【10月14日(火)】

 この秋のホラー映画/TVを中心にCD-ROMファンのコラム原稿。

 Communicatorインストールしてから、ツールいろいろ導入して遊んでいるんで全然仕事にならない感じ。いま使ってるのは、InContext WebAnalyzerってやつ。インターネット上のWWWサイトを分析して、ローカルにミラーを構築するやつ。
 ほんとはキャッシュコンバーター使いたかったんだけど、なんかインストールがうまくいかない。

 しかし一日にコラム一本だけしか仕事してないのはだめすぎ。と思ってSFマガジン500号のディックの翻訳をはじめたんだけど、全然調子が出ないっす。


【10月15日(水)】

 今日はLove&PlayStationのコラム書いて終わり。あとは角川ホラー文庫『らせん』の解説用に、鈴木光司の全作品(といっても小説は六冊だけ)再読に着手する。


【10月16日(木)】

 週刊読書人『あいどる』の書評。SFオンラインのコニー・ウィリス・インタビューまとめ。トモコ・サイトウ・スミスが来日し、サンマを食わせろとわがままをいうので、さいとう姉と三人でメトロセンターの居酒屋で夕食。

 小説すばる11月号が届く。京極メキシコ「宍道湖鮫」掲載号ですね。選考経過は集英社ホームページの顰蹙猿楽町日記を見て頂くとして、第一回ペンネームコンテスト〈著名人の部〉優勝記念短編を発表します(笑)。


南米探検隊

メキシコ甕
京極先生の超人気シリーズとは全く無関係ですが痛いッごめんなさい。

                      大盛望   

   1  

 ウソでしょてゆうかぁ、ホントじゃないって感じでぇ。なんかもうマジィって思ったしぃ。でぇ、やっぱりあわてちゃったし。なんてゆうかぁ、こう、超びっくり、みたいな。久美子なんかわざわざ、ぴっちにPメール打ってきて、「スバルミロ」だって。わけわかんない。スバルったって、うちのおとうさんプリメーラだし。去年の正月、浜松のじいちゃんちに行ったら、おじさんがカラオケ行こうって無理やりクルマで連れてかれて。ううん、それもスバルじゃないよ。白のカローラ。ふつーでしょ。だからそうじゃなくてぇ、そんときおじさんが歌った歌が「スバル」とかゆったと思った。目ぇつぶって、ワレワスバルヨとか呪文みたいに歌うの。あんまり気持ち悪かったから夢見ちゃったよ。あれなに? 日本語なの? アリス? アリスってマイラバのデビュー曲だっけ? え? 谷村新司? あ、なんか聞いたことある。そっか、演歌なんだぁ。着物来て踊るやつ。メグミと「演歌の花道」見にいったから知ってるもん。そう、たいせーのファンなの。望? 望はシャ乱Qなんか歌わないよ。ダサダサだよねー、いまどき金髪とか。え? うん、Da Pumpとか歌うけど。だからわけわかんないって久美子のぴっちに速攻でかけなおしたわけ。スバルってなによ。そしたら本だってゆうじゃん。はやくゆってよね、そうゆうことは。え? 本じゃないの? だって本だったよ。望、本屋で買ったもん。雑誌? 雑誌じゃないよ。あんな雑誌ないじゃん。雑誌って大きいでしょ。フォーカスとか、テレビジョンとか。スバルは厚いしちっちゃいから、本だよ、どう見ても。あ、小説すばるっていうのか。本名は。毎月出てる? だって望、そんなの知らないし。もういいよ、べつに。雑誌なら雑誌でも。でも先月、なんだっけ、アンケートみたいのがクラスでまわってきて、「最近読んだ本」ってとこに、となりの席の山田とか、少年ジャンプって書いてたんだよ。少年ジャンプって本じゃないよね。あれはマンガでしょ。え? あれも雑誌? じゃあ『金田一少年の事件簿』は? あれは本なの? ウソだよ。どっちもマンガじゃん。へんなの。
 だからどうしたんだっけ。その本……じゃなくて雑誌かぁ……まあ望はどっちでもいいんだけど、それを買ったわけよ。それでぇ、ぱっと開けたら、穴首湖鮫とか書いてあるじゃん。シンジコ? あれ穴って字じゃないの? シシドのシシにドウロのドウ? それでなんでシンジなの? シンジってゆったらエヴァじゃん、ふつう。なんか暗いコでしょ。島根県? 島根県ぐらい知ってるよ。砂丘があるとこ。ってそれは鳥取だって。ちがうの、今のは自分でボケただけですってば。だからそのシンジ。なんか暗い県の暗い湖にサメがいる話なんだけど、いきなり望が出てきちゃうの。そう。登場人物ってゆうの? それ。えっへんて感じ。うちとかけっこう偏差値高くて、クラスに本とか読むコ多いじゃん。なんかナツヒコとかすっごい人気で。ナツヒコの出た雑誌ぜんぶスクラップしてるコとかいるよ。週刊誌とかダ・ヴィンチとか。望? 望は本とか読まない。だって字ばっかりじゃん。でもナツヒコのおっかけしてるコとかもいて、だからほら、こーゆーのって自慢じゃん。ナツヒコの小説に出ちゃったんだから。
 だから次の日ガッコ行って自慢したの。そしたらひどいんだよ。
「あんたが出たのはナツヒコの小説じゃなくて、メキシコの小説でしょ」だって。ウン。チセがゆった。昔から口が悪いんだよね、あのコ。そしたら横で聞いてたこぐまさんが、あ、こぐまってゆうのは先輩のあだ名なんだけどさ、なんてゆったと思う? 「メキシコで大盛ならきっとブリトーね。それともタコスかしら」だって。超ムカつく。いいじゃん、メキシコだって。サボテンとかかわいいし。エル・トリートでこないだ食べたタコスなんて絶品。そう。あれはもう、バ・カ――。


   

 ――U・M・A
 少女はそう言って、ぴんと伸ばした人差し指で空中にローマ字を書いた。

  (以下略。小説すばる97年11月号16ページにはつづきません)


【10月17日(金)】

 2時、ユタ@高田馬場。三村美衣・柳下毅一郎と、明日のトーナメントに備えてシールド戦の練習ラウンド。レギュレーションは、5thスターター1個とVisionsブースター2個。

 なんか引いたカードはダメダメだったけど(フライング・クリーチャーがゼロ)、2マッチとも1−1からしぶとく勝って、2勝0敗。
 5時をまわったところで柳下と別れて、三村美衣と西武線に乗り、新井薬師へ。ウェストエンド・スタジオのてぃんか〜べる公演、『東の海神 西の滄海』観劇の夕べなのである。

 6時からだと思ってて、5時40分ぐらいに着いたんだけど、会場前には整理券待ちの女性の列。一時間まちがってました、すみません。
 今回はNIFTY-Serveからメール予約で申し込んでたんだけど、受付にチケットもらいにいったら「招待」の封筒に入ってて申し訳ないことである。しかしもっと驚いたのは、整理券待ちの列に浅羽莢子さんがいたこと。おそるべき神出鬼没ぶり(笑)。しかし浅羽さんも十二国記ファンだったのか――と思ったら、原作は「買ってあるけど読んでない」そうで。劇団の人が創元推理倶楽部の会員で、その関係で見にきたらしい。
 入場までは時間があるので、近所の鄙びたケーキ屋で三村美衣とお茶して、6時半に入場。そのうち小野主上と綾辻・竹本・宇山ほか各氏がやってきて、小屋の前でひとしきり立ち話。
 芝居は今日が初日ってことで、セリフ回しとか、まだちょっとこなれてないところがあったものの、台本の出来は上々。ドラマCDの脚本にくらべるとこっちのほうが数段いい。
 尚隆配下のお目付トリオの掛け合い漫才とかバカウケでした。
 尚隆役は、脚本・演出の湖条圭子さん、六太役は樫村忠之助さん(女性)。ここの芝居を見るのは去年の『龍は眠る』につづいて二回目ですが、ファンタジー系の舞台はけっこう向いてるかも。「大きいの」の造型とか、斡由の衣裳とか、なかなかよかったす。沃飛も不気味だったし。
 更夜役は石川亜美(つぐみ)さんで、六太とのからみはなかなか。ドラマCDのカヲルくんな更夜もよかったけど、中性的キャラだから女性が演じてもぴったりな感じ。
 客席のエアコンが切ってあって、暑くて死にそうだったのをべつにすれば、楽しめる舞台でした。やっぱキメゼリフがある原作だと見てるほうも盛り上がるよね。

 芝居のあとは、去年と同様、向かいの寿司屋の二階で宴会。本好きの女性たちの劇団なんで、ミステリ方面の話題が中心。『匣の中の失楽』上演計画もあるそうです。てぃんか〜べるで『鉄鼠の檻』を見たいとゆったのはアヤツジ氏。そんなに坊主が好きか(笑)  あとはもっぱら小野主上に近況取材とか、昔話とか、今日の舞台の話とか。新潮社の書き下ろしはまだ終わってない模様。12国記新作は年内脱稿も無理そうですね、この分だと。
 綾辻さんもそうだけど、自分に対する要求水準の高い人は本の出る間隔がどんどん長くなる傾向があって、なんというか困ったものである。
 午前12時にお開きになったあとは、スタジオの前で原作者を囲んで記念撮影。Clip It!でも撮ったんだけど、小野主上は写真非公開なので(公開したら絶交だとクギを刺されている。とほほ)、そのうち目伏せ加工(笑)してから載せます。

 解散後、小野・綾辻・竹本の三氏とタクシーに同乗して、江戸川橋にある竹本さんの仕事場へ。南雲堂で出る描き下ろしマンガ単行本(智久モノ)のため、元は森田塾出版の編集室だったアパートメントを仕事場に提供してもらってるんですね。アシスタントをつとめた人はもれなくクレジットされるというシステムなので、原稿1枚にゴムかけし、モブシーン1コマの人物の顔半分にペン入れをする。
 小野さんは黙々とトーン貼り。マンガ製作に関しては厳しいチェックが入ってました(笑)。
 そういえば、悪霊シリーズのラジオドラマっていつやってるんだっけ? と、ふと思いついてたずねると、「えっと、今日じゃないですか?」のお答え。
 竹本さんのラジカセでラジオ日本をさがしあて、「宮村優子の直球でいこう!」を聞きはじめると、ちょうどラジオドラマがスタート。
「今日は小野さん原作のものをふたつも体験したわけですね」と竹本さん。ウロボロス3の取材はばっちりって感じですか(笑)。なんか、竹書房の麻雀最強戦も、朝からつきっきりで取材してたらしい。
 しかしマンガのほうはまだまだ先が長そうである。

 ラジオドラマが終わったところで、大森は明日の試合が早いので、午前3時ごろお先に失礼してタクシー帰宅。
 寝る前にWizards of the CoastのDCIページをのぞく。3日ぐらい前に、WoCのページが全面刷新になり、Limited環境のリストが消えちゃってたんですが、今日チェックしてみると復活。自分のDCIナンバー(大森は170544です)を入れて検索すると、なんとびっくり、1700ポイントで54位に上がっている。ベスト50は目の前だっ。がんばらなきゃ。


【10月18日(土)】
 9時半に起きて、DCIトーナメント・センター@渋谷。M:TGプロツアー・ドイツ大会日本代表選考会の一次予選最終日。目標は5勝2敗だね。

 と思ったら、引いたパックが最低。昨日の練習ラウンドで引いたやつよりさらに弱い。優秀とされるクリーチャーはほとんどいなくて、かろうじて緑の中型が豊富っていうくらい。フライングも2体だし。

 クリーチャー数がとにかく圧倒的に足りないので、白ウィニーと緑ヘビーを中心にデッキを構築。3色めに赤(ドワーフのカタパルトと火炎破)か青(捕縛と不安定性突然変異と微風の守り手)かで悩んだあげく、初期状態は赤を選択。これはリバーボア警戒と、Islandhomeの大型がいるんで、相手が青かったら2デュエル目に赤と青を交換しようって計画。切り札はHive(笑)。勝負が長引いたら蜜蜂トークンで殴り勝つ。いや、相手にX火力がないことが条件ですが。
 しかし圧倒的に弱い。1戦め、なすすべもなく2−0で負けて、今日はもう傷口を深くしないうちに帰ったほうがいいかもと思いつつ、柳下と昼食。ちなみに三村美衣は寝坊して欠席(笑)。「明日は早起きしなきゃいけないから、家に帰って寝る」と昨日は途中でひきあげたくせに。
 一方、柳下のデッキはフライングクリーチャーの山で圧倒的に強い。一戦めも楽勝で、「デッキ的には決勝に残っておかしくないね」とか豪語している。
「残ったら明日も来なきゃいけないじゃん」
「うーん、しまった。明日は用事があるんだよなあ。こんなことになると思ってなかったから」
「日曜日出られない人はエントリしちゃいけないんだぞ」
「ま、決勝は棄権するよ」
 などと大言壮語したのがまちがいだったことは、もちろん数時間後に明らかになる(笑)。

 2戦め、相手の土地事故でなんとか1デュエルはとったものの、1−2で予想通り連敗。だめでしょうやっぱり。しかし、ランキングの順位を激しく落とさないためには、せめて五分の星までもどさないと。

 気合いを入れ直して敗戦処理にのぞむオレ。しかし、さすがに0勝2敗まで落ちると、相手のデッキが弱くなってくるので(勝ちは3点、引き分けが1点で、その時点でおなじ勝ち点の人と対戦する)、なんとか勝ちを拾う。
 苦労したのはここからあと。すべてのマッチが3デュエルまでもつれ、5戦め、6戦めは、残り時間1分、残り時間2分で最後のデュエルをもぎとり、著しく疲弊しつつも勝利を手にする。いやあ、このデッキで4勝2敗は上出来でしょう。
 当面のライバル・羽鳥武志もぜんぜんデッキがダメで、3敗したところでそそくさと帰ってしまいましたが、わたしは4勝めを挙げたところで、最後のマッチをパスして勝ち逃げ(笑)。
 どう考えても5勝できるデッキじゃないから、これで正解だと思うな。どのみち決勝に残る目はないし(万一、二敗組から残る人間が出たとしても、デュエル取得率で確実に落ちる)。

 一方、明日を棄権するはずだった柳下毅一郎は結局3勝3敗で大森より成績は下(笑)。柳下も7戦めを棄権したので、出る前に1マッチやってみたけど、やっぱり全然かなかわかったす。それでどうして3敗するかね。
 2勝3敗後に6戦めで当たった相手には、「こんなデッキの持ち主がこんなところにいちゃいかん」と説教されたそうです(笑)  それにしても、こういうデッキで戦うのはほんとに消耗するね。自分で自分を誉めてやりたい気持ちです(笑)。

 8時に渋谷を出て、新宿ゼニスで山岸真主催のカラオケに合流。メンバーはほかに、三村美衣・小浜徹也・田中光・白石朗などのおなじみメンバーと、ゲストに木川くん@スタジオハードのご夫妻。さいとうよしこも遅れてやってくる。「エキセントリック少年ボーイ」が入ってたんで当然歌う。作曲がなぜ山本正之じゃないのかよくわかんないが、いやあやっぱり松本は天才かも。カップリング曲のほうもはやく入らないかな。
 噂の「alt.culture」(メディアワークス)を見せてもらう。読んだのはもちろん山形の書いてるとこだけ。いやあ、聞きしにまさるすごさですね。
 すでにあちこちで話題になってますが、大森が伝え聞くかぎり、裏日本工業新聞の、「もうこれは完全に確信犯的に項目をセレクトして文章を書いている」ってのは誤り。いや、そう考えるのも無理はないんだけど、山形くんは、編集部から依頼された項目について原稿を書いただけなんですね。なぜよりによって、あの項目とあの項目を山形に依頼したのかは謎。ついでにもうひとつ、「かつて上司だった広報の人によれば金髪に鼻ピアスで会社に来ているとゆー山形浩生さん」ってのは、話がかなりおおげさになってるんでわ。眉と耳にピアスはしてましたが、なんかクライアントからの苦情が入ってそれもやめちゃったんじゃないかな。鼻ピアスしてた時期はあったらしいけど、金髪は知らない。
 いちばん最近会ったときはふつうのサラリーマンみたいな顔でしたね。えーっと7月12日です。例の替え歌が伝達されたのはこの日のことだった(笑)。原作者も、替え歌を山形に伝達した人も知ってるけど、ここにはとても書けません。ちなみにどっちも大森ではありません。なお、原作者の人は、歌詞の一部がちがってるので、「オレの考えた歌じゃない。山形のオリジナルだ」と関連性を必死に否定している模様。エヴァの件りは原作にはなかったような気がするな。

 9時半にお開きになり、部屋を出る。なんかトモコ・サイトウは、うたたねひろゆきさんの内輪の結婚パーティで新宿に来てるって話で、「あのメンツで新宿三丁目集合なら、いまごろはゼニスにいてもかしくない」と勝手に推理するさいとうよしこ。そしてほかの部屋を探索に行って、うたたねご夫妻ご一行さまを発見してしまうのだから、まあ世の中そんなもんだよね。「土曜日の新宿ゼニスに行くと、必ずだれか知り合いに会う」の法則は健在。
 なぜかさいとう弟の和之もそこに混じっている。もうわけがわかりません。あとは鈴木雅久氏とか、退院してすっかり元気になったらしいGAINAXの佐藤てんちょ(最近、「噂の真相」で有名(笑))とか。うたたねさんとも面識のあるさいとうよしこは(ちなみに大森は初対面でした。電話は何回か受けてるけど)そのままそこに居座ってしまう。まあどうせアニカラだし。
 わたしは爆発的に腹が減ってたので、SFカラオケの残党とカプリで食事。巨大喫茶の西武でお茶して、11時半にふたたびゼニスにもどり、うたたね氏の歌を聞き、写真を撮影してから(右端がトモコ・サイトウ、うたたねさんの隣が奥さん)、さいとう一族を連れて西葛西にもどる。
 なんか死ぬほど疲れてたみたいで、ばったり倒れて意識不明。


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