私の読書の時間

米国IT産業 デジタル奇人伝<2001.5.7>
 鎌田博樹著
 NHK出版
 ISBN4-14-080560-9
 
 アメリカの情報処理産業に身を置く様々な人々のインタビューしたドキュメンタリー。筆者の人脈に基づいているためかOMG関係者が多く、OMG関連の技術にたずさわっている方は一読してはいかがだろうか。ソフトウェア技術者たちのヒッピー風、軍人、学者、多才さなど、彼らの個性に圧倒される思いと、アメリカの自由な雰囲気とソフトウェア産業を生き抜くタフさに憧れを覚える。大企業の看板がなければ、何もできない日本と、ベンチャー企業が次々と生まれ、その中でキャリアを積み重ねていったり、大金を得てリタイアしたりするアメリカとのシステムの違いのなかにソフトウェア産業の活力の差を見るのだろうか。
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なぜ記憶が消えるのか<2001.5.17>
 ハロルド・L・クローアンズ著 鴻巣友季子訳
 新潮OH!文庫 新潮社
 ISBN4-10-290090-X
 
 神経科医の医療ノート。書名にもなっている「なぜ記憶がなくなるのか」と綴られる手術中に記憶喪失になった外科医のエピソードから始まり、パーキンソン病やハンチントン病などの患者のエピソードが続く。たいへん、興味深く読むことができた。ノンフィクションではあるが、作者は小説家でもあるのとのことで、単なる記録文でもエッセイでもなく、ちょっとした物語としての構成が聞いているためでもあるが、今のところお世話になったことはない神経科医の仕事ぶりと患者さんの様子、医療の進歩と医療とは何かといったことを考えることなど、内容的にも興味深かったからだ。
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20世紀SF(2) 1950年代 初めの終わり<2001.6.4>
 中村融・山岸真編
 河出文庫 河出書房新社
 ISBN4-309-46203-0
 
 宇宙への門出のひとこまを描いたような、レイ・ブラッドベリ『初めの終わり』。解説に日本のテレビ怪獣番組のエピソードの下敷きになったとある(ウルトラQのバルンガの出てくるやつかな?)ロバート・シェクリィ『ひる』。マグマ大使の人間もどきを思い起こさせる侵略ストーリー、フィリップ・K・ディック『父さんもどき』。地球最後の日の人々の行動と心理を描く、リチャード・マスマン『終わりの日』。少女期の精神的ファンタジー、ゼナ・ヘンダースン『なんでも箱』。隣人がもたらす幸福の閉鎖空間、クリフォード・D・シマック『隣人』。作られた記憶それとも作られたのは?、フレデリック・ポール『幻影の街』。宇宙飛行士たちのぼやきが聞こえる。C・M・コーンブルース『真夜中の祭壇』。魔女裁判ならぬ、宇宙人裁判の記録、エリック・フランク・ラッセル『証言』。未来のアメリカが囚われそして喪失したものは?アルフレッド・ベスター『消失トリック』。科学者が作り出した空虚な芸術先品、ジェイムズ・ブリッシュ『芸術作品』。真実の美と愛の在処を求め…、コードウェイナー・スミス『燃える脳』。たとえ世界を失っても愛しているものは…、シオドア・スタージョン『たとえ世界を失っても』。歌から生まれたコンピュータ上の架空の人物が革命を…、ポール・アンダースン『サム・ホール』。
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新・青べか物語<2001.6.25>
 島戸一臣著
 朝日新聞社
 ISBN4-02-256210-2
 
 朝日ネットからプレゼントで頂いた本。昭和20年前後の浦安を舞台に懐かしい時の流れと人々の暮らしが綴られる。もともとは、パソコン通信時代の朝日ネットの前身、朝日パソコンネットの会議室で生まれたものをもとに改稿し、まとめ直されたものとのこと。残念ながら私はその会議室には参加していなかったので、今回初めて目を通させてもらった。私は、大阪の真ん中で生まれて、ほとんどを大阪の真ん中で暮らしているので、農業や漁業の町の暮らしは知らない。けれど、なぜか懐かしい想い出を振り返るように暖かい気持ちだ。時は過ぎてもうこの本に書かれた生活はほとんど存在しないのだろうことがすこし残念に思えるのだ。
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マルサン−ブルマァクの仕事<2001.7.8>
 くじらたか著
 文春文庫 文藝春秋
 ISBN4-16-765607-8
 
 子供のころ持っていたソフビの怪獣たち。ゴジラとエビラともうひとつくらい東宝怪獣を持っていたような。その人形にマルサンという商標が入っていたかどうか記憶はない。その後、ウルトラ怪獣になると、あれ、何を持っていたっけ?持っていたし、ブルマァクのマークの刻印の記憶もあるのだけれど、今思い出そうとすると思い出せないや…。そんな懐かしいソフビ怪獣などを中心に活躍したマルサンとブルマァクというおもちゃメーカーの仕事と歴史を?三郎氏の物語を通して描いた本。当時、おもちゃで遊んでいた私たちのあずかり知らないところで、おもちゃ企業の栄枯盛衰の物語があったことをちょっと不思議な思いで読みました。
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