ポートランド日記                                     スズキメディア

12月5日(水)──127日目


 今朝はかなり冷え込んだ。ポートランドは福島より暖かいかなと思っていたが、ここ数日かなり寒くなっている。朝八時前、バスを待っている間、けっこう寒くて、フードをかぶっていた。
 9時からカンバーセーションパートナー(会話友だち)のアンディ君との話。彼は明日先生と面接テスト。テストでは、家族について受け答えをするというので、その練習をした。僕のファイナルスピーチも見てもらい、文法的におかしいところを直してもらった。
 11時からPCCのスピーキングのクラス。スピーチは今日も当たず。最後の金曜日になった。先生が風邪で声が出ないのを考えていてくれたのかもしれない。
 今日のスピーチは、キョウコさんの化粧のデモンストレーションスピーチが面白かった。彼女は、「化粧に関する用語はほとんど英語のままなので、そのまま話せばいいから難しくない」と言っていたが、モデルのメグミさんに化粧をしながらの英語の説明は堂に入っていた。みんなつぼにはまるととてもいいスピーチをする。
 そのメグミさんは、子どもたちはなぜ学校へ行きたがらないかという話。彼女は、先生を目指していて、スピーチでもとても人当たりがいいし、みんなを自分の雰囲気に巻き込んでいくのがうまい。先生になったらぴったりだなという性格の人だ。

 帰りのバスで、風邪を引いて疲れていたのか、降りる寸前で眠り込んでしまい、ハッと目が覚めたら、バスには誰もいない。運転手さんもいなくて、外に出ることもできず、中に閉じこめられてしまった。
 日本なら、終点で乗客を確認するところだが、こっちではそんなことにはかまわないのだろうか。しばらく車内でうろうろしながら待っていたら(五分くらい、でも長かった)、運転手さんの女の人が戻ってきて、開けてくれた。「気がつかなかった、ごめんなさいね」と言っていた。
 終点はユニオンステーション(鉄道の駅)の前。ちょうどいいので、駅を見学した。立派な作りの建物だが、線路に停まっている列車はなく、人影も少なく、寂れた様子。アメリカでは、旅客鉄道はすでに過去のものだから、仕方のないところだろう。隣に、グレイハウンド(バス)の停車場もあり、本来ならにぎやかな場所なのだろうが、周りのビルはどれも古く空き家が目立つ。

 今日のお昼は、「フェリーニ」というユニオンステーションから少し歩いた店で食べた。この辺りは、空き家も多く、暗くなったらあまり来たくない感じだ。「フェリーニ」は、外見は、パブ。お酒を飲むためにあるような店だが、昼食も出している。
 入ってみると、ビル自体も古いが中も古く、煙草の匂いが染み付いている感じ。下北沢や原宿にこんな感じのアメリカふうの店があって、昔はよく行ったが、あれはアメリカの模倣。ここは本当の本物だ。
 「チープイート」に出ているだけあって、食事もおいしかった。今日のスープを頼んでみたが、これがタイカレー風の味付けで、野菜がたっぷりはいったもの。フランスパンが付いてきて、ランチならこれだけで十分という量だ。タイカレーをこういうふうにスープにアレンジするのは、シェフがかなり「できる」ということだ。
 ここは、他にギリシア料理、各種アジア料理が取り入れられている。もちろん、アメリカ料理のステーキもある。もう一品は、ベトナム風の料理を頼んだが、これは、カレー風の味付けの炒め物。スープと同じ味付けのものにしたのはちょっと失敗だった。
 カレー風の味付けの炒め物がご飯にかかっているが、ご飯にかけるならもう少し汁が多いほうがいいかなという印象。味も、もう慣れてしまったが、ココナッツミルクが効いていて甘い。アメリカ人はおそらくこの味が好きなのだろうが、やはりちょっとついていけない。
 ここは、イタリア料理もあるので、もしまた来る機会があったらそのへんを注文してみたい。


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