ポートランド日記                                     スズキメディア

12月10日(月)──132日目


 今日はスピーチのクラスのファイナルエクザム(最終テスト)。これで、週三回三か月間通ったスピーチのクラスもおしまいだ。
 最終テストは、テープを聞いてF&Tのテストに答える、いつもの形式。問いは20問。テープの内容は、前から知らされていたとおり、キューバ危機の「ピッグス湾侵攻」に関するもの。
 60年代初め、ケネディ大統領の任期中のキューバ危機と言えば、僕にとっても、生まれてはいたけれど全く記憶にはなく、教科書で習ったり、ケネディの伝記で読んだ程度。アメリカ人はよく知っていることらしいが、日本人なら、その単語と簡単な内容を知っていればいいほうだ。

 ソビエトがキューバにミサイルを設置して、米ソがにらみあいになり、危うく核戦争という事態になる「キューバ危機」の前に、「CIAがキューバの亡命者をニカラグアで軍事訓練して、ピッグス湾に侵攻させて失敗した」話は、教科書で読んだかもしれないがほとんど記憶には残っていなかった。
 先生は、「リスニングテストのために、インターネットや図書館でピッグス湾に関する資料を読んでおくといいですよ」と言っていた。英語の資料を読めば、英語の勉強になるということもあるだろう。
 僕は、前のテストと同じように、インターネットの日本語ページでピッグス湾についてのものがないか探して、読んでおいた。ちょっと「ずる」かもしれないが、日本語のページがあると助かる。

 リスニングのテープは約10分。4回流されたが、細かいところまでは、なかなか聞き取れない。20問中、7問は答えがよくわからなかった。はたして成績はどうなるだろう。
 試験が終わる頃、先生から先週のファイナル(最終)スピーチの結果が返された。僕の成績は「A」。最後になって、ようやく「A」がとれた。先生も、「やったね」という感じで微笑みながら結果を渡してくれた。
 これまでの三回のスピーチで先生から指摘されたのは、「アイコンタクトをして聴衆の注目をうまく集めることができないこと」。もちろんそれは当然で、自分の話している内容が完全にはよくわかっていないのだから、アイコンタクトどころではない。

 ファイナル(最終)スピーチは、みんなの関心を集めるテーマにしようと思って、ダウンタウンのレストランを紹介することにした。これは案外うまく行って、最終日の最後から二人目のスピーチで、みんなの注意が散漫になっているときなのに、けっこう話を聞いてくれた。
 紹介したレストランは、タイ、日本、メキシコ、中東と、エスニック料理が多かったが、クラスにいる人たちの母国の、韓国、中国、ベトナム、ロシア料理のレストランは紹介できなかった。「ダウンタウンにないから」、とことわって、「ダウンタン以外にはあるし、食べに行ったこともある」ので、それぞれの料理のおいしいところを話した。
 ロシア料理の店だけ行ったことがなくて、ロシア人の女の子がクラスにいることも忘れていたのだが、その場で、ロシア料理の話もした。彼女が話に応じてくれて、「フォスターストリートに、ロシア料理の店があるわよ」「今度試してみるね」というやりとりができた。
 その辺を、「聴衆との関係が上手く作れた」と評価された。満点の「A+」が取れなかったのは、発音がまだよくないのと、どうしても、原稿を読んでしまうから。これはまあ仕方のないところで、まだまだ練習が必要だ。

 ダウンタウンから少し離れた17th Aveにある「Pasta Bella」というイタリア料理店でお昼を食べようと行ってみたが、月曜日は休みだった。レストランは、火曜日から日曜日まで開けて、月曜日は休みというところがけっこうある。
 どうしようかと思ったが、前に食べた「Percian House Restaurant」の隣のインド料理のビュッフェで食べた。ここも、「Percian House Restaurant」と同じに、七ドルでビュッフェ(食べ放題)をやっている。カレーやタンドリーチキンがおいしかった。


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