るり渓よりも天狗岩 山行記 

 
  天狗岩から 
     天狗山南尾根を望む
 
          1996.11.17. 
 
 
 


 
■日にち:1996年11月17日(日)
■天気:くもり
■同行者:単独
■コースタイム:
  自宅発(11:00)〜通天湖(11:40)〜登山口・赤いプラスチック棒(11:50)〜
  690mピークとの尾根道(12:25)〜山頂(12:40-13:30)〜天狗岩(13:40-14:30)〜
  山頂(14:40)〜706mピークとの鞍部(14:55)〜706mピーク(15:05)〜
  706mピークとの鞍部(15:15)〜ゴルフ場横の舗装林道(15:25)〜登山口着(15:50)
  
【掃雲峰】 るり渓はたくさんの人出である。黄葉を見ながらの散策も良いだろうが、
るり渓を眼下に見下ろす展望を楽しみに、前から気になっていた天狗岩に行くことにした。
低山も歩きやすい季節になってきたので、多少の藪でも苦にならないだろう。
 今日は、午後からの天気が下り坂ということで、あいにくの曇り空、
何とか持ってくれればいいが...。

【登山口】  「京都丹波の山(上)」によると、"るり渓の通天湖バス停から北へ向かうと、
生活環境保全整備事業の案内板があって「いこいの森」「きのこの森」への遊歩道が
出ているが、掃雲峰への道ではない。しかし、その案内板の5、6m北に沢沿いの
山道が入っている。これが掃雲峰へのルートである。"とある。
 確かにあった。案内板のちょっと下に別荘風の民家が一軒あり、その案内板と民家との間に赤い
プラスチックの棒(高さ40cm位)が府道脇にある。ススキの中に踏み跡が沢づたいに延びている。
20・30mほど足元の悪い湿地が続くがやがて歩きやすくなる。
 ただし、何とか道かなと言う程度のものである。落ち葉が積もっており最近、人が踏んだ
形跡は感じられない。倒木も多い。背丈ほどの熊笹もある。

【迷走】 沢沿いに行くと、何と人がいた。私と同じくらいの年格好の単独行。
2、3言葉を交わし、先に行く。沢を2、3回横切り登ると、踏み跡が消えた。
(後で聞いた話では、沢の右側にあったらしい。)
   下草はないが、一面明るい広葉樹。ちよっと戻って見るが、やっぱりわからん。
仕方がない、倒木や細い木の枝を乗り越え、かき分け、とりあえず上に登る。
尾根のようなところに出た。「能勢電」の石柱がある。さてさてどっちに行こうかな。
 右(北)の踏み跡をたどることにする。次々と「能勢電」の石柱が現れる。
鞍部のようなところで山桜の木が3本ほどあった。ここからは真っ直ぐ登る。
用意してあるように、50cmほどの幅だけ木がない。落ち葉が人の気配を感じさせない
くらいに、一面に敷き詰められている。静かないい山だ。
 やがて登りが緩やかになると、山頂のようだ。さっきの単独兄さんがいた。(12:40)

【山頂での山談議】 掃雲峰の山頂は立木にはばまれて、深山はシルエットに見える。
単独兄さんと昼飯を食べながらの山談議が始まる。
 山に登り始めて30年と言う。ほう、大先輩だ。これは失礼しました。
京都在住で北山がホームグラウンド。この山へは地図にピークがあったので来た
とのこと。「京都ふるさと登山50選」という本に紹介してあるらしい。
剣尾山に亀岡側から登った話。深山へはまだゴルフ場や山頂の施設ができる前に
登ったこと。先週は、「天女が舞い降りた山/丹後・磯砂山」に行ったこと。
この山は鹿が多そう。(木の皮があちこちで食べられている。)等々
 さすがにこの季節になると、じっとしていたら身体が冷えてくる。話はつきないが
そろそろ天狗岩に向かうことにする。単独兄さんはも少し山頂でくつろぎ、
706mピークの方へ向かわれるようだ。(13:30)

【天狗岩での眺め】 落ち葉を踏み、明るいがわかりにくい道をたどる。
所々に赤いプラスチックの棒と枝に巻いた布があり、正しい道だと勇気づく。
10分位で前方の林の先に大きな岩が出てきた。横10m、高さ5m位。天狗岩だ。
その昔、この岩の上で雨乞いの火を焚いたという。岩を巻くようにしてよじ登る。
 素晴らしい眺めが広がった。紅葉の山々。正三角形の剣尾山、高原を感じさせる
半国山、かすかな山並みは長老ヶ岳だろう。多紀アルプスも顔を出す。すぐ前に
かっこいい形の金山、トンガリが目立つ胎金寺山。また次の山行を誘われる。
コーヒーを飲んで展望を独り占め。最高の贅沢を過ごす。来て良かった。

 
  706mピーク南東鞍部の 
        落葉広葉樹林
 
          1996.11.17. 
 
 
 
【落葉広葉樹林】 帰りは掃雲峰の山頂に引き返し、東へ伸びる踏み跡をたどる。
葉を落とした明るい林の尾根道。所々で日射し越しの黄色い葉を仰ぐ。いい道だ。
アップダウンを2、3度過ぎると706mピークとの鞍部に出る。右(北)に1m幅の道が
下っている。この辺の林は前出の「京都ふるさと登山50選」という本の表紙に
なっているそうだ。確かに明るい森で、足元は落ち葉の絨毯だ。

 (14:55)時間があるようなので、尾根道を真っ直ぐ行って706mピークをピストンすることに
した。この道も「能勢電」の石柱がある。苔むしているが、無いより心強い。
 706mピークと思われる所には赤白のペンキが剥げかけたポールがあった。
「興山」とマジックで書いてある。
展望は立木にさえぎられてゼロ。この先は...と歩いてみるが、獣道のような
感じでわからんので、引き返す。ピークを過ぎ先ほどの鞍部に戻る。
 うーん、やはりこの辺の林はきれいだ。

【るり渓】 706mピークとの鞍部から南に下りて、るり渓ゴルフ場横の林道へ向かう。
ただここも踏み跡が不明瞭。明るい林なので、うろうろしながら下りるとそれらしい
ところを見つける。最後まで迷わせてくれる山だ。やがて湿地に出、沢沿いに
下るとため池が見えてくる。山沿いに巻いて砂利道が現れ、ゴルフ場横の舗装林道に
辿り着く。黒いゲートを回る。有刺鉄線もあるので注意。後はゴルフに興じる人を
見、るり渓の行楽客とすれ違い、車を置いた登山口まで歩き。
 るり渓も紅葉でいい頃だが、その上の天狗岩からの眺めと、落ち葉が絨毯のように
広がる最高の山行だった。大川内集落まで車で下り、天狗岩を見上げたスケッチを
一枚。帰路の能勢路は深山・剣尾山・三草山...みんな晩秋の装い。


  掃雲峰(天狗山)について  / 金山について  / 妻恋地蔵さんの深山北面について   

  山のリストへ  / ホームページへもどる


1996.11.30. BY M.KANE