腸炎合併脊椎関節炎IBDに合併する脊椎関節炎)

潰瘍性大腸炎やクローン病でみられる脊椎関節炎は、近年まで、我が国ではまれな病気として考えられてきました。しかし、あるデーターでは合併率が約20パーセントという報告もあり、実際は軽度の症状も入れるとかなりの頻度で起こっているのではないでしょうか。
クローンや潰瘍性大腸炎に合併する脊椎関節炎には、末梢型のものとそうでないものに大別されます。

「末梢脊椎関節炎」
これらの関節炎はの炎症性腸疾患の活動期によく見られる症状ですが、一過性のことが多く、長くても一ヶ月から一ヶ月位で治癒していきます。この関節炎は、一般に膝や足の関節など複数箇所に起こります。あまり、股関節や肩関節に症状が出ることは少ないようです。なお、関節痛のみのこともありますが、発赤、熱感、疼痛をともない水か貯まることもあります。

「ASに類似する脊椎関節炎」
強直性脊椎炎のように、仙腸関節炎をともなった症状が起こることがあります。この場合は末梢関節炎のとは異なり、炎症性腸疾患の活動性にほとんど無関係に発症すると言われています。強直性脊椎炎とほぼ同じような経過をたどり、慢性化する場合もあります。強直性脊椎炎とのはっきりとした区別が難しいこともありますので、合併症やHLA-B27が陽性であるかなど考慮に入れ、臨床上に判断されることとなります。このような腸炎の活動性にほとんど無関係に発症する脊椎関節炎の症状は強直性脊椎炎の場合とほぼ同じで、疼痛は安静にすると強くなり、適度な運動により軽減されるのが特色です。治療方法としては、痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の服用するなどして痛みを抑え、運動療法もうまく取り入れて病気の進行を抑えることが大切です。なお、仙腸関節には病変がなく、脊椎炎が単独で発症する場合もありますが、この場合は急性で、強直性脊椎炎とは異なり症状が徐々に治まって行く場合が多いようです。
その他、腸炎に合併する脊椎関節炎の中には、仙腸関節だけ単独で発症してくる場合もみられますが、この場合は仙腸関節に靱帯の石灰化などの病変が対称的がみられることが特色です。
一般的に、腸炎合併脊椎関節炎の中で、強直性脊椎炎と似通った病気の経路をたどる場合には、脊椎と仙腸関節の両方に病変が見られることが多いようです。

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