8.個別解から恒等式を構成する方法


b=kpとなる任意の解から、その解を含む恒等式を構成することができる。

定理1

個別解 m/P=1/A+1/B+1/C、B=kP(kは整数)に対し、
a, b, c, d, e, f, c', d' を以下のように定義する。

c := B/P
a := mk−1
b := a−(P mod a)
n := (P+b)/a
d := cn−A
e := gcd(c,d)
c':= c/e
d':= d/e
f := ke/(bc−ad)

このとき、式、

m/(an−b)=1/e(c'n−d')+1/k(an−b)+1/f(an−b)(c'n−d')

は恒等式であり、特に上記で得られたnについて、

P=an−b
A=e(c'n−d')
B=k(an−b)
C=f(an−b)(c'n−d)

となる。

証明

詳細は略。恒等式の右辺について、

< td align="left">e/f(an−b)(cn−d)
1/e(c'n−d')1/(cn−d)
1/f(an−b)(c'n−d')
(bc−ad)/k(an−b)(cn−d)

及び c=k なので、直接計算により示すことができる(証明終わり)。


さて、『5.b=kpとなる解を含むような恒等式の構成方法』では、 恒等式の探査にあたり、かなり条件に制約をつけた。
とても同値変形とは云えないものだった。

しかし上記定理により、任意のb=kpとなる個別解から、 恒等式を構成できることがわかった。

残るは、b≠kpの場合である。この場合も恒等式を構成することができるか?

結論を云うと、できる。 その方法を次に述べる。


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三島 久典