5章 n角数(Polygonal Numbers)


○を以下のように並べる。


●●

○○
●●●
10
○○
○○○
●●●●
………

このように、○を三角形に並べていったときの○の個数を、三角数と呼ぶ。
●は、追加されたもの(i.e 追加の仕方)を示す。


今度は、○を以下のように並べる。

○●
●●
○○●
○○●
●●●
16○○○●
○○○●
○○○●
●●●●
………

このように、○を四角形に並べていったときの○の個数を、四角数と呼ぶ。


そうすると、次は五角数ということになるが、
正多角形で平面を充填するのは、正三角形、正四角形、正六角形のみなので、
五角数を定義するときは、後の定義のことも考えて、○の並べ方を考えなければならない。

解としては、上のように、直前の配列のまわりに、囲むように並べる、という方法を取る。
具体的には、以下のとおり。


●   ●
●●
12
○   ○
● ○○ ●
●      ●
●●●
22
○   ○
○ ○○ ○
● ○      ○ ●
● ○○○ ●
●         ●
●●●●
………

ここから先は、図形的に考えるよりも、純粋に代数的に定義した方が考えやすい。
r番目のn角数を得るための増分値は以下のようになっている。

 1 増分 2 増分 3 増分 4 増分の階差
3角数123364101
4角数134597162
5角数14571210223

この増分の階差より、r番目のn角数、p(n,r)を、

p(n,r)=
---
・ ((r−1)n−2(r−2))

特に、階差を s(=n−2)とおくと、

p(n,r)=
---
・ (rs−s+2)

となる。この式より0番目のn角数は0と定義する。


r番目のn角数を求める。計算式は以下の通り。

  1  2  3 
1 sn
2r=RC[1]-2(任意)
3000
411=RC[-1]+R[-1}C
52=R[-1]C+R2C=RC[-1]+R[-1}C

5行目をコピーする。
(任意)のところに何か数字を入れることにより、n角数が求められる。
例えば、3を代入すると、以下のようになる。

  1  2  3 
1 sn
2r12
3000
4111
5223
6336
74410
85515

さて、n角数については、

任意の自然数は、n個のn角数の和で表すことができる。

という定理が成り立つ。特に四角数(すなわち平方数)については、

任意の自然数は、4個の平方数の和で表すことができる。

という定理となる。この定理の成立基盤として、以下の恒等式が成り立つ。

(x12+x22+x32+x42) (y12+y22+y32+y42)= (z12+z22+z32+z42)

ただし、

z1= x1y1+x2y2+x3y3+x4y4
z2= x1y2−x2y1+x3y4−x4y3
z3= x1y3−x2y4−x3y1+x4y2
z4= x1y4+x2y3−x3y2−x4y1

恒等式について云うなら、もっとすごいのがある。

(x12+x22+x32+x42+x52+x62+x72+x82) (y12+y22+y32+y42+y52+y62+y72+y82)
=(z12+z22+z32+z42+z52+z62+z72+z82)

ただし、

z1= x1y1−x2y2−x3y3−x4y4−x5y5−x6y6−x7y7−x8y8
z2= x1y2+x2y1+x3y4−x4y3+x5y6−x6y5−x7y8+x8y7
z3= x1y3−x2y4+x3y1+x4y2+x5y7+x6y8−x7y5−x8y6
z4= x1y4+x2y3−x3y2+x4y1+x5y8−x6y7+x7y6−x8y5
z5= x1y5−x2y6−x3y7−x4y8+x5y1+x6y2+x7y3+x8y4
z6= x1y6+x2y5−x3y8+x4y7−x5y2+x6y1−x7y4+x8y3
z7= x1y7+x2y8+x3y5−x4y6−x5y3+x6y4+x7y1−x8y2
z8= x1y8−x2y7+x3y6+x4y5−x5y4−x6y3+x7y2+x8y1

ここまで来ると、すご過ぎて、なんだか悪いものを見ているようだ。


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三島 久典