柴田賀盆氏インタビューである。
サターンRPG「エアーズアドベンチャー」を軸にして展開している。
第2回目である今回は、物語の土台となる部分を話題の軸にして、作品に迫る!

一番最初あったものについて聞く


一番最初は物語があったのですか?

セリフとか場面の説明があったんです。

それは絵コンテみたいな?

いや、全部、文章。
絵も描けないし、絵のほうで規定するのもまずいと考えるし。
キャラクターにかんしても、どういう装備をしているか、どういう服装をしているとかっていう具体的なことは書かなかったの。
貴族の美男子で、モテモテで、ようりょうが良くて、みたいな抽象的なことだけを書いて。


柴田賀盆氏

キャラクターについて聞く


キャラクター設定って独特ですよね。それは狙って、というより、自分のやりたいのがたまたま、そうだったからっていう感じですか?

そうそう、本当にそういう感じ。
ゲームの世界だけで見ちゃうと変わってるけど、もっと広い、映画とか文学の世界で考えると、別に特異ではないですよね。


そのあたり、さっき話してた(インタビュー前にもたくさんお話したのである)シェイクスピアとか影響あります?

やっぱり影響受けてると思う。
古典の良さ、スタンダートの強さみたいな。


エアーズを深く知るために、何かおすすめ、みたいなのはありますか?

ダイレクトに影響受けているのは、「夏の夜の夢」ですね。
パックっていう妖精とか、草を取り違えるエピソードとか。
ヘンリーのモテモテぶりは、「カサノバ回想録」とか参考にして。
カサノバだと、何人の女をものにして、でもちゃんと、あとあとのめんどうもみるんですよ。
でも、そのへんは現代風にやり逃げにしちゃったりして(笑)。
もろに時代劇になっちゃうとフットワーク重くなるので、そのへんは現代風にアレンジしてます。

シェイクスピア(William Shakespeare・1564-1616)
イギリスの劇作家&詩人。シェイクスピアの生涯は謎が多く、実はフランシス・ベイコンだという説や、作品に暗号が仕掛けられていて予言になってるだの、ムーな話にもことかかない。

「夏の夜の夢」(A Midsummers nights Dream・1598-1599)
森の中で夜通しバカ騒ぎが起こるシェイクスピアの作品。MidsummerNightとは洗礼者ヨハネの日(6/24)の前夜のこと。イギリスではむちゃむちゃ暑い時期で、当時の人々は火祭りを行い夜通しバカ騒ぎをしたらしい。うまいタイトルである。1日喪失してしまうトリックや劇中劇などの凝った作品らしい。私は未読。

「カサノバ回想録」
もてもての話らしい。


時代設定について聞く


中世を眼中に入れてる設定ですか?

当初は中世というより、近世17世紀ぐらいだったんですよ。
14世紀だとそれぐらいだと、まだちょっと、きらびやかでないから。
ヨーロッパのきらびやかな、ぎりぎりの所まで爛熟した時代をだしたかったんですけど、そこまで設定しきれなかったっていうのと、あんまり歴史的雰囲気を出すと時代劇になっちゃうっていう怖さがあったので、完全に実現はできてないですけど。
でも、もうちょっと世界観を出していったほうがよかったのかな、と。

この世界とはまったく別の世界、っていうファンタジーではないですよね。

現実の中で起こることで、ファンタジーとどう接点を求めるか、ってところで。
錬金術とか秘密結社とか、そういったものを使って。
もうひとつの世界があるんですけど、そこはすごくファンタジーの世界にしたかったんですよね。
ファンタジーもののすごいところってありますよね。
必ず大きい設定というか、一行目からぶっとんじゃってるようなところがありますよね。
そういう世界と現実的な世界の往復とか影響とか、そういう道具立てを用意していて、そこの空気っていう概念を出してきたんですけどね。

そのあたりは、どれくらい実現できたと思いますか?

ほとんどできなかったですね。
エピソード的に弱かったってのもあるし、ゲームを考えると、ゲームを解くのに直接的に関係ないセリフとか、どんどんそういうのを落としちゃって。
そのへんはニフティのフォーラムとか読んでると、そのへんが不満らしいですねぇ、やむを得ないかな。


中世
「広辞苑第三版」を見ると、いきなり、「中ごろの世」と説明されている。ぷんすか。いや、後にちゃんとした説明もあるけどね。ゲルマン民族大移動の5世紀からルネッサンス期の15世紀ぐらいまでの期間のこと。封建制度のころね。


近世
だいたいルネッサンス以降、市民革命・産業革命まで。

錬金術
卑金属から金銀などの貴金属を作る術。ヨーロッパでは、14世紀くらいから16世紀ぐらいまで盛り上がったらしい。
エアーズアドベンチャーでは、他に数秘術などもモチーフとして登場する。


以上、柴田賀盆インタビュー第2回目であった。
次回、最終回!

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インタビューも佳境に入るぜ、乞うご期待。
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