■私の読書の時間
横田順彌著
ジャストシステム
ISBN4-88309-450-2
SF作家であり、古書収集家である著者が、明治・大正時代の古書から、科学・SF的、あるいはハチャメチャな内容を紹介する。もとは、オンラインマガジン「週刊 波乗王」に連載されていたものをまとめたものとのことだが、連載当時のことはわたしは知らない。さて、明治時代のひとの発想と、横田順彌氏の独特のハチャメチャ調の文章をお楽しみあれ。
●墜落!の瞬間 ボイスレコーダが語る真実<2002.7.8>
マルコム・マクファーソン編著 山本光伸訳
ヴィレッジブックス ソニー・マガジンズ
ISBN4-7897-1881-6
原書名は「THE BLACK BOX」。墜落した航空機のブラックボックスに記録された音声の筆記録を集めたものであり、事故の状況や原因に関する記載は、最小にとどめられ、また、著者のコメントも淡々として短い。あくまで、本書の主役は、筆記録なのである。墜落寸前までの、おそらくは日常的な会話。制御を失いつつある、あるいは失ってしまった機体を必死にコントロールしようとする乗務員の会話。突然潰えてしまう、その瞬間までの記録はもの悲しくもあり、感動的でもある…。
●並木橋通りアオバ自転車店 第3巻<2002.7.15>
宮尾岳著
YOUNG KING COMICS 少年画報社
ISBN4-7859-2084-X
小さいけれど、勝ち気なおねえちゃんとミニベロの物語、『ミニミニ・スプリンター』。白いマウンテンバイクに乗った、実は身近にいた『白馬の王子様』。少年時代の悲しい思い出と、今の自分の『忘れものにサヨナラ』。暴れ馬自転車、ロデオをジュリエットの前で乗りこなすことができるか、『ロデオとジュリエット』。折り畳み自転車で進む恋物語、『三角形の誘惑』。彼女を自転車に…、夏の恋物語、『夏の残像』。できちゃった、男のけじめを『リヤカーの花嫁』。一話読み切りが絶好調。
坂田靖子著
PHPエディターズ・グループ
ISBN4-569-61991-6
坂田靖子のエッセイ・あまりほかには収録されていないマンガを集めた本。著者の生活感、生活そのもの、食べ物のの話、映画、漫画家生活などが伺え、作者の作風と照らし合わせてなるほどと思ったり、意外だと思ったり…。のほほんとした作風からは、あまり想像しがたいけれど、原稿締め切り前の修羅場もちゃんとなされている(?)のですね!
●遙かなる俊翼 日本軍用機空戦記録<2002.7.22>
渡辺洋二著
文春文庫 文藝春秋
ISBN4-16-724911-1
小学生のころ、動物図鑑や昆虫図鑑と並んで、世界の軍用機とか第2次世界大戦時の日本の軍用機などの航空図鑑が大好きだった。たくさんの航空機が並べられて、そのスペックや用途、開発や試作機から正式採用になるまでの過程、ライバル機との性能比較などを読むのが大好きだった。けれど、そういうものを読んで楽しんでいるときには、軍用機が戦争の道具であることを半ば忘れているというか、意識にあがっていない。スーパーカーブームのころはわたしは年齢が上がり過ぎていたためもあってブームの外だったが、スポーツカーのスペックを見て楽しんでいる子供のようなものだった。実際の軍用機がどう使われ、その乗員やそれに関わった人たちのことは関心がほとんどなかったのだ…。前置きが長くなった。
本書は、第2次世界大戦時の航空機に関わった人たちを取材した結果をもとに、航空機と乗員、それに関わった人たちの情景を伝える。戦記物にはあまり興味がないわたしだが、零戦の最強伝説や、あまり知られていないであろう水上戦闘機の苦悩などの真実の一端を描き出す。
Copyright(C)2001,2002 Masaaki Hatano