私の読書の時間

カビの常識 人間の非常識<2003.5.27>
 井上真由美著
 平凡社新書 平凡社
 ISBN4-582-85149-5
 
 カビというと、なんだかきたないものや害のあるものと思いがちであるが、納豆やチーズ、漬け物などの発酵に使われていたりと、実は役に立つものでもある。とはいえ、風呂場の片隅に巣くってしまった黒カビや、冷蔵庫の奥から青カビが生えたものを見たときはやはりうんざりする。この本は、カビのプラスチックやアルミまで腐食させてしまう生命力とその害を防ぐ方法や、何でもかんでも殺菌してしまう昨今の状況を憂い、実際はひとの皮膚などにもたくさんの菌がおり、それらが均衡を保っていることで私たちの健康が守られていることなどが書かれている。衛生と不衛生とはなにかという常識を見直すために一読してみれば?
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電脳漫画技研<2003.6.2>
 山本直樹、古屋兎丸、福山庸治、やまだないと、フレデリック・ボワレ著
 『MANGA EROTICS』編集部編
 太田出版
 ISBN4-87233-729-8
 
 アニメーションもいつの間にか、セルを使っているものが少なくなって、一見セルアニメに見えても実は、コンピューター上で彩色、背景合成された画像のものが増えてきている。で、マンガというと、原稿用紙の上質紙かケント紙にペンで描くという固定観念がどうも抜けきらないのだが、これもコンピューターを使って原稿が作成されている場合があるのだ。そういえば、全部コンピューター入稿というのを表紙に謳ったマンガ誌を本屋で見たことがあるような気がする。
 さて、とはいっても作家によって、コンピューターをどう利用するかというのはいろいろと違っているのだ。わかる気はする。マンガを描くのに最適なソフトウェアは存在しなかったので、それぞれの作者が試行錯誤して自分にあった手段を「開発」しているからだ。それに作家によって、紙で描いていたときと同じイメージ(結果)を得ることに重点を置いていたり、コンピューターでしかできない表現を使うことに重点が置かれていたり、作家のスタンスや考え方がそこにも現れているようで、そのテクニックの紹介とともに興味深い。
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考具<2003.6.3>
 加藤昌治著
 TBSブリタニカ
 ISBN4-484-03205-8
 
 筆記体で「考具」。そして、その下に言葉を強調するように赤で2本線が引かれいる。シンプルで、知的な何かを刺激してくれそうなそのカバーが魅力的。内容も、それほど斬新でもないような気もするけれど、思考や知識を刺激してアイデアに持っていく作者の方法論が独特の語り口で語られる。ちょっと、アイデアに詰まったときに手にとってみてはどうだろうか。
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SE中年記<2003.6.8>
 北村よヽみ著
 アルファポリス
 ISBN4-434-02809-X
 
 前に勤めていた会社が倒産して失業した著者が、台湾系の会社に就職して、その会社でのさまざまな出来事、ひととの出会い、外資系であるから実感できる外国人との文化の違いなどなど。しかし、書名にもあるようにSEなんだけど、コンピューター業務に関する内容はほとんどなくて、というか仕事も実際あまりなかったようで、コンピュータ業務以外の仕事の比率がどんどん高くなっていって、最後はSE引退を考える。
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自転車ツーキニスト<2003.6.15>
 疋田智著
 知恵の森文庫 光文社
 ISBN4-334-78226-4
 
 WAVE出版から出ていた『自転車通勤で行こう』が加筆修正され、改題、文庫化された。著者が自転車通勤を始めたいきさつや、自転車通勤のノウハウ、さらには自転車にまつわるいろいろなお話しがまとめられ、なかなか熱い本である。加筆修正により古い内容には著者が注を入れていて、執筆当時と現在の差を知ることが出来てそれはそれでよいのだが、注がなければ、すなわち『自転車通勤で行こう』はもっと熱くてインパクトがあったことだろうと思う。私も自転車通勤をしようかとちょっと思っているのだが、勤務先に自転車を止めるところがないのがなぁ。
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