#1 永遠に回り続ける数

(2006/4/5)

放送で紹介された内容

81は特別な数。
  • 1/81を計算すると、
    0.0123456790123456789...
    というように、0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 9 が永遠に回り続ける。

  • 81の各桁の数を足すと9。
    これをもとの9に掛けると、答は81。また、元に戻る。
このように、81は何をやっても永遠に回り続ける。

数学的なバックグラウンド

今回は、2つの内容が紹介されています。

一つは、1/81を小数で表した時の循環節の特徴、
もう一つは、(1) 各桁の数を足す (2) その和を2乗すると元の数と一致する、という性質。

このそれぞれの性質について解説します。


まず、1/81を実際に計算してみると、

1/81 = 0.012345679012345679...
     = 0.[012345679]

この「012345679」が繰り返されます(注:8は入らない)。

この12345679という8が抜けた8桁の数は、ひじょうに面白い性質を持っていますが、
いずれ「ゆるナビ」で紹介されるかも知れないので、今は伏せておきます。

循環小数についての解説は、『数学者の密室』  5章  循環小数に、書いてありますが、
ここで一点だけ述べておくと、循環小数の循環節の長さは必ず(分母の値−1)以下になります。
理由は簡単で、
「循環」は割算を続けていって余りの値が以前のどこかと一致したとき、それ以降が循環します。
余りの値は、割る数(この場合は分母)よりも必ず小さくなり、
これは、1から(分母の値−1)までの値しかありえません。
したがって、循環節の長さが分母の値以上となったとき、その中に同じ値が必ず存在します。
よって、循環節の長さは必ず(分母の値−1)以下になることがわかります。

上の1/81の場合、結果を知らなければ、循環節の長さは最大80となりますが、
この場合は、幸い8桁の循環となります。

81に関連して、

も特徴的な循環節のパターンを持ちます。
興味のある方は計算してみて下さい。

上の数は、9のベキ乗に関係する数ですが、9自体は3の2乗です。
この「3」のベキ乗が特徴的な循環パターンを示す場合があり、例えば、

1/243 (243=3^5, 「^」はベキ乗を表す)

は、特徴的な数字が並びます。

このように特徴的なパターンが現れる循環小数について、こちらでまとめて紹介しています。


もう一つの話題、

(1) 各桁の数を足す (2) その和を2乗すると元の数と一致する

について。

まず、これが成り立つ数は、1, 81 の2つのみです。これ以外にはありません。
これら以外には無い理由は、わりと簡単に説明がつきます。
(四角で囲っておきますので、退屈な方は飛ばして下さい)

まず、
4桁の数の、各桁の数の和の最大値は、9+9+9+9=36 ... 2桁。
よって、2乗したときの最大値は、2桁の数の2乗なので、最大でも4桁。

5桁の数の、各桁の数の和の最大値は、9+9+9+9+9=45 ... 2桁にしかならない。
よって、2乗したときの最大値は、2桁の数の2乗なので、最大でも4桁。5桁に到達しない。

よって、探査範囲は、1から9999まででよい。
また、調べるのは2乗数だけでよい。これは、1から99までの数を2乗することによって生成できる。

結局、探査対象はたったの99個で、全部調べると、1と81が条件を満たすことがわかる。


もっと一般化して、各桁の数の和をn乗して元の数と等しくなるような数を探して見ます。
やり方は上と同じ、各桁の数を足したときの最大値とそのn乗の桁数から、探査範囲を限定します。
3乗〜10乗の場合の結果は以下のとおり。

ベキ乗解(かっこ内は)
各桁の数の和
3乗1 (1)
512 (8)
4913 (17)
5832 (18)
17576 (26)
19683 (27)
4乗1 (1)
2401 (7)
234256 (22)
390625 (25)
614656 (28)
1679616 (36)
5乗1 (1)
17210368 (28)
52521875 (35)
60466176 (36)
205962976 (46)
6乗1 (1)
34012224 (18)
8303765625 (45)
24794911296 (54)
68719476736 (64)
7乗1 (1)
612220032 (18)
10460353203 (27)
27512614111 (31)
52523350144 (34)
271818611107 (43)
1174711139837 (53)
2207984167552 (58)
6722988818432 (68)
8乗1 (1)
20047612231936 (46)
72301961339136 (54)
248155780267521 (63)
9乗1 (1)
3904305912313344 (54)
45848500718449031 (71)
150094635296999121 (81)
10乗1 (1)
13744803133596058624 (82)
19687440434072265625 (85)
53861511409489970176 (94)
73742412689492826049 (97)
179084769654285362176 (106)
480682838924478847449 (117)


以下、100乗まで計算しても、それ程時間はかからないので、やってみました。
値が大きくなるので、n乗する元の数(=各桁の数を足した和)のみを示すと、以下のリストのようになります。

ふだん、ある数の100乗というのを目にすることはあまり無いと思うので、最後の1489の100乗を実際に書くと、

19474655111040951292001856858118067617714745393129451503478203719691593973808385
34552406802067666060289696960578498758238993858629429797817702000436888656662719
80080275941228958332132777322069482207651726576748098711809799154256534977294895
423823753611747218048307728215969833224967204826427956374553013884963900296001

という、318桁の数となります。この各桁の数を全部足すと本当に1489となります。
本当になるかどうか気になる方は、実際に計算して見て下さい。

ここで、新たな疑問。

1は、任意のべき乗数について解となっている。
では、逆に、解として1しか持たないようなベキ乗数は ?

これは、計算を続行するとすぐ答が出てきます。

105, 164, 186, 194, 206, 216, 231, ...


#0 数字を左右逆さまにして足す 「ゆるナビ」サポート #2 3ケタのゾロ目を斬るシャープな数

E-mail : kc2h-msm@asahi-net.or.jp
三島 久典