ポートランド日記                                     スズキメディア

12月13日(木)──135日目


 朝から一日中嵐のような天気。風が強くて傘をさして歩けない。

 今日はいろんな用事がある。
 まず、7時半に車でCと、世話になった保健婦さんの勤め先へ。パウエル通りから少し入ったところだから、何度も通ったことのある道だ。
 あいにく不在だったが、お礼の贈り物を預けてきた。

 そのあと、これまでポートランドで使ってきたスキャナーを梱包。これはCDRCの人に差し上げるためにCが持っていく。そのあと、プリンターのインストール法などの解説を書いてから、梱包。こちらは、PCCのクラスメートのところへ持っていく。どちらも、日本の自宅に戻れば以前から使っているものがあるので、高い輸送料を払って持ち帰るつもりはなかった。喜んで使ってくれる人が見つかってよかった。

 今日は日中、レンタカーを駐めておかなければならないので、OHSU(オレゴン・ヘルス・サイエンス大学:Cが通う大学:僕らの住む寮のあるところ)の駐車許可を取った。7ドルかかるが、レジデンスホール(寮)の近くの駐車場はいっぱいで、一番離れたところの許可しかとれなかった。ドーンベッカー子ども病院の中を通っていけるので、雨で濡れることはないが、歩いて10分くらいかかる。

 10時半過ぎに寮を出て、プリンターを積み込み、車でPCCへ。11時半に、カンバーセーションパートナー(会話友だち)のアンディさんと待ち合わせて、最後なので、一緒に昼食を食べることになっている。
 レンタカーはPCCの駐車場に置いて(こちらの駐車許可は1日2ドル)、アンディさんの車で、ヒルスボローの中華料理店へ。相変わらず強い雨と風。アンディさんの車はトヨタの四輪駆動車。たぶん、ランドクルーザーより一つ小さいクラスだと思う。2年前に買ってまだあまり乗っていないそうで、かなり気に入っているようだった。
 中華料理店では、卵のスープのあと、一品ずつ頼んで、分けて食べた。アンディさんが頼んだのは、エビの炒め物、僕が頼んだのは、牛肉の炒め物。スープもこくがあって出汁がきいておいしかったが、炒め物もいい味付けだった。
 アンディさんのお父さんは、シアトルで中華料理店のシェフをしているというから、アンディさんの舌も確かなのだろう。僕のお別れ昼食だからといので、おごってもらってしまった。アンディさんが、7月にJETプログラム(小中高の英語の授業の補助のために、アメリカから2500人を選抜して日本に派遣するもの)で、日本に来られたら、ぜひお礼をしたい。

 そのあと、PCCのクラスメートの家にプリンターを届けてから、寮に戻る。傘がさせないので、コートと靴がびしょびしょになってしまった。でもこちらだと、室内に干しておけばすぐに乾く。このところ毎日雨で、湿度は高いはずなのに、日本よりは乾燥しているような感じだ。
 これだけ雨が続いているのに、じめじめした感じがないのは不思議。寒い時期だからだろうか。それとも大陸だからか。僕は冬乾燥する太平洋側にしか住んだことがないので、冬に雨や雪の多い日本海側のことはよく知らない。日本は海に囲まれているとはいえ、湿度は常にかなり高い。オレゴンは海は近いのに、大陸だから湿度はそれほど高くないのだろうか。どうもよくわからない。
 4時半に寮を出て、レンタカーを返しに行く。これでレンタカーを使うのも最後になる。事故の故障もなくてよかった。

 帰りに、以前(11月7日)昼食を食べに一行ったことのある「ロックボトム・レストラン&ブリュワリー(Rock Bottom Restaurant And Brewery)」で夕食。
 前回と同じように、小さなグラスが七つくらい出てくるビールのサンプラーを頼んだ。こちらのブリュワーリーやブリューパブ(日本ならビヤホール、ビヤレストラン)には、そこのビールを少しずつ試せるサンプラーがある。僕のようなビール好きにはうれしい。日本でも、やってほしいものだ。
 食事は、15ドルとちょっと高かったが、サーロインステーキ(11オンス)を注文した。日本の霜降りステーキのように柔らかくはないが、二センチくらいの厚さで、決してかたくはなくいい歯ざわりで、脂身は全くなし。日本なら、サーロインというよりヒレという印象だ。味付けは、おそらくコショウを中心にした香辛料だけで、肉そのものを味わう感じ。
 付け合わせは、マッシュポテトとブロッコリー、チェダーチーズの入ったマッシュポテトは、チーズが味を引き立てていて、今まで食べたうちで一番おいしかった。こちらのブロッコリーは、日本に比べてかなり固めにゆでてある。これもいい香りと味だった。ステーキに何のソースもなく、付け合わせもシンプル。これでおいしく食べさせるのは、素材が吟味されて、調理技術も高いということだろう。
 今まで五か月、ステーキは家で食べるだけで、外で食べるのは初めてだけど、試してみてよかった。


次を読む前に戻る目次表紙