丸太の加工8
開口部の仕上げ、ログエンドのカットと磨き

丸太をすべて積み終えたところです。開口部は上部のみがカットされています。これから、開口部やエンドの仕上げに入ります。

窓の仕上げです。ヘッダーを載せる前に加工した上部の丸太の墨をおろしてカットします。このときも視線と体の中心をチェーンソーのバーの切り進む面をそろえるような気持ちでいます。墨に合わせようとするよりも、自分のおへそを真直ぐ沈めていくような感覚でカットすれば、ほとんど狂いはありません。

次に窓台の平面をだします。窓台の高さで注意する箇所はキッチンとトイレです。キッチンはシンクがくるので、最低でも90センチの高さが必要です。また、上部には吊り戸棚がつく場合が多いので、ヘッダーの高さにも注意します。トイレは110センチ以上の高さがないと安心?できません。丸太の高さによって、具合のよい平面がでないときは、設計上の高さより施工上の高さを優先します。

最後にキーウェイを掘ります。キーウェイの掘り方は1?4の順で切りすすみ、最後に底に残った部分を刃先で削りとります。このとき、チェーンソーのキックバックに注意してください。この写真は3のカットをしているところで、チェーンソーが体より少し左に振られています。

ログエンドのカットが終わったらサンダーで丁寧に磨きます。ログの磨きには30?40番のサンディングディスクがちょうどよいようです。埃がすごいので、防塵マスクをするようにします。一人でこの作業をすると、大体この大きさのログハウスで一日半はかかります。

磨き終えたログエンドに塗料を塗ります。塗料は塗膜を作らない撥水性の塗料を使います。これは、丸太の呼吸を妨げないようにするためです。特にログエンドは水や汚れを吸収しやすいので、磨いたらすぐに塗料を塗っておきます。塗料が乾いたのをみはからって、ここに布製のガムテープを貼り、マジックで合番を書いておきます。

内部の間仕切り壁の飲み込み溝を作っておきます。これは、建て前の後で、現場でおこなってもよいのですが、今回は現場での仕事を楽にするためにログサイトで加工しました。

ログ壁の加工がすべて終わりました。丸太の皮剥きからここまで作るのに大体80?100人工くらいはかかります。つまり、毎日5人で仕事をして20日間ほどかかるのです。慣れない人が、まったく一人でやろうとすれば、1年近くかかると思います。

アーチを奇麗につなげるのにもかなりの経験が必要になります。アーチの加工で特に注意することは、丸太一本一本の曲面を決して強くしないことです。チェーンソーでカットするときは、曲面というより平面をだすくらいの気持ちでいるほうが失敗は少ないようです。

ログエンドや開口部に合番をつけて、解体を待つばかりになったログです。合番は化粧面にはガムテープを貼り、隠れてしまう開口部などは、じかにマジックで書きます。丸太屋では、合番は玄関側右からA-a,B-b,C-c 手前からあ-ア、い-イ、う-ウ 下から1、2、3、4?というようにつけています。たとえば、一本の丸太の木口にはA-3、反対側の木口にはa-3というように合番がつきます。このように必ず丸太の両木口に合番をつけます。

これは、建て方のときに、搬入された丸太の山から必要な丸太をすぐに探し出せるようにするためと、クレーンで吊り上げられた丸太がどこに、どちら向きに載るのかすぐに分かるようにするためです。