雨の晩秋 北摂・深山北尾根             

 
深山北尾根にて 
■目的地:深山(790.5m)<山域:北摂・篠山市・能勢町・丹南市>
■2.5万図:福住・埴生
■日にち:2006年12月10日(日)
■天気:雨
■同行者:単独
■コースタイム:
  ささやまの森公園 事務所 発(9:30)〜流れ尾(9:50)〜胎内コグリ(10:40)〜庫阪峠(11:00)〜
  船谷山(11:10)〜深山山頂(11:30-14:45)〜船谷山(12:15)〜庫阪峠(12:25)〜扇ナリ(12:45)〜
  苔の沢(13:00-13:05)〜ささやまの森公園 事務所 着(13:30)

 天気は良くない。でも、無性に歩きたい。午後から回復する予報に期待して篠山へ入る。
本来の予定は、るり渓側の登山口から南峰を経て晴天の北尾根へ縦走することだった。しかし、
南は晴れていても、能勢から北へのぼるに従い怪しい雲行き。天王に入ると完全に雨。
当初計画をさらりと捨てて、ささやまの森公園から軽く回ることに変更。

 公園は季節外れで静まりかえっている。この雨ではさもありなん。がらんとした駐車場に車を駐め、
スパッツを着けてカッパを着る。雨の深山は妻恋地蔵さんとのオフを思い出す。その時連れて行ってもらった
庫阪峠近くの胎内くぐりという岩。行けるのなら今回も行ってみようと思う。

 谷の歩道を庫阪峠へ向いて歩いていく。モリアオガエルの池を過ぎて植林の中となる。植林の幹が
並ぶ影の向こうに茶色の木の葉で埋められた斜面が見える。間伐してあって明るく見える。ついつい
引き込まれてしまい、植林を横切り、沢を渡って斜面に取り付く。真夏の夜、窓ガラスの虫に飛びつく
蛙のようだ。
 
間伐の雑木斜面 
 程よく湿った落ち葉は滑らず登りやすい。鉄塔の唸りが頭上で聞こえた。意外と急な斜面だが
こんな所を歩くと、なぜか嬉しくなってわくわくする。やがて尾根に出ると仕事道にしては大きな踏み跡が
上っていく。良い感じの雑木林の中。木の階段も少しあったりすると「黄葉樹の散策路」という表示の
丸太がある。へぇぇ、こんな良い遊歩道もあるのか。後で地図や資料を見ると「流れ尾」と呼ばれる
尾根である。登りも緩やかで落ち葉の感触を踏みしめながら心地よい歩き。

 散策路を右に分かれて少し細くなった尾根道を登る。さらに細くなり、急な登り。素朴な木の階段が急になる。
右の谷の様子からして、そろそろ庫阪峠への巻き道が出ないかなと思っていたら、「胎内コグリ」を指す
道標があった。至れり尽くせり。地図読み不要。(^^;;
 
胎内コグリ分岐 
 落ち葉と霧で幻想的な谷をいくつも巻く。そろそろかな、そろそろかなと巻く。この次には出てくるだろうと
思わせる岩の尾根。苔むした岩が雨に濡れ霧にまかれて怪しげな雰囲気が漂う。まだ出てこない。静かな
山中に自分一人かと思うと、白い靄にたたずむ木々も神々しいものである。5mはあろうかという高さの
岩が現れた。上の方は霞んでいる。回り込むと、目指していた胎内コグリである。説明板もできていた。
 
胎内コグリの岩を見上げる 
 この先もさらに大きな谷を巻く。落ち葉が一面を覆って素晴らしい景観が続く。広い谷になったなと思ったら
庫阪峠の脇に出た。天王側のもやった林を眺めて、木の階段を登っていく。晴れていれば背後に山並みが
出てくるが今日はまっ白。船谷山の手前で左の谷に下り落ち葉の原を堪能する。モミの木がガスに浮かんで
主のような雰囲気。

 船谷山からはいつもの北尾根を山頂へ向かう。手前のササの登りは鹿の踏み跡か、ぬかるんでいた。
こんな雨では誰もいないだろうと思ったら3人先客。昼食の用意をしていたら先に下りて行かれた。
ラーメンをすすりながら回りの景色を眺める。時折割れる雲の合間から明るい下界が見えて胎金寺山が
ポッコリ現れる。天王から北尾根の方もガスが動くと冬枯れの絨毯。
 
山頂から天狗山北尾根 
 腹に入った所で久しぶりに無線をしてみよう。と思ったら小雨に風が出てきた。雨量観測施設の小さな
庇に入る。DQKさんから返事をもらったが良く聞き取れなかった。しばらく呼ぶが応答なし。
いよいよ風は強くなり雨粒も大きい。こりゃ堪らんなと、撤収しますと告げた後林へ逃げ帰ることにする。
展望の良い山頂はこんな時につらいものです。後で聞くと、DQKさん達は丁度山頂手前の急登なので、
10分待ってということだったそうだ。緯度は同じ位の中町・大海山だが深山は東にある分、天気の回復が
遅かったようだ。

 横殴りの風を時折受けつつも北尾根の林の中は多少ましの感じ。船谷山から先も北尾根を辿ろうかと思ったが
雨に押されて庫阪峠へ下りる。ここまで来ると風はないし雨も小降りになる。落ち葉の広い谷を堪能しながら
下りていく。林の間からひと株のモミジが太陽のような葉を残していた。山頂の雨は散々だったが、雨の中
しっとりした雑木林を堪能できた心地よい歩きでした。
 
川原谷源頭 


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2007.1.2. BY M.KANE