丸太の加工5
開口部とヘッダーの加工

積み重ねてきたログ壁。皮剥きを終えた丸太を使って、この高さまで積み上げるまで、3人で一週間位かかります。なるべく無駄の出ないように、開口部には丸太は積まれていません。一人で皮剥きから始めてここまで作るにはおよそ3ヵ月はかかるでしょう。もう、キッチンの窓など、高さが低い開口部にはヘッダー(まぐさ)が載ります。開口部の加工をすべて後に回すと仕事が大変になるので、ヘッダーを載せる前に、開口部の上部の2、3本の丸太のキーウェイを彫るなどの加工をすませてしまいます。開口部全部を仕上げてしまう必要はありません。足場などが組まれているため、開口部の下部はカットができません。ここでは、ヘッダーに絡む部分だけ加工すればよいのです。

まず、図面より開口部の正確な位置と寸法をひろい、芯墨に出します。つぎに、芯墨に差し金をあてて、水平器を使ってその墨を丸太の側面に回します。両側に墨を回したら、この三点を差し金を曲げて結びます。これが、ログ壁に対して直角な開口部のカットラインになります。

開口部をカットしたら、次にキーウェイを掘ります。キーウェイの幅は、やといざねの幅になります。両側のカットは建具の枠幅に合わせます。

最終的な縦枠回りの仕上がりはこの断面図のようになります。ハッチングのかかった板が建具の枠材とサイドの化粧材です。点てんが入っているのがコンパネ、斜めの線が一本入っているのが2*4(ツーバイフォー)材です。枠材はコンパネと2*4材とで組まれたT型の材(Tバー)に留められているだけで、丸太の部分には留められていません。このように、丸太はTバーをはさみこんで、滑るようにセトリングしていきます。

開口部をカットしてから、ヘッダーになる丸太を置きます。ラフスクライブをして、丸太をセットし、開口部のキーウェイなどの墨をすべてヘッダーになる丸太にうつします。ヘッダーの下部の平面は窓台から、(建具枠の高さ+セトリングスペース幅+スクライブ幅)の高さになります。

これが、ヘッダーと建具上枠の断面図です。枠とヘッダー下部との隙間がセトリングスペースです。これは、枠が絡む丸太一本あたり1センチと考えれば十分でしょう。φ30センチの丸太でログを積んでいるときには、窓の高さが90センチならば、およそ3センチのセトリングスペースが必要になります。

違う場所のヘッダーなので、開口部の両サイドがスカーフになっています。このように、ヘッダーの加工方法も様々ですが、基本的には建具枠が丸太に掘られた溝(キーウエィ)にはめ込まれていればよいのです。

ヘッダーが載ったところです。これは浴室の窓です。中はフルユニットのバスルームになり、ログ壁はすべて隠れてしまうので、室内側の化粧板の部分の加工はなされていません。

アーチ部分のヘッダーの加工です。ヘッダーになる丸太を載せる前に、両側のカーブを決め、カットしておきます。それから、丸太を載せてラフスクライブを終えたあとに、うまくカーブが連続するようにあたりをとります。

加工を終えて、アーチ部分のヘッダーが載りました。

これで、すべての開口部にヘッダーが載り、ログ壁がすべてつながりました。