5.b=kpとなる解を含むような恒等式の構成方法


他の解(a=bまたはb=cとならない解)から恒等式を探してみる。
まず、一般の解a、b、c(ただし、m/p<1)は以下の関係式を満たす。

bについては、b<p、p<bのどちらもあり得る。
また、pの整数倍になることもあるし、ならないこともある。
この後者に着目し、ここでは、b=kp(pの整数倍)となる場合を考える。

m/P−1/B=m/P−1/kP=(mk−1)/kP

この右辺を、1/A+1/C に分解することを考える。
A、Pを一次式とする。
P=an−b, A=cn−d, e=gcd(c,d), c'=c/e, d'=d/e とすると、

(mk−1)/kP−1/A={(mk−1)A−kP}/kPA
(分子)=(km−1)(cn−d)−k(an−b)
      ={(mk−1)c−ka}n+{kb−(mk−1)d}

定数項 kb−(mk−1)d=r とおく。

(分母)=k(an−b)(cn−d)=ke(an−b)(c'n−d')

分子のnの係数=0とすると、(mk−1)c−ka=0
a=mk−1, c=kとする。
残った部分は、r/ke(an−b)(c'n−d')
この r/ke が約されて、分子=1となればよい。

ずいぶんいろいろ仮定を置いて、かなり限定してしまったが、
とりあえず、この仮定の元でプログラムを書いて、恒等式を探して見よう。

プログラムは以下のとおり。
m=4〜7
P=an−b の係数a≦100 の範囲で探して見る。

 10  for M=4 to 7
 20    for K=1 to 25:A=M*K-1:C=K
 30      for D=0 to C:E=gcd(C,D)
 40        for R=1 to K*E
 50          if K*E@R>0 then 120 else F=K*E\R
 60          W=R+A*D:if W@K>0 then 120 else B=W\K
 70          if B>A then 120
 80          if gcd(A,B)>1 then 120
 90          print A;"n-";B;":";E;"(";C\E;"n-";D\E;"),";
100          print K;"(";A;"n-";B;"),";
110          print F;"(";C\E;"n-";D\E;")(";A;"n-";B;")"
120        next R
130      next D
140    next K
150  next M

ここでは、m、kの範囲を限定しているが、基本的に制限はない。
実行結果は、m/p=1/a+1/b+1/c となるような式P、A、B、Cが順にnの多項式として表示される。
そのnに1、2、3……を代入したものが、その恒等式から生成される個別解となる。
解の方でソートをかけた結果の一覧表は次のとおり。


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三島 久典