丸太の加工4
ノッチとグルーブのカット

二段目を積み始めます。各ログ壁の高さがある程度そろうように、太さを選んで下段の丸太とは元末が逆になるように積みます。また、出入り口などの開口部は丸太を切って積むほうが材料の無駄がありません。また、基本的には外壁になる部分は丸太の曲がりが外側になるように(外ぶくらみ)に積みます。

下段の丸太との間隔が一定になるように(50ミリ前後)一度ラフスクライブをします。これは、丸太の姿勢を直すだけでなく、本番のスクライブ幅が小さい方が正確にスクライブできるからです。

ラフスクライブの幅のラインを一回り大きく切るつもりでカットします。高さのラインは切り過ぎないようにします。ラフを切り終えたら、再び丸太を元に戻して、姿勢や位置を揃え本番のスクライブ幅を決定します。これは下段の丸太との間隔が一番大きなところで、約8センチのグルーブ幅ができるように決めます。グルーブのスクライブ幅は60?70ミリになるはずです。この幅より2?3ミリ小さい幅がノッチのスクライブ幅、3?4ミリ大きな幅がエンド(家の外部にとびだす部分)のスクライブ幅になります。

スカーフの墨です。まずノッチのスクライブライン(緑の線)の頭より10ミリくらい下に長さ40センチの水平線を引きます。次に丸太の中心線より4センチ離れたところに同じく40センチの平行線を引きます。そこから25センチのところを頂点とした二次曲線で二本の直線を結びます。

本番のスクライブが終わったら、一寸のノミでスクライブラインをスコアリングします。これは、チェーンソーでラインぎりぎりまでカットするときにバリがでないように、前もって木の繊維を切っておくのです。

一番最初にグルーブのラインの内側ぎりぎりを丸太の中心部に向かってカットします。この赤い色の線のカットです

次に、グルーブの底をさらうように青線で示したカットをします。

最後に緑の線で示したカットでグルーブの断面がW型になるように仕上げます。

家の外部に突き出るログエンドの部分は丸太の木口のグルーブがそのまま見えるので、W型ではなく、U型に仕上げます。家の内部でも、建具が入らず、そのままログエンドが見えるところはU型にします。

次にノッチの加工です。まず、ノッチの中を大きく欠き取ることを考えます。最初に片側から、ほぼ中央に切り込みを入れます。次に右側のスクライブラインより3?5ミリほど内側をカット、最後に左側をやはり、スクライブラインより3?5ミリほど内側をカットします。これは、左右順序が逆でもかまいません。丸太の片側が終わったら、今度は反対側を同様にカットします。全部で6回のカットを終えたら、玄能でポコッと叩いて欠き取ります。

大きく欠き取られたノッチの内部です。

次に仕上げに入ります。今度はスクライブラインぎりぎりをチェーンソーのバーで撫でるようにカットします。主にバーの背を使うと切りすぎも、バリを出すこともなく仕上げることができます。

特にノッチのカットは、チェーンソーのバーの切り進む平面と同じ平面内に顔をおいて、カットラインに視線を合わせることが必要です。

カットが終わったノッチ。ノッチの内部はお椀型に窪んでいます。最終的には、ここに断熱材が入ります。また、サドルノッチでは、ノッチの頭の部分は7ミリほど深く切り込みます(スクライブラインは赤い線です)。これは、下段の丸太が痩せたときに、頭がついてしまい、ノッチの両側に隙間ができることを防ぐためです。

四方反り鉋でノッチやグルーブの仕上げをします。

完成した丸太。ログエンドの部分はU型のグルーブになっています。

ノッチの頭の部分に7ミリほどの隙間ができています。

下の丸太の頭が高すぎて、ノッチの欠き取りが大きすぎる場合は、写真のようにノッチの内部を残す方法もあります。特にウェスタンレッドシーダーのように、テーパー(丸太の元末の差)が大きい場合はこのような加工が必要になるときがあります。

これは家の内部側のログ。ここには建具が入るので、W型のグルーブは見えなくなります。

これが、外部のログエンド。きれいに見えるように、U型グルーブになっています。なお、スクライブ幅が家の内部の部分より、3?4ミリ大きいので、上下の丸太の間には隙間ができます。これは、丸太が乾燥したり、圧縮されたりして沈んでいく(セトリング)ときに外部の丸太が先にくっついてしまって、肝心の内部のログ壁に隙間ができることがないようにするための逃げです。