丸太の加工10
小屋組みの加工と解体

小屋組みは トラス構造と束立て構造にわけられます。トラス構造は洋風、束立ては和風の雰囲気になります。

また、ログハウスでは設計上の寸法と、実際に丸太を積んでみるまでわからない寸法があります。これは、径や曲がりのそれぞれ違う丸太という部材を使うために仕方がないことです。たとえば、小屋組みでは桁になる丸太を積んでみて芯での高さ(今回は120ミリ)が決まるまで、棟木の頂点の高さが決定できません。また、棟木になる丸太を加工するまで、棟木の成(棟木の高さ、大体210?230ミリくらいになる)も決められません。ですから、ログハウスでは、桁と棟木が決定して、始めて小屋組みの各寸法がでます。

下に妻梁側(屋根がかかる方向の壁芯間)7メートル、屋根勾配8寸、束・母屋・合掌の幅が200ミリのときの各寸法を出してみました。合掌の長さなどは記入してありませんが、下図の寸法から、計算で出すことができます。(数字などを見やすくするため、縮尺は適当です)

小屋組みはトラス構造と束建て構造のどちらにしてもかまいませんが、ここで各構造の解説をしておきます。 トラス構造は真束が引っ張り材になります。つまり、屋根の荷重をまったく受けません。屋根の全荷重Pは合掌の両端で1/2Pづつ分けて受けます。真束は逆に下部材を引っ張り上げている部材ですから、強度さえあれば丸太ではなくロープでもいいわけですし、下部の材料を引っ張る必要がなければ真束そのものも不要になります。しかし、建て方のときに真束があったほうが楽にできます。

また、トラス構造では全荷重を両端で受けているため、下部の水平材(陸梁)に曲げの荷重がかからないために、細い部材でも張り間を大きくとることができます。

 

対して束立て構造は屋根の全荷重Pを各束で1/5Pづつ受けることになります(実際はもう少し複雑ですが)。ですから、梁は曲げ荷重をうけ、これに耐えるためには部材を太くしなければなりません。また、張り間を大きくとることも難しくなります。しかし、束立て構造では合掌の部材がないだけ出入り口の開口の高さをとりやすくなりますし、加工も楽になります。



今回は少し特殊ですが、棟木のないかたちのログハウスです。写真では母屋の加工をしています。これも丸太の木口に墨つけをして、水糸を張って加工します。

ランバーメーカーを使って丸太をタイコにしています。ランバーメーカーはチェーンソーを使った製材機で、墨つけが不要なので、柱や束の加工などにはとても役にたちます。

これが、ランバーメーカーです。台車に載ったチェーンソーが、移動していきます。また、バーの先も溝を通っていくので、刃が曲がることもありません。いろいろな治具を作って使用しています。

ランバーメーカーでタイコにした丸太の平面を5寸ガンナで仕上げ、芯墨をだしてから束のほぞを加工しています。この加工では造作丸鋸をうまく使うとより早く、正確に仕上がります。また、壁の仕上げ材を飲み込む溝を掘っておくと、内外装とも楽になります。

完成したログ壁のほうも解体にはいります。電気穴や通しボルトの穴を開けます。このとき、下の丸太に穴の跡がついたのを確認してから、丸太を一本づつばらしていきます。電気穴などはドリルの逆転をなるべく使わないようにして、穴のなかの屑を残らず外に出してしまうように注意します。逆転を使うと、屑を穴の中に残してきてしまいます。わずかな切り屑でも残し、雨に濡れたりすると中で膨らんで穴が詰まってしまい、まずボルトや電気コードは通りません。また、チェーンソーが入らないような小さな開口部の加工など、組んだ状態では加工しにくかった部分もこのときに加工します。

解体の終わったログです。現場に搬入するまで、シートをかけて養生し、汚れやカビにきをつけて保管します。このときまでに一度は塗料を塗っておくと汚れるのを防ぐことができます。