【5月1日(金)】

 セミナー週間に突入し、恒例の水鏡子迎撃宴会@西葛西。
 ミストラルに柳下毅一郎、三村美衣がやってきて、夕食までデュエル。もっとも構築デッキがあるのは柳下と水鏡子だけ。あいかわらず遅くて遅くてしょうがない柳下デッキは、水鏡子相手に連戦連敗。水鏡子は過去一年間、東京に来て戦ったM:TGの総獲得デュエル数を上回る勝ちを柳下から奪い、ほくほく顔。なにしろオレとはたぶん30デュエルくらい戦ってるのに、2デュエルくらいしか勝ったことがなかった人なのである。
 とりあえず、柳下くんのデッキに致命的な欠陥があることははっきりしたね。構築デッキのないオレと三村美衣は、テンペスト&ストロングホールドのシールド戦。2-0で勝ったところで白石朗と小浜徹也がやってきたので、西葛西駅前郵便局の向かいに開店した点心料理屋の《けせらんぱさらん》に流れる。

 さいとうよしこにつづいて本阿弥さやか嬢が登場したところで、下々の人々の話題の中心は本阿弥スキャナーと近況欄。自分の訳書に投票する恥知らずとして想定されていたのは、酒井昭伸と大森望だったらしい(笑)。本阿弥お嬢さまに置かれましては、最近のSFマガジンベストその他で、古沢嘉通や内田昌之や白石朗が自分の訳書に投票している事実をご存じなかったという。俗世間の出来事から遠ざかっているあたりがお嬢様たるゆえんなのか。
 やっぱり水鏡子師匠には、『SFの道は一日にしてならずなのぢゃ』というエッセイを書いていただきたいものである。

 ファンシー・ミホこと堺三保がSFオンラインの打ち合わせからこっちへ合流したところで場所を移し、本阿弥嬢のリクエストに応えてビッグ・エコー。Malice Mizerを歌いまくる本阿弥嬢の姿が印象的でした。
 歌う人々のかたわらでは、シールド戦のつづき。大森デッキは、三村美衣につづいて柳下、水鏡子を撃破して完全優勝。柳下が2勝1敗で2位。


【5月2日(土)】

 ビッグ・エコーを出たのが午前4時。白石朗が帰り、ロイヤルホストで食事してから解散……と思ったら、けっきょくぞろぞろと仕事場へ。水鏡子、三村美衣、堺三保、本阿弥嬢にさいとう、大森でうだうだする。
 さすがに強烈に眠くなったので、わたしは午前6時過ぎに家に帰ったけど、水鏡子と三村美衣は午前9時までギャザっていたらしい。シールドの最下位決定戦は、順当に三村美衣が勝ち、3位を確保した模様。

 午後1時に起き、タクシーを呼んでお台場の東京ジョイポリス。アスキーの岡島さんと落ち合い、迷路のような地下空間を抜けて裏から会場に入る。ホスト役の大口孝之さんとは初対面。CGアーティストのかたわら、『日経01』とかに原稿も書いてる人。むかしCape-Xとかでよくいっしょになってたような。
 セガやブエナビスタの人々、MCの長谷川いずみ嬢を交えて軽く打ち合わせのあと、3時から45分間のトーク。ジョイポリス内のステージ前には20個ぐらい椅子が置いてあるんだけど、トークを聞くために座ってる人(関係者のぞく)は5人ぐらい(笑)。ま、インターネット中継のほうがメインだったみたいだから、べつにいいんですが。

 終わったあとはジョイポリス内の見学。そんなに人手があるようじゃないけど、人気アトラクションは軒並み30分待ちから1時間待ち。しょうがないので4人プレイのボートレース15分待ちだけ遊ぶ。楽勝でした。

 Decksで買い物したあと、そのへんで飯食ってタクシー帰宅。さすがに疲れたのでユタに行くのはパスして12時ごろ就寝。


【5月3日(日)】

 9時起床。10時15分、水道橋全逓会館に到着。朝イチからの企画はひさしぶり。まあ恩田さんの希望だからしょうがない。

「血は異ならず 恩田陸インタビュー」
 前半は頭が働かず、けっこうだらだらな展開。後半、新作プロット大オーディション大会に突入してから盛り上がる。わたしは当然、メモもなにもとってないけど、さすが新聞記者なタニグチリウイチ氏@"裏"日本工業新聞の報告によれば、「月の裏側」「グリーンスリーブス」「闇の絵本」「草の城」「ライオンハート」「ロミオとロミオは永遠に」「ユージニア」「夜のピクニック」「海鳴りとめまい」「夜舞うつばめ」「ピースメーカー」というようなラインナップだった模様。町工場で地雷除去戦車をつくる話(「ピースメーカー」)と、死のロングウォークな話(「夜のピクニック」)が異様にウケてました。
 あ、それと途中で地震があったんだよな。恩田さんはわりと地震が嫌いらしい。

 昼休みは恩田さんサイン会状態に突入。一段落したところで近所のドトール系のコーヒーショップで昼食。なんか昼間こういうとこでお茶飲んでると、渋谷でトーナメントに出てるような気がするな(笑)。森下一仁氏を恩田さんに紹介し、あとは野崎@角川その他と業界系の話題。
 外に出たら雨が降り出してたんで、昨日お台場で買った「消防士の服」((C)三村美衣)がさっそく役に立ちました。

NHK人間大学SF講座
 午後イチの企画は野田さん。横田さんとか伊藤さんとか良平さんもやってきて、控え室の平均年齢ががんがん上昇する(笑)。
 野田さんの企画は半分ぐらい聞きましたが、「お紺昇天」のお紺役はどう考えても林原でしょう、ふつう(つまり、NHK人間大学のSF講座で、短編朗読をやるのにだれをキャスティングすればいいかって話ね)。
 野田さんは、SFマガジンの連載その他で伊藤典夫氏をアドバイザーに使ってるんだけど、あまりにも連絡がとりにくいのに業を煮やして、無理やりファックスを押しつけることにしたらしい(笑)

「オンラインSF出版の現在」
 ……は、デジキャッシュの話とかまで出ちゃって、話がやや拡散しすぎた感じ。既存出版社のオンラインビジネスはどうなってるんですか(とくに早川書房)とか、コンテンツの話に限定したほうがよかったのでわ。
 SFセミナー史上初めて、プロジェクター使ってWWW画面をリアルタイムで表示するって試みが行われてましたが、オペレーターはなんとパピレスの社長さんで、使用マシンはリブレット。フォントが小さすぎて、うしろからじゃ全然画面の文字が読めないんで、NNのフォントサイズ変えたほうがいいんじゃないですか……と言いにいったんだけど、相手が社長さんではどうしようもなかったな。
 坂口くん@SFオンラインは自分のマシン使いたかったみたいだけど、あいにくなことでした。壇上でけっこうキレかけてた気がする(笑) すっかり営業モードだったパピレスの福井智樹氏にひきずられて、セールストークっぽくなっちゃったし。なんかこれだけ、SFセミナーっていうより、インターネット系シンポジウムなノリでしたね。
 ま、個人的に知りたかったことは、控え室で福井さんにいろいろ教えてもらったのでめでたしめでたし。しかし月10000件以上ダウンロードがあるのは立派だ。

「SFと優生学」
 な企画は、中村融の熱弁と長山さんの達者なしゃべりが印象的。半分ぐらいしか聞けなかったけど、これはかなり面白かったんじゃないでしょうか。テープ起こしをどこかのサイトに載せてほしい企画。

「オリジナル・アンソロジーの可能性」
 はちらっとしか聞いてないのでよく知らないけど、《異形コレクション》成功の秘密は、やっぱりしっかりしたマーケティングと手を抜かない本造りにあった、というようなことだったのでわ。依頼の行き違いが祟って、岬さん、大原さんの出演が実現しなかったのが惜しまれる企画。

 昼間の企画終了後は、例によってぞろぞろと歩いて食事場所をさがす。中村融が「ここは穴場」と推薦する地下鉄春日駅地下の文京区民会館レストランに12人で入り、今日の天皇賞をとった水鏡子のおごりで食事。

 合宿開始時間にやや遅れて、7時20分頃、ふたき旅館に到着。企画案内のあと、溝口くん@書物の帝国や、風野さん@サイコドクター暴れ旅とかと初対面のあいさつを交わし、林くん@不純粋科学研究所を紹介する。
 オレ的にはこのへんのページが、最近のSF関連サイトの中核だったりするのだが、どれもSFイエローページ200には載ってなかったり。まあいいんだけどさ。

 しばらく大広間でしゃべってから、「日本SF全集」の部屋を覗きにいく。溝口くんによれば、「大森氏と小浜氏、日下氏、堺氏、三村美衣氏、水鏡子氏が毒舌を揮っておりました」ってことだが、べつに毒舌を揮った覚えはないぞ。「豊田有恒はいらない」とかそういうののことか? 3000部程度の全集の場合、売れ行きを決定するのはその作家のメジャー度より、マニアックな読者の有無とレア度だと思うんだけどなあ。田中光二や豊田有恒より、鈴木いづみとか山尾悠子とかのほうが売れるんじゃないかと。

 ふたたび大広間で、水玉・白石・さいとう・岩井その他としばらく休憩してから、ライブ・スキャナーに乱入。中村融がアル・サラントニオの狼男物バカSFホラーを紹介したので、ついでにリチャード・レイモンのBiteのあらすじをしゃべる。意外とウケてたな。
 ホールドマンのForever Peaceは、冬樹蛉の話を聞くかぎり、やっぱりダメな感じ。まあ「終わりなき戦い」の再刊と合わせて翻訳するって手はあるかもしれないが……。

 おなじ部屋でつづけて、小浜徹也がとつぜん思いついた企画、「ネットワークとファンダム」。朱鷺田祐介は、この2,3年のオンライン状況にはすっかり疎くなっているのだった。
 基本的には、メーリングリストやWWW掲示板が、最近退潮気味の大学SF研や地域ファングループの代替物として機能しつつあるんじゃないかと思うけど、RLのファンダムと別種のオンラインファンダムが成立するかどうかはよくわからない。オンライン・コンベンションとか、やっぱりむなしい気がするし、だいいち日本はせまいので。

 こういう企画があるととりあえずべんりなのは、SFホームページな人々が集合してくること。というか、各所のセミナー・レポートを総合すると、ずっとこの部屋にいた人が多かったらしい(笑)
 ちなみにSFセミナー'98レポート(もしくはそれに準じるもの)が読める(可能性がある)サイトは、

タニグチリウイチ・"裏"日本工業新聞
きたてつじ・ぼやき日記
溝口哲郎・魔法の本棚
冬樹蛉・間歇日記 世界Aの始末書
森下一仁SFガイド
みのうら・風虎日記
風野春樹・サイコドクター暴れ旅・読冊日記
ねころがーる・ねことねごと
林哲矢・不純粋科学研究所・草の日々、藁の日々
野田令子・のだなのだ近況報告
深上の快楽日記(5/10追加)
中野善夫・私がどんな本をどの書店から購入し、そして手にとって読んだか
柳下毅一郎・平凡日記
森太郎のページ
森山和道・独断と偏見のSF&科学書評
高橋征義・Maki's Homepage
野村真人のWebページ
SFセミナー
東洋大学SF研究会
京都大学SF研究会
SFオンライン
THATTA ONLINE
大野典宏・蝸牛地帯
岡本賢一・猫丸の国
book ML
SF-ML

 てなとこでしょうか(各種掲示板は省略。こことかこことか)。抜けてたら教えてください。現時点でレポートが上がってるのは上から10箇所ぐらいかな。セミナーの会場アンケートでは、インターネット接続率が9割越えてたとかいう話だけど、じっさいこうしてみるとホームページ開設率もかなり高い。

 あとの合宿企画は堺三保の「アメリカSFTVの部屋」とか、伊藤さんがふたたび独演状態だったらしい「オールタイムベストの部屋」とか。覗いてないけど、「宇宙開発の光と影」はたいへんだったらしい。「JGCの部屋」はM:TGとカタン。水鏡子は「あのレベルならぼくでも勝てる。ネゴシエーションがわかってない」とか豪語してました。
 強烈だったのは、某氏コレクション(って、おなじサンリオ文庫美本が5冊も出たんじゃモロバレ(笑))大放出のオークション。SFM丸背17冊揃いがなんと1万円で落ちてしまったというおそろしい世界。おれ、創刊号8000円で買ったんだよな、たしか。元々社も200円とか300円とか。それでサンリオの特定銘柄になるといきなり2000円を突破するという。
 まあ、需給関係で決まるんだからしょうがないけど、うーん。NW-SFコンプリートとかも5000円ぐらいだったし、みんな昔の雑誌には興味ないのか。浜田@SFセミナーがいちばん得をしたオークションでした。
 あ、「本とひみつ」のために100円200円で買ってきた珍本をその場で売り飛ばし、1万円近く稼いだ水鏡子もいい商売だったね。

 合宿企画終了後は大広間でうだうだ。WWWな若者たちとしゃべる。タニグチリウイチはオフラインだとおとなしい。名大勢だけでかたまる林くんは、名大SF研の伝統をしっかり受け継いでいる(笑)。風野さんの印象に関しては、冬樹蛉に一票。

 そのうち三村美衣・水鏡子間で脳みその融けかけたSFしりとりがはじまり、疲れた人々が遠くからそれを眺めている謎な状況。考えてみると、SFしりとりとかやったことない人もけっこういるはずで、全員参加企画でやってみるのもいいかもしれない。


【5月4日(月)】

 午前8時、ふたき旅館を出て、本郷三丁目近くの喫茶店で朝食。まだSFしりとりがつづいている。末期的かも。
 10時ごろようやく解散して帰宅。『三本の矢』下巻を読みつつ寝る。午後十時ごろ一回起きてプロ野球ニュースとか見つつ、水鏡子師匠が手みやげに持ってきた焼きアナゴを食べる。なんか高砂名物らしいのだが、これがけっこううまい。レンジであっためただけなのに。ありがたいことである。
 ぼんやりネットを巡回してるうちにまた眠くなったのでとっとと寝る。


【5月5日(火)】

 起きたらお昼だった。なんか20時間ぐらい寝た気がする。フロに入って体重を計ったら、ついに60キロを切って、59キロ台に突入。ぼちぼちダイエットな日々は終了か。まあ、ここ数年の最低体重まではまだ2キロぐらいあるんだけど。

 頭がぼうっとしたままミストラルに行ってランチ。
 藤元直樹氏にセミナーで頂いた『未来趣味』6号を読んでたら、大瀧啓裕氏の巻頭エッセイ「データベースの横着なつくりかた」に、音声入力でデータを入れる話が出てきて驚愕。巨大な挿画本を机の上に広げるとキーボードを打てなくて困ってたら、OS/2のマーリンから音声タイプが標準装備されたんで、書誌データを英語でしゃべって入力してるんだとか。「英語版は十分に実用レヴェル」だそうですが、日本語はどうなんでしょうね。しかし喫茶店で口述筆記翻訳してたら不気味すぎるだろうな。
 ちなみにメインの特集は『宇宙戦争』。明治の翻訳/翻案は文章がかっこよくてつい真似したくなりますが、日本語の基礎教養がないから無理だね。

 仕事しなきゃいけないんだけど、まだ社会復帰ができず、けっきょくだらだら過ごす。だめすぎ。


狂乱西葛西日記なんでも伝言板を読む書く
過去の狂乱西葛西日記を読む
ホームページにもどる
リトル東京ページにもどる