S澤わくわく伝言板を開設しました。S澤編集長とSFマガジンと『SFが読みたい!』とか『銀河帝国も弘法も筆の誤り』とかを勝手に応援する掲示板です。いやな応援も可。SFに関係することはたいがいS澤編集長に関係するので、まあそっち方面の話題はだいたいOKですが、サイファイの話題はサイファイ伝言板に書いてください。和久井映美の話題はもちろんこっちでOKです。
 ちなみにこの掲示板はあくまで勝手に開設したものなので、S澤氏本人およびH川書房とはいっさい関係ありません。

オンライン書店bk1との提携力強化中。


bk1で買える大森望の著訳書

 よく考えたら自分の本を売るのがいちばん効率的なので、検索結果にリンクを張りました。55冊もありますが、アンソロジー・短編集を含むので、このうち14冊は共著・共訳。かわりに別名義の単独翻訳3冊が入ってませんが、まあどれも品切のはず。共訳書ではなぜリストにないのかよくわからない本も。ワトスン『スロー・バード』とか『ラッカー奇想博覧会』とか。最初の単独訳書『ドラゴンの目』が入ってないのはゲームブックだから?

 ラッカー『セックス・スフィア』の品切はちょっと悲しいけど、まあいつか復刊されることもあるでしょう。ベイリーの『時間衝突』は知らないうちに切れてたんですが、近々復刊されるらしい。『SFが読みたい!2001年版』1990年代ベストSFアンケートの上位入選作。星雲賞も受賞してます。私見ではベイリーのベストワン。一般的にはベストとされている(たぶん)『カエアンの聖衣』もハヤカワ文庫で復刊されるみたいなので合わせてどうぞ。これ、前にも一回復刊されてなかったっけ?
 品切タイトルのうち、古本屋で見つけたらぜひ購入をおすすめしたいのはジョン・クロウリーの大傑作『エンジン・サマー』と、コニー・ウィリスの短編集『わが愛しき娘たちよ』。
 M・Z・ブラッドリー《ダーコーヴァ年代記》の『惑星救出計画』と『オルドーンの剣』が「お取り寄せ」でリストに入ってるのはたぶんなにかのまちがいでは。このシリーズはぜんぶ品切だと思ったけど違うのか。
 スティーヴ・ラスニック・テム『深き霧の底より』はつい最近復刊。本格ホラーの濃い人に妙に評判がよかった田舎ホラー。地味ですが怖いことは怖い。
 ベイリーのロボットSF二部作は、つい最近、黒崎政男さんが朝日新聞に書いたロボット原稿の枕に使われててびっくり。フレーム問題のお手本みたいなエピソードが出てくるんですが、ベイリーはたぶん、そんなこと意識してなかっただろうな。ロボットのジャスペロダスくんが魂を求めて放浪する話。ベイリー版ピノキオですが、そこはベイリーなのでけっこう邪悪。『スター・ウィルス』はブルース・スターリングのかっちょいい序文つき。宇宙海賊ものですがぜんぜん爽快じゃありません。スペオペもベイリーが書くとこうなる、みたいな。
 ハインラインの『ラモックス』はどうしてもオレにやらせろと編集部から原書を強奪して帰って翻訳した本。SFジュブナイルのうまさでは定評のあるハインラインですが、その中でもいちばん愛着がある一冊。一応これが初の完訳版。『宇宙怪獣ラモックス』が好きだった人もぜひ。
 発売たちまち大増刷で水玉カバーの威力に驚いたチャールズ・プラット『フリーゾーン大混戦』は、SFおたくのSFおたくによるSFおたくのためのSF。基本はお笑いなのであまりまじめに読まないように。
 コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック』はヒューゴー賞ネビュラ賞のダブルクラウンに輝く時間SF。『タイムライン』よりはだいぶん出来がいいと思うんだけどどうですか。続編あります。今年翻訳する予定。『リメイク』は、SF的に納得できない部分がけっこうあるんだけど、ハリウッド・ミュージカルおたく向けのラブロマンスとしては上々。
 ホラー系では、リチャード・レイモンの『殺戮の〈野獣館〉』がバッドテイスト派の人に大人気で、何度か増刷しました。スプラッタパンクの代表作(なのか?)。続編はインパクト的にいまいち。シリーズ最新作もそのうち翻訳が出るかもしれないがめちゃくちゃぶあついのでいいかげんにしてほしいと思った。
 ラシュコフ『サイベリア』とハーツ『インターネット中毒者の告白』はサイバー/ネットカルチャー系のノンフィクション。
 一冊だけやったミステリがマイクル・ドーンの『光の都』。実験的な文章がめちゃくちゃ訳しにくくて死ぬほど苦労したのに全然売れず、さらに矢作俊彦が朝日新聞で「劣悪な翻訳」とか酷評してくれやがったいわくつきの本ですが、後半、安っぽいアクションに流れちゃうところに目をつぶれば、非常にすぐれた現代文学ミステリだと思います。文体が文体なので(ぜんぶ現在形)翻訳は原文にかなり忠実(にしたつもり)。ほんとに劣悪かどうかは読んでたしかめてもらえると吉。ただしエンターテインメントとは言いがたい。




【1月28日(日)】


 日本推理作家協会麻雀大会@銀座・柳本店。前回同様、半荘4回のトータルポイント勝負。1戦2戦は連続トップ発進で5位まで浮上、これは行けるかと気合いが入ったが、その後は3着4着で、40人中の12位に沈む。三連続優勝を目指す茶木則雄は3回戦終了時点でダントツのトップ。2位に2万ポイント以上の差をつけていたのに、4回戦でラスを引き自滅。いや、オーラスの親で無理やりチンイツ聴牌の見せ場はつくったんだけど、ペン3索待ちを薄い両面に振り替えたのが失着。振り替えてなきゃ、無理やりのミンカンでリンシャン自模、上がりやめで優勝――とめちゃめちゃかっこよかったのになあ。

 終了後は、前回同様、柳の支店でオープン戦2時間。メンバーは茶木則雄、日下三蔵、角川S戸氏。ちょっと浮きの2着で終わり、タクシー帰宅。

 田中啓文インタビューを途中まで適当にまとめて送り、博物座談会のテープ起こしに着手。
《ロードショウ》の「アンブレイカブル」礼賛原稿400字。なんか肯定派と否定派に分かれて誌上対決って企画らしいんですが、なぜ否定する人がいるのか謎。だれが見ても傑作だと思うのだが。




【1月29日(月)】


 博物座談会の原稿35枚を仕上げてメール入稿。メールのやりとり数度を経て田中啓文インタビューが完成。さらに毎日中学生新聞とアスキーネットJのコラム原稿。あとはミステリチャンネル《ベストブックス》用の読書。




【1月30日(火)】


 18:30、第一回ホラーサスペンス大賞授賞パーティ@全日空ホテル地下一階瑞雲の間。
 新潮社の人と幻冬舎の人、あと書評家が多数。作家は選考委員三人(大沢在昌、宮部みゆき、桐野夏生)を別にするとほとんどいない。が、何故か岩井志麻子はいました。
 目黒考二(北上次郎)も来てたので、ティーンズノベル特集その後の話。〈本の雑誌〉読者にはわりと評判がよかったらしい。だいたい6ページだかの予定だった座談会をいきなり倍に伸ばしちゃうんだからなあ。
 しかしあんなにたくさん座談会やったのに、話題になるのは北上次郎原稿ばかり。
 古橋秀之日記のこことかさ。
 みたいな話をしたら、「だってダメだよー。あんなのオレ読めないよー。勘弁して」と、予想通りの回答。

 まあこの件についてはすでに伝言板で書いた通りで、
 古橋秀之日記のこことかで話題になってる北上次郎原稿ですが、そこ笑うトコです。ていうか、オレは笑いました。むしろさらっと流されてるやつのほうが悔しかったり(笑)。そもそもあれは書評とかそういうものじゃなくて、54歳のおじさん被験者が提出したレポートなので。まあ、つらくても理解できなくても全部読む約束だったくせにこのおやぢ。とは思いましたが読めなかったものはしょうがない。
 他人様の小説を勝手にリトマス試験紙に使っちゃうのは失礼千万ですが、それは企画自体の問題。オレだって戦記物10冊無理やり読めと言われて渡されたら、状況によってはそのうち1冊に対してああいうコメントをすることもありそうな気が。
 みのうらさんも書いてますが、あれだけ引用されたってことはそれだけインパクトがあったってことで。
 しかし古橋さんに、「北上次郎に自作を読ませるとしたらどれがいい?」って直接質問したときは、「やっぱ『タツモリ家』」って回答だったのに、勝手に『ブラッドジャケット』に変更しちゃったのが間違いだったかも。

 タニグチリウイチもなんか心配してるけど(1月16日の後半)、それは杞憂でしょう。しかし思ったより打率が低かったのは反省点。打ちやすい球を投げたつもりだったのになあ(打てない球も一部投げてますが)。

 って、なぜオレが北上おやぢの弁護をするのか。納得いかん!みたいな。

 この件に関するその後の反響は、
ケダ日記の1月18日の分析がいちばん詳しい(ので北上次郎さんはこれを読んでおくように)。
 あと、SF人妻日記の15日〜16日とか、Books by 麻弥の過去日記のこことか。2ちゃんねるでもどこかのスレッドでネタになってたけどもう見つからない。「北上次郎にいちばん親近感を覚えてしまう自分が悲しい。歳をとったもんだなあ」みたいな感想もどこかで読んだ気が。

 しかしそうやって『ブラッドジャケット』の話を横でしてたら、大沢在昌氏がたいへん興味を示してました。北上次郎にわからない本がオレにはわかるか? と挑戦意欲をそそられるのか。ってやっぱりリトマス試験紙扱いしてたり(笑)。

 というわけで、《本の雑誌》のティーンズノベル特集は読んだものの、そういうコーナーには行き慣れてないので勝手が分かりませんという年配読者のために、bk1で買えるようにリンクを張ってみました。
 と思ったらいきなり大ショック。
 高畑京一郎『タイム・リープ あしたはきのう』(電撃文庫)が注文不可能。まさか品切ってことですか? 何かのまちがいだと信じたい。しかし谷山由紀『天夢航海』(ソノラマ文庫)も注文不可じゃん。さらに驚いたことに古橋秀之『ブラッドジャケット』もないぞ。どういうことやねん。それでどうして『やみなべ』があるかなあ。しょうがないので古橋秀之はかわりに第三部の『ブライトライツ・ホーリーランド』を入れました。

北上次郎に読ませたティーンズノベル10冊+1
 頭の記号は北上次郎の評価を適当に換算。○はふつうに面白かったやつ、×は最後まで読めなかったやつ、?はどこが面白いのかよくわかんなかったやつ、◎はかなり面白かったやつ、★はものすごく面白かったやつ、という指標。

○『タイム・リープ あしたはきのう』高畑京一郎(電撃文庫)
○『天夢航海』谷山由紀(ソノラマ文庫)
『EDGE』『EDGE2』とみなが貴和(講談社X文庫ホワイトハート)
『やみなべの陰謀』田中哲弥(電撃文庫)

『星虫』岩本隆雄(ソノラマ文庫)
×『猫の地球儀 焔の章』『その2 幽の章』秋山瑞人(電撃文庫)
『ブギーポップは笑わない』上遠野浩平(電撃文庫)
×『ブライトライツ・ホーリーランド』古橋秀之(電撃文庫)
『放浪の戦士 デルフィニア戦記1』茅田砂胡(C☆NOVELSファンタジア)
『帝国の娘 流血女神伝 前編』『同・後編』須賀しのぶ(集英社コバルト文庫)
×『白魔術都市(セイルーン)の王子 スレイヤーズすぺしゃる(1)』神坂一(富士見ファンタジア文庫)

 しかしいちばん驚いたのは、《デル戦》(デルフィニア戦記の略です)をあれだけ絶賛しておいて、いまだに第一巻しか読んでないこと。せめて最初の四冊は一気読みしないと語れないと思うのだが。

 2次会は幻冬舎のI原氏が選んだらしい銀座のワインバー、グレープガンボ。この人数の2次会にはほぼ完璧。イタリアン中心の料理もなかなか優秀でした。横で見てる分には非常に面白かったのが北上次郎×大沢在昌の頂上会談。なんか北上さんは手紙を書くらしい。マメだなあ。

 3次会は、世界カクテル・コンクールのロング・カクテル部門で優勝者のお店。なのにジンジャーエールとか飲んでてどうする>オレ。しかしその店で2時間ずっと杉江松恋の乳を揉みつづけていた山本周五郎賞作家よりはましだと自分を慰めたり。

 吉田伸子からタマランチ・ファクトリーを強力に推薦される。どうしてこういうサイトを熟読してますか。




【1月31日(水)】


 18:30、角川書店アニメコミック事業部新春感謝会@東京ドームホテル地下一階《天空》。
 巨大なホールが、スニーカー・ゾーンとかニュータイプ・ゾーンとかルビー文庫ゾーンとか、エリア別になんとなく分けてある。ものすごい混雑。
 司会は例によって声優の男女コンビ。森久保祥太郎と榎本温子だっけか。狗神/弟切草の宣伝で奥菜恵登場。写真を撮りにステージへ近づくとそこには綾辻さんと武田さんが(笑)。いや、綾辻さんは「乾杯の挨拶のためにそこで待ってただけ」だそうですが。

 乙一氏とは初対面。bk1ホラー棚掲載のインタビュー読んで、インプットとアウトプットの間がブラックボックスだなあと思ってたんだけど、じっさいに話を聞いても、「どうしてそれがそうなりますか」という感じ。「見えない友だち」物とか、ジェントル・ゴースト物とか、そういう発想じゃないところが新鮮なのかもしれない。

 古橋秀之氏ともひさしぶりに対面。当然《本の雑誌》話。「これを機会に、北上次郎さんから次の本に推薦文を」とかギャグを飛ばす古橋秀之。
 さらにもっとひさしぶりのもっとすごい人もいたらしいが、大森は発見できず。もしかして避けられていたのか?

 終了後、シズラーでお茶。東京ドームホテルは初めてなので、酒飲み組(高瀬美恵・霜島ケイ・神代創)が陣どる最上階のバーを偵察に行く。エレベーターはガラス張りでかなりポイントが高い。最上階は窓際の席以外はあまり意味がないのだが、酒飲み作家の人々は酒にいちばん近いカウンター。窓際はペア席があったりして、安く勝負に行くには好適かも。柳下毅一郎の家を見下ろしながら飲みたい人にもおすすめ。青山×治とか。違うか。

日記サイト




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