丸太の加工9
階段の加工

ここでは階段の製作を解説します。階段もロフトの床面の高さが決定するまで、正確な寸法を出すことができません。

階段はログハウスの中でひとつのポイントになり、斬新なデザインのものを作りたくなりますが、安全性・機能性を犠牲にすることのないように心がけて作ります。家は大人だけが使うものではなく、小さな子供にとっても危険のないようにしておきたいものです。階段の製作は丸太を使うと板材で作るより何倍もの手間と費用がかかりますが、セルフビルドの場合も是非丸太の階段に挑戦してください。 たとえ、十分な加工ができなくても、必ずログハウスの雰囲気をひきたてます。また、階段の勾配は部屋のスペースや高さによって決められてしまうのですが、踊り場を作ってかね折りにしたり、一部を回り階段にするなどの工夫をして、なんとか勾配が45度以上にならないようにします。

また、セトリングに対する処置はいろいろ考えられますが、階段の形式にあったものを選びます。しかし、どんな方法を取ってもセトリングによって階高が変わるのですから、最下段または最上段のけ上げの高さで対応していくか、または勾配を変えて対応していくしかありません。

建築基準法での住宅の階段の寸法規制は階段幅75センチ以上、踏みづら15センチ以上、け上げ23センチ以下ですが、 実際にこの寸法ぎりぎりの階段を作ると図の様な勾配になってしまい、大変使いにくい危険な階段になってしまいます。また、直階段は大きな家具の上げ下げには便利ですが、万一転倒した場合、一気に下まで転がり落ちてしまう危険性があるので、踊り場のあるかね折り階段が一番安全ではないかと思います。

これが、今回の階段の屈曲部です。ツーバイ材と本ざね加工された厚みのある床材で作りました。

上の写真の屈曲部にかけられる階段の側板です。踏み板の幅を大きくするために、壁側にくる側板は板にして、見えるほうの側板に丸太の半割りを使うほうが良いでしょう。丸太の側板には基準面がありませんので、定規を使って穴を掘ることができません。特別な治具を作ればいいのですが、ふつうは造作丸鋸と小穴カッタ?をフリーハンドで使って掘ります。不慣れな人はガイドをビス止めするなどの方法で失敗のないように加工しましょう。また、施工後の丸太の狂いやねじれを考えると、安全のため、ほぞ穴の深さは20ミリ程度は欲しいものです。

この半割りが踏み板になります。写真は芯墨を打ったところです。このような丸太の加工は芯墨をうつことからはじまります。芯墨を基準に両端の直角を出しカットします。踏み板の裏側はけっこう自由にデザインできるので、いろいろ考えてみるのも楽しみです。

今回は両端の胴付部分をスカーフにしてみました。

踏み板の前面は欠けやすいので、ある程度の厚みになるように丸鋸で切り落としてあります。

階段は建て方のときにクレーンで吊り上げて中に入れ、仮止めしておきます。階段があると、その後のロフトの仕事がとても楽になります。汚れないように踏み板を養生しておきます。