキーの社内的な問題なので、翻訳者を責めないように。アスキーもとっととおちついてほしいものである。ま、オレ的にはあんまり影響ないんだけどさ。

 二次会は例によって池林房貸し切り。前回の竹内宴会(4月28日既報)の14歳少女レポートは、ミステリ業界で幅広く読まれている事実が判明。「42歳なのにどうして独身なんですか?」発言とかすっかり有名になっているらしいが、西上心太氏いわく、「そういう生意気な娘はオレがぶっとばしてやればよかった」。だからそれは本人がいるときにゆってね。
 前回、カラオケボックスで昏倒し、殴っても起きずにたいへんな事態を出来せしめた蒲生(杉江)くん@逆密室はやや反省しているようだがやってることは今日もおなじ。体が大きい人は酔っ払わないように。
 しかし今夜の主役は途中からやってきたF施@早川書房だね。業界でいちばん攻撃誘発性の高い男、福井健太とのFF対決は、ひそかにハイライトだったらしい。いや、あの夏木健次に向かって真顔で説教するぐらいまじめなF施くんが福井健太の(その場にいない人に対する)悪口雑言を笑って聞き流せるはずがないのは火を見るより明らかなのでわたしはべつに驚かないのだが、たまたまそばにいたさいとうよしこはなにしろ初めてのことなので狼狽して、離れた席にいたオレをわざわざ呼びにきたくらいですからね。かなり火花が散っていた模様。
 福井健太といえば、「島田荘司事件」後日談としてさらに面白い状況がふりかかってきたらしいのだが、まあこれは本人が自分で発表するでしょう。というか、おのずと明らかになるはず。
 しかし福井健太も、ふだんしゃべってる悪口の十分の一でも自分のホームページに書けば、たちまちアクセス殺到するのになあ。やはり匿名座談会要員かも。

 F施くんの活躍はこのあともつづいたのだが、H田S子さんの名誉のためにとくに詳細は伏せ。

 あとは池上冬樹に「『13』のどこがマジックリアリズムなんですか?」と因縁をつけたんだけど、「あ、そう。あれマジックリアリズムじゃないの。そうか」とあっさりかわされる(笑)。『グランド・ミステリー』がお気に入りだそうで、「エリクソンはわかったんだけど、『エリアンダー・Mの犯罪』がわからなくてさあ」と言われたので、補足説明。
 『エリアンダー・Mの犯罪』の著者はジュリー・ユルスマン。87年1月に文春文庫から出たタイムトラベル物。『蒲生邸事件』タイプ、かな。ヒトラーを殺す話をミステリっぽく書いたSF。いや、わかりにくいとは思ったけど、わかりやすく書くと怒る人がいそうだったから。今月の本の雑誌では「SF」部分が伏せ字になってるし。
 そういえば茶木さんはHMM隔離戦線で「複雑系」とか書いてたけど、(プロットが)「複雑」って意味で「複雑系」を使うのはやめたほうがいいのでわ。いや、おれも複雑系ってよくわかんないけどさ。
 というわけで、NetScience Interview Mailの金子邦彦インタビューで勉強すると吉。って、これ読むとますますよくわかんなくなったりして。

 馳星周がいたので、金子達仁『決戦前夜』は「サッカーファンにはたまらない本」かどうかをアンケート調査……しようと思ったら、「いやあ、オレ、金子さんに今度、あの焼鳥屋に連れてってもらうことになっててさ」だって。すっかり籠絡されとる(笑)
 いやしかし、あのめちゃめちゃうまそうな焼鳥屋(一見さんお断り。『決戦前夜』参照)に行けるなら、金子派に鞍替えしてもいいかも(笑)。なんか馳星周は、能活からのご指名で川口とメシ食ったんだそうで、楢崎お見限りのご様子。
「作家とメシ食ったら、本の悪口書きにくくなるのといっしょだよね」とかそういう話。その意味では金子達仁の書くものはきわめて首尾一貫してるし、自分の欲望に忠実なので、べつに嫌いじゃないんですけど。ちなみに反ドーハ組の馳星周的には、サッカー協会と加茂周を批判してくれればそれだけで許せるらしい。
 それにしてもナンバーのあの原稿はつくりすぎだと思うが>馳星周。


【5月16日(土)】

 5時に起きて、6時にユタ@馬場。はやしくん@不純粋科学研究所は30分も前から来てひとりで待っていたらしい。しかし、「6時までについているように」なんて言った覚えはないのだが。最近は6時過ぎないとだれも来ないので。複数集まるのは7時ぐらいか。
 しかし会社の名刺を出すだけでウケがとれるワザはポイントが高いかも。ずいぶんおとなしくしてると思ったら、これは小浜徹也の教えだったらしい(笑)。そういえば深上くんもわりとおとなしいな。
 いずれにしても、平均年齢が35歳前後とかそういう集まりは邪悪なので、20代な常連のひとに増えてほしいものである。例会レポート書いてくれる人(だれが来てたかとか)がいるとべんりだし。

 11時半に帰宅し、電話でProject F.F.N.の収録。今回はいきなり応募が7倍増でたいへん。しかも京極さんは、もう一袋あるのに気づいてないし(笑)。
 電話対談は「辺境の電脳たち」で毎月やってたので楽勝なんだけど、アニメージュはオレのページじゃないので、やっぱり録音が必要だろう――と思ったら、これがたいへん。なにしろうちにはいわゆる電話機がない。ホームアンテナ経由のPHS端末子機が5個とかそういう状態。おまけにカセットデッキもない。しょうがないのでパソコンのスピーカホン機能を使い、ヘッドホン端子からMDデッキにつなぐMD録音。外部マイクもないから、深夜ひとりでパソコンの内蔵マイクに向かって声を張り上げるまぬけな状態。
 しかも録音レベルがやたら低くて、自分の声が全然聞こえないし。しょうがないので1時間かけて収録のあと、そのままロイヤルホスト行ってテープ起こし(じゃなくてMD起こし、だけど)。
『宴の始末』は執筆快調な模様。綾辻さんに無理やり出演させちゃった前回F.F.N.はいろいろと問題があって反省しきりなんですが、KGな人は番長原稿にまで正しく反応してくれててよかったよかった。というわけでいつもありがとうございます>玉兎さん、佐藤誠さん
 でも今回はわりとまじめなので、ギャグは控えめ。


【5月17日(日)】

 ファンタジーノベル大賞の原稿を読み、なにかと話題の藤木稟『ハーメルンに哭く笛』を読む。第一作よりは格段に読みやすくなってますね。しかしこの人は、「島田荘司の正しい継承者」として評価されるべきだったのでわ。ぜんぜん京極系じゃないと思うけど。
 蒲生くんは「コリア」に怒ってたけど、これはしょうがないですね。頭の中で一括変換かけて読むしか。
 しかしこの設定なら、やっぱり子供の身元とか、誘拐されたときの状況についての捜査が描かれてないとどうもしっくり来ない。『陀吉尼の紡ぐ糸』より作品的にははるかにいいんですが、このタイプのミステリは趣味じゃないからなあ。島田理論信奉者(幻想的な謎と論理的な解決)の本格ミステーリファン向き。

 2時に起きて、キリンカップのつまんない試合を半分寝ながら見る。中継は最低に近い。セットプレーからの得点シーンをなぜ撮れないかな。頭に来たのでまた寝る。


【5月18日(月)】

 タニグチリウイチ氏推薦の大石圭『死者の体温』がなかなかいい。わりと笠井理論的。「大量死=大量生の社会的病理」を描く小説とか。「無名の個人」を「かけがえのない個人」に変えてからでないと殺害しない連続殺人鬼っていうのは、目のつけどころがシャープでしょ。ただし酒鬼薔薇やオウムをひきずっちゃうように見えがちな描写がやや弱点。ポール・オースターっぽく仕上げる手もあったと思うが、インパクト的にはこっちで正解か。ほかのも読んでみよう。

 寝床でファンタジーノベル大賞の原稿読んでたら、TBSから電話。カラオケ番長に取材依頼(笑) 番組は、東幹久と原千晶のやってる夜中のやつ。「稲中」とか「マサルさん」とかやってたあの枠で、通信カラオケ扱うらしい。すでにカラオケ業界の権威か>さいとうよしこ。まあたしかにテレビで「カラオケ評論家」って肩書き見たことないので、殺人評論家よりレアかも。あとは収入だな。

 ltokyoのトップページ(http://www.ltokyo.com/ohmori/)は、96年2月21日のカウンタ開設以来、本日で30万ヒットを記録。20万が去年の11月だから、半年で10万ヒット。diary.htmlをindex.htmlに統合してからは、一日1000ヒット近く出てるので、年内50万もありかも。しかし、一アカウントからのアクセスを一日一回にかぎってカウントしてるreadmeによると、だいたい一日400アクセスぐらい。ということは、一日に2回も3回もトップページをリロードしてる人がいるわけですね。まあブラウザの設定でキャッシュ使わないユーザーがたくさんいるってことですか。
 このページは平均すると週一回ぐらいの更新なので、常連読者は1000人ぐらい? ひさしぶりに日記ファイルに隠しカウンタつけるとかしてみるかな。


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